表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/54

第十六話『フラグ乱立!?』

第十六話『フラグ乱立!?』




 魔王城――王室には現在、魔王城主要メンバーがそろっていた。

 姫と中ボス側。

 そして魔王、妹、小ボス