表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/54

第八話『小ボスと中ボスの秘め事!?』

第八話『小ボスと中ボスの秘め事!?』



『バーニィ、もう戦わなくていいんだ』


「うっうっ……」



「――おにい、いないの? ノックしても返事無かったか……えっ!? なになに!! おにい何泣いてるの?」

「ああ、妹か……これだよこれ」


 魔王は自室でアニメを見ながら涙を流していた。


 妹に教えるようにして、テレビの方に指を指し。


 その手で、ティッシュペーパーを一枚抜き取ると、それで鼻をかみ、ゴミ箱へ投げた。


「うっ……バーニィが死んじゃった……うわあああ」


「今更、ポケ戦? でも昨日は08見て無かった?」


「ぐすん……ぐすん……っえ? ああ。お前が見かけた時に見ていたのは確に『第08MS小隊』だな。

 昨日からずっと、機動戦士ガンダムの宇宙世紀(UC歴)の作品を見直してるんだよ」



 魔王の言葉に、妹は部屋を見渡した。

 確かに部屋には沢山のビデオ、DVDで溢れ返っていた。

 床に転がっている飲み物などの量を考えると寝ずに見ていたと安易に想像できる。


「それより、如何(どう)したのだ妹よ」


 魔王の言葉に、妹は何故自分がここへ来たのか思いだした。


「おにい、おかしいのよ、小ボスも中ボスも今日は全然見かけないの!」


「……そりゃお前のボーイズラブ(BL)の同人誌のネタの為に絡みを強制的にやらされるのであれば避けるのも仕方ないだろうに」


「いいえ、避けるなんてそんな生易しいもんじゃないわ、城に居る他の人たちも、今日は中ボス達を見て無いって言ってたのよ」


「それはおかしいな、中ボスなら自分の部屋で事務仕事の為に缶詰状態になっている事はあるが、一日中、小ボスを見かけないというのはおかしいな」



 魔王の言葉に、妹は、でしょ~、と同意するように言った。



「少し捜して見るか」



 魔王と妹は小ボス達を捜索を始めた。


--------------------------------------------------------



「でしょ全然いないでしょ?」


 魔王達が三十分ほど城の中を捜したが、気配すら感じなかった。


「王室も捜したし、それ以外にも小ボスが行きそうな所は全部捜したし……」


「ああ、一通りは捜した……、ん?」


 魔王達は顔を見合わせると。



「「小ボスの自室!?」」


 妹と魔王は同時に声を上げた、普通であればまず最初に捜す場所だが、魔王達はまだ捜索していなかった。

 だが、それには訳があった。



「やはり……」


 小ボスの部屋の付近に近付いた所で魔王が呟いた。


「おかしい、この周りに“人除け”の結界が張られている」


「ん? おにい、それはどういうこと?」


「お前……それくらい知っておけ。まあ端的に言うとだな『近寄りたくない』と思わせる結界だ。

 この結界が張られて居れば、たとえ遠回りになったとしても結界を迂回(うかい)して移動してしまう」


「だがら、ここら辺を捜索しなかったのね」


「ああ、基本的には気が付く事も無いかもしれないが、俺達は明確に小ボス達を捜し、行く可能性の場所を(しらみ)潰しで捜した。

 だから結界の効果があろうと、小ボスの部屋を捜索してないという事実が浮き彫りになったという訳だ」


「そこまで気が付いてしまえば、俺達に対しては、この結界は無効かされてしまっていると言ってもいい」



 魔王の言葉に、妹は関心したようにうなづいた。



「じゃあ、小ボスが近寄られるのが嫌で、その結界を張ってるってこと?」


「いや、こんな魔法は小ボスは使えないはずだ、この城で使えるとすれば、俺か中ボスだけだ」


「じゃあ、今、中ボスと小ボスは二人でいるって事?」


「ああ、その可能性が高いだろうな」



 魔王と妹はどちらとも無く、小ボスの部屋に向かって歩み始めた。



「――ッ! 止まれ!」



「きゃあ!! ……ちょっと何よおにい!!」


 魔王は妹の服の襟首を掴むと、強制的に歩くのを止めた。


「ここにも結界がある。……これはサーチ系の範囲魔法だ。

 これより一歩進んだら、中ボスに察知される。

 範囲魔法を二重で使うとは、凄まじい念の入れようだな。流石、中ボスと言ったところか」


「褒めてる場合じゃないでしょ!

 どうするのよおにい、これ以上近寄ったらバレるって。

 それじゃあ小ボス達が何やってるか分からないじゃない!」


「まあまて、この魔法は電波のような物だ、逆相(ぎゃくそう)の周波数を当ててやれば相殺できる」


 魔王はそう言い、目を閉じ、魔力を両手に集中させた。

 その両手は察知される位置ギリギリの位置に置かれていた。


(本気で中ボスがこの魔法を駆使していれば、俺でも解除は不可能だ……だが)


「――ふんッ!」


 両手に集めた魔力を一気に解放すると、まるで魔王達と廊下の間には透明なガラスが有ったかのように、その魔法が砕け散った。



「すごい、さすがおにいね!」


「はは、もっと褒めろ妹よ!」



 魔王は高笑いを浮かべながら、再び廊下を進んだ。


(あの術は低レベルな物だった。もし本気で術を練っていたらとても破れなかっただろう……)


