♯2.
「……」
「どう?分かった?あれに見つかると厄介なんだよー…。だから静かに、ね?」
そんな事を言われても困る、そう言おうとしたが、これ以上関わるのは
嫌だったため何も言わずにベッドへ戻った。
「あれ?どうしたのー?」
「‥寝るんだよ」
「えー、もっと話そうよー!!」
「嫌だ。早く出て行けよ‥?」
きっと朝になれば全て元通りになってる。
あの人も消えてる。‥全部夢だ。そうに決まってる‥‥
そう思って布団を被り、無理やり寝た。
そして、朝の10時―‥
「…。10時か‥寝すぎたかな…」
ベッドから出て部屋の中を見回してみるが、〔あの人〕は
居なかった。
念のため、ベランダから外を見てみるがやはり
影のようなものも居なかった。悠は少しホッとした。
「やっぱり夢だよな。あんなの居るわけないし」
フと携帯を見ると、メールが入っていた。
友人の〔竹宮 慎也〕からの遊びの誘いだった。
「あ、そう言えば今日学校休みか…」
あの〔自称天使〕の話も誰かにしたかったところだったので、
午後から友人と遊ぶことにした。
「よぉーッス!!昨日ぶり!!あ、悠はもう課題やったか?」
「課題?あぁ、まだやってないよ。慎也は?」
「俺もまだでさー‥。一緒にやらねぇか?」
「いいね。どこでやる?図書館とか?」
そんな話をしながら歩いていると、事故現場のような所を通った。
そこでは近所のおばさん達が何かを話していた。
「あっ、悠ちゃん。あんた大丈夫だったかい?」
小さい頃から知り合いのおばさんが話しかけてきた。
「え?何がですか?」
「昨日ね、ここで殺人があったらしいのよ。ほら、悠ちゃんの家、近いでしょう?」
「そうなんですか‥。僕は大丈夫ですよ」
「そう?ならいいんだけどねぇ、気をつけるのよ」
「ありがとうございます。神崎さんこそ気をつけてくださいね」
そう言ってその場を後にした。
「殺人なんて‥ここら辺も物騒になったなー」
「そうだね。と言うか、殺人なんていつあったんだろ?昨日は夜中まで起きてたけど…」
「な!!俺も夜中の4時頃まで遊んでたけどよ…特になんもなかったぜ?」
と、その時、悠のすぐ隣を何かが通り過ぎたような気がした。
悠は軽く振り返ってみるが、別に誰も居なかった。
「ん?悠?どうしたんだ?」
「あぁ、ゴメン。なんか通ったような気がしたからさ」
「風じゃねぇか?早く行こうぜ!!」
「そうだね」
そして、図書館へ着いた。
有り得ないほどに中に人が誰も居なかった。
「あっれ…?今日休みか?でもドア開いてるしなぁ?」
「まぁ、いいんじゃない?静かだしさ」
「そうだな!!あ、じゃあ、あそこ座ろうぜ!!」
慎也が指定した所は、普段は必ず誰かが使っていて
なかなか座れない二階の窓際だった。
「あそこまで空いてるんだ‥。なんか気味悪いね」
「まっ、いいじゃん、いいじゃん!!」
そう言って慎也は先に階段を駆け上って行った。
それに続いて悠も階段を上がって行く。
と、その時一瞬何かが居たように見えた。
しかし、覗いて見ても何もなかった。
「おーい!!今度はなんだよー!!」
「あ、いや、なんでもないよ」
おかしいな、と軽く首を傾げながら階段を上って行った。
「そう言えば、お前って何型だっけ?」
「え?Bだよ?」
「Bかー…それにしちゃあ、二重人格っぽいよな!!」
「そうかなぁ?どこが?」
「普段の話し方と少しキレた時の話し方違ぇじゃん?」
「それはみんな一緒だよ」
笑いながらそんな事を話していると、窓の外に人影が3つほど見えた。
悠は最初は気にしなかったが、その人影がいつまで経っても
こちらを見ているので、慎也に話してみた。
「慎也、あの人達ずっとこっち見てるんだけど何かな?」
「ん?どれだ?」
「あれだよ」
その人達が居る方を軽く指差す。
しかし、慎也は首を傾げて笑った。
「何言ってんだよ?人なんて居ねぇじゃねぇか?」
「え…?でもあれ‥‥。‥?」
次に見た時はその人影は消えていた。
「疲れてんじゃねぇか?大丈夫か?」
「そうかもね‥。うん、大丈夫」
確かに居たはずなのに、と思いながらも悠は苦笑いをして応えた。
またまたちょっとおかしく‥と言うよりも、やっぱりありきたりな展開に‥;;
これから先、飽きずに読んで頂けると幸いです。
何かアドバイスなどがありましたら宜しくお願い致します(ペコ