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第三話『新・キャラ登場!?』

第三話『新・キャラ登場!?』


「突然だがッ! 今日から俺の妹が来る」


 勢い良く扉を開けると、王室には姫と中ボスが居て、姫の手にはゲームのコントローラーが握られていた。

 俺の言葉に姫はゲームから少しだけ顔を上げただけで、すぐにまたゲームに向き直った。


「おい、無視するな」


 姫はめんどくさそうに、ゲームの電源を切ると俺の方を向いた。


「よし、それでいい」


「で、何よ? あんたの妹が来る? 早速、新キャラ登場?」


「そう、妹が俺に態々会いに来てくれるのだよ!!!」


「あーそうなの……」


 姫はつまらなそうな顔をし、お菓子を手に取り、それを口に放り込んだ。


「――んで、それがどうかしたの?」


「どうかしたのって……」


「だってあんたの妹でしょ? どうせ変人なんでしょ?」


「ああ、俺に負けず劣らずの変人だ。昔は良い子だったんだけどな。

 『大きくなったら、おにいのお嫁さんになってあげる』と言っていたくらいだ」


「ふーん、それは別にどうでもいいけど、その妹さんはいつ来るの?」


 ガシャン

 突如、後ろから何かを割る音が聞こえた来た。

 その音に後ろを振り向くと、どうやら紅茶とお菓子を持って来た中ボスがトレイを落としたようだった。


「姫様……今何と?」


 姫は中ボスの言葉に疑問を抱きつつも、質問に答えた


「『それは別にどうでもいいけど』」

「それの後です!」


 困惑する姫だったか、渋々もう一度、はっきりと言った。


「?? 『妹さんはいつ来るの?』」


「そう! それです! 魔王様の妹君(いもうとぎみ)が来るのですか!??」

「今日」


 ガクッ

 

 中ボスは膝を付き、その顔は絶望に染まっていた。

 更に中ボスは、うわ言のように


「妹君が来る……魔王様の妹君が来る……イモントギミ、」とぶつぶつと呟いていた。


 そんな中ボスに対し、姫は「何あれ?」と指を指していた。


「ああ、中ボスはどうやら妹が苦手みたいでな、妹が来る前にはいつもは有給を取っているんだ」


「あんたの職場って結構、融通利くのね」


 そんなやり取りをしていると、魔王城に設置されている、ドアホンが鳴った。


「おっ、来たようだな」と魔王のその言葉に、中ボスは「ヒィィィィ!」と言い、ドアを勢い良く開け放ち飛び出した。

 その直後「ギャアアアア」と再び悲鳴が聞こえたが、その声は徐々に遠のいた。



「おにい、来てあげたわよ」


 そして中ボスと入れ違いに妹が入って来た。


「ねえ中ボスはどうしちゃったの? なんか私の顔を見て、突然逃げ出したわよ、失礼しちゃうわまったく」


「貴方が妹ちゃんね、魔王がこんなのだから、てっきり変な人が来るかと思ったら、随分可愛いお嬢さんじゃない」


 珍しく姫が好意的に妹に話しかけた。

       

「おにい、何この喪女(もじょ)は?」

「ああ、それはお前にも話していた、姫だ、仲良くしろよ」


「へーこのおばさんが『姫』ねぇ…」


 ピキッ

 あれ? なんか変な音がしたぞ?


「おにいから話は聞いていたけど、何あんた? 男選びの為に態々魔王城乗っ取ったらしいじゃない。

 傍迷惑なお姫様ね、……馬鹿じゃないの?」

 

 ピキッピキッ

 あれ? ひび割れかな? 最近魔王城は修繕したばっかりだから壁には異常は無いと思うけど……


「『なまもの』にしか興味の無い、『ヘテロ』なんかには私の高貴なる趣味は理解できないだろうけど、初めに言っておくわよ喪女」

  

 

「私は BL(ボーイズラブ) 大好きよ!!」

「へっ?」 

             

「妹よ、まだ小ボス×中ボスのCP(カップリング)は諦めて居ないのか?」


 困惑する姫を横目に俺達は話を続ける。


「はあ……おにいは何度言えば分かるの、中ボス×小ボスよ、順序は間違えないで、あと正確には『中ボス鬼畜攻めの小ボス健気受け』よ」


「ほう、そうであったか、昔聞いた時のCPは『中ボスノンケ攻めの小ボス受け』と言っていたはずだが?」


 妹は人差し指を一つ立て、それを左右にゆっくりと振りながら


「ふふふ、乙女は日々進化するのよ」


「シーピー? ナマモノ? ヘテロ? ビィーエル?」

「姫様、おわかり戴けましたか……あれが魔王様の妹君です……」


 いつの間にやら戻って来た中ボスが戻ってきていた。


「あんたいつの間に!」

「姫様! もう少し声のボリュームを絞って下さい!」


 慌てた様子で中ボスが姫の口をふさぐ。


「まあとにかく、私が魔王様の妹君を苦手とする訳がおわかり戴けましたか?」


「ええ、大体分かったわ、生意気小娘の上に、毒電波に当てられているようね」


「はい、その様な感じです、更に魔王様の妹君は魔族一の魔力の持ち主です」


 その言葉に姫は目を見開いた。


「えっ! あの子そんなに強いの?」


 中ボスは「はい、それはもう」と言い詳しく説明した。


「実は言うと、魔王様の妹君は実際には魔王様とは血がつながっては居りません、妹君は元魔王の娘であり、完全なる魔王の血族です。

 色濃く受け継がれたその血は、生まれながらにして強大な魔力を妹君に与えております。

 その魔力は魔族一と言われております、ですが魔王は男しか成れない故に、今こうして魔王様が魔王をやっておられるのです」


「魔王の血族……あの子と私、どっちが強いの?」


 中ボスは姫から少し目を逸らし、意をけしたように姫に「おそらく妹君の方が魔力は上かと」と言った。


「あの子の方が私より強いと言うの?」

 

 困惑する姫に中ボスは慌てて補足した。


「ですが、姫様の方が沢山の場数を踏まれてるので、その場馴れがどう戦闘に影響するかは未知数で……」


 中ボスはああ言ったが、本当は私にだって薄々気が付いていた……あの子は確かに強い。

 まともにやりあったらまず勝てないわ……それほど強い魔力をあの子から感じる……


「鬼畜○鏡やった?」

「当然ですわ、Rの方もやりましたのよ。小説も中々のできでしてよ」


「それよりも、中ボスと小ボスはまだ来ないの? 私が来ているのに挨拶も無しなの?」

「ああ、小ボスならまで寝てるはずだ。中ボスはお前の後ろで姫と話をしてるぞ」


 魔王のその言葉に妹はゆっくりと後ろを向いた。


「あっ! 魔王様なんでそれを言うのですか!」

「じゅるっ……中ボス……はっけーん!」


 その後、中ボスは小ボスと共に同人誌のモデルをやらされた。


「マオウサマのイモウトギミキタ。ショウボス ト イッショニ モデル ヲ ヤラサレタ

                                マオ ウマ」


 その後、妹と中ボスは、共に小ボスの部屋に行き、俺と姫は○○無双をプレイしていた。


「お腹減ったわ、何か取って来なさい」


「……はい」


 中ボスが居ないので、代わりに取って来て貰うという選択肢も無い為に、渋々自ら食堂に向かおうと思い、扉を開いた。

 廊下を歩くと、しばらくして、中ボスがトボトボと歩く姿が見えたので声を掛けた。


「おっ、中ボス! 妹が迷惑掛けたな」

「――あ、魔王様」

 (うわッ! 生気がまったくない)


「あはは……いえ迷惑なんて全然。ただ上半身裸で小ボスと一緒にポーズ取るだけの簡単な仕事ですよ、ははは……」

 

 乾いた笑いが廊下に空しく響き、中ボスの悲しさを余計に引き立たせる。

 そんな悲しい声をかき消すように元気な声が廊下に響いた。


「魔王様~、中ボス~」妹から解放されたのであろう、小ボスが廊下の端から走って来た。


「おお、小ボスよ、やっと終わったのか?」

「ええ、妹ちゃんには新作のRPGゲームを買ってもらったので魔王様と一緒にやろうかと」

「ほほ~妹からご褒美が出たか~アイツは飴と鞭を心得てるな」


 ん? 小ボスがゲームを買ってもらったと言う事は、中ボスも何か貰ったはずだな。

 魔王はそう思い中ボスに何を貰ったのか聞いた。

 中ボスは複雑そうな顔をすると、服のポケットに手を突っ込み、ポケットの中から箱を取り出し、それを開いた。


「メガネ……」

『何に使えと!?』








正直、この『妹』を出すから、BL注意的な事を書こうかと悩みましたけど、これくらいならいいか~と楽観視しましたが。皆さんがあまりにも気分を害する様であれば、BL注意って付けときます……

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