とりあえず茶番を
「……あ、え? もう始まってる感じ? まだ、何も考えてないのに……。適当に自己紹介して、尺稼いどくか?俺の名は、シュペナイザー。アルテナム王国を守護する騎馬隊の隊長を務めている!」
「あほ!」
「な、なんだよ……。単なる尺稼ぎなんだから、何言ったっていいだろ?」
「そうじゃなくて、自己紹介に嘘ついちゃダメでしょう」
「はあ、そうですけど……」
「はいはい、この人は~。ただの高校生の三宮輝人という者で~す」
「やめろ! 俺の台詞を奪うなぁ!」
「それで、私は学校一、いいえ日本一の美人、雅まほろで~す」
「自分で言うか? ……普通」
「何よ、そういう設定でこの話が始まるんだから。だから私がこんなに可愛くなってるのよ」
「そういう裏の話しなくていいから、むしろしないで」
「このプロローグだって、作者が何も思いついていないから、こんなのをプロローグ代わりにしてるのよ?」
「やめろって! 作者の悪口はそこまでだ! ちゃんとあらすじだって書いてるだろ?」
「その点も、若干あんたが美化されてるだけで、ただの高校生に変わりは無いわ」
「うっ……てかあれ読んだのかよ」
「ええ、あなたが私のことを好きだって。15回もフラれてるのに」
「うっさい! まだ14回だい!」
「それって、あらすじも含めて?」
「くっ……15回です」
「よろしい、ではこれからも私の召使いとして……」
「お前だって嘘ついてるじゃねえか!」
「ばれたか」
「ばれてるよ! その顔もめっちゃ可愛いよ!」
「まあ、そんなこんなで」
「スルーかよ!」
「この小説は、こんな感じで進んでくらしいので、どうぞよろしくお願いします」
「まとめないで! 俺の仕事奪わないで!」
「さよ~なら~」
「のぉぉぉ……」
あのさ、思ったけど、15回もふってんのに何でこう、仲良くしてくれんだ?
さあ、何ででしょう?
もしかして何だかんだで俺のこと……。
「違うから!」
……え? まだカメラまわってた?
さっきのことが音声に入っちゃってるわ……。
とりあえず、カメラ止めろよ。
電源、どこなの?
これは、ここがこうなってて……。
へえ、何だ、思ったより……。