 魔王はそんな事を考えながら、小ボスの部屋の前に立った。


「……ねえ、ここからどうするの?」


「俺に聞くな、とりあえずドアにでも耳を当ててみればいいのではないか?」



 魔王達はそう言い、そっとドアに耳を当てた。



『……準備はいいですか小ボス?』

『うん……でもね中ボス、僕、まだ慣れてないから優しくして』

『あはは、分かっていますよ。ではゆっくり入れていきますね』

『――んッ……ああっ……ふぁっ!?』

『どうしました? 痛かったですか?』

『ごめんね中ボス、痛かったわけじゃないんだけど、その……気持ちよくてつい声が出ちゃって………』

『そうだったんですか、この部屋には私と小ボスしかいないのですから、声を出してもいいのですよ』

『うん、わかった。あっあっ……中ボスのが中で動いて……あん』




「「…………」」


(お、おおおお、おにいッ! しょ、しょ小ボスと中ボスは、い、い、一体何をしてるのッ?!!)


(おッお、おおお、俺に聞くなッ!!!!)


 ――パニック! 大きな声で喋る事の出来ない魔王と妹は、仕方か無いので、ジェスチャーで己の意志を伝えあった。

 だが、傍から見れば奇怪(きかい)な踊りを踊っているようにしか見えない。



「アンタ達、小ボスの部屋の前でなにやってるのよ?」


「「姫ッ!!?」」


「説明してる余裕すらない! とにかくここに来てみろ」

「??」


 姫は魔王達の顔を見ると、ただ事では無いと悟り、静かにドアの前に立った。


『どうですか? 痛くないですか? もう少し奥に入れても大丈夫ですか?』

『あっ……うん、大丈夫だから。もっと……奥に来て……』

『はい、ではもう少し奥の入れますので、痛かったらすぐに言ってください』

『……ん……ん、あぁ……もっと……深くまで…………きて……んくっ……』

『どうですか気持ちいいですか?』

『……うん、中ボスにしてもらうの僕、好き』

『そうですか、私はヤられる、よりヤる方が好きなので、テクニックを褒められるのは嬉しいですね』


≪…………≫


(なっ……なななな、何やってるのや小ボス達は!?)


(しっ、静かにしろ姫ッ!)


(……中ボス×小ボス……中ボス×小ボス……中ボス×小ボス……)


 小ボスの部屋の前で不思議な踊り(ジェスチャー)をする集団。

 傍から見れば危ない集団だが、この奇怪(きっかい)な踊りで会話が成立しているのだから、不思議である。


(止めなくていいの!?)


(俺に部屋の中へ、入れと!!!???)


(アンタ以外に誰がいくのよ!? 妹ちゃんは完全に妄想の世界へ旅立ったわよ!)


(……ナマモノ……ナマモノバンザーイ!! ジークナマモノ!!)



「「…………」」



『あっ……んっ……ちゅ……中ボス……今っ……妹ちゃん……の……んっ……声が聞こえたような……』

『大丈夫ですよ、いつものように結界を張っているので、半径十メートル以内に入って来たら分かりますよ』

『……ああぁ……んっ、……あぁ…うん……わかった……』



(……だから結界張っていたのか)


(なに? 結界が張ってあったの? なのにアンタ達、わざわざ結界突破魔法を使ったの?)


(だっておにいが……)


(おい! 妹よ、お前が元はと言えばお前が言いだした事だろうが!!)


(だから残留魔力がここら辺にあったのね)


 混乱する魔王達だったが、それよりも淫行の真っ最中?

 と思しき部屋に、誰が突入するか決めようとしていた。


(いい、最初はグーよ)

(ええ、いいわ。おにいは?)

(ええい! こうなれば自棄だ! 良いぞ掛かってこい!)


 意気込む魔王達に対して、中ボスと小ボスの声が届く。


『終わりましたよ、小ボス』

『ありがとう、中ボス。やっぱりいいね“耳かき”って』



≪…………≫



 魔王達、顔を見合わせると……勢い良くドアを開け放ち、同時に言い放った。




≪そんな事だと思ったよ!!≫




 結局のところ、中ボスがこんなド丁寧に魔法を使っていた理由は。


「耳かきをしている時に、小ボスが驚いたら危ないじゃないですか。だから事前に入ってくるのが分かるようにしていたのですよ」と言う、母親ぽい理由だった。


 言ってしまえば早とちりである。



「おい、小ボス! 中ボスの耳かきはそんなに良かったのか!?」


「うん、凄く上手いだよ、魔王様もやってもらえばいいよ!」



 中ボスはひどく嫌そうな顔をしたが、半ば強引に中ボスに耳かきをさせた魔王。


「……あっ……本当に……んっ……これは……んくっ……ふぁっ! あっ…そこは…らめえ……そこはらめぇぇぇ!」

 連日に渡り、魔王城には、小ボスと魔王の気色の悪い声が木魂(こだま)した。

 

 余談だが、中ボスの耳かきの虜になった魔王は、小ボスと競うようにして耳かきをせがみ。

 後日、中ボスが二刀流で、同時に二人まで、耳かきが可能になったと言うのは、また別の話である。

  

これはちょっとエロイのか……? と思いつつ。まあ別に許容範囲だろうと思い。特に注意書きも無く、投稿。

もし、『男と言えども、これは……』と思う方がいれば、ちょっと前書きの方で注意書き入れようかな~とは思っている。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