終章
終の詞 そして伝説へ……
「あー、そうそう。こんな話だったよなー」
読み終わって一番に、背伸びして首をぱきぱきと鳴らしたのは、赤茶色の髪の少年だった。
「ほーんと、懐かしい。これが一番新しい〈暁〉と〈黄昏〉の者の化身の話だったか」
藍と呼ぶべきだろう色をした髪の少女が、少年と同じように背伸びをして言った。
「ええ、そうよ」
「まったく、今まで何度もそこの湖から下界を見てきたけど、こんときほど『あ、終わりかな』と思ったのはなかったよな?」
「あなたはすっかり忘れてたじゃない」
空色の長い髪をした女性が苦笑気味に言った。それに対して、赤茶色の少年が唇を尖らして反論した。
「だいたいは覚えてたって。特に、喚ばれる直前とかな。おれなんてバッキバキ」
「私も、凄く悲しかったわ」
少女が目を伏せて少年に同調した。
「〈黄昏〉の妹を、マジで罰しようとしてたもんなー、お前」
「ま、父上がそういう審判を下さなかったんだから、私はとやかく言えないわよ」
まだ、少し根に持っているらしい。そんな彼女を愛しく思いながら、空色の髪の女性は立ち上がり、本を棚に戻した。
あれからも世界は時を刻み続けている。
だが、その時計が再び錆ついてきているようだ。
遠くないうちに、また新たな伝説が始まるだろう。……〈暁〉と〈黄昏〉の。
(さあ、今度はどんな物語かしら?)
女性の口が弧を描く。他の二人も同じようだ。楽しみ、そう呟いたのは、誰だろうか。
これにて完結! 長い間読んで下さり、ありがとうございました!




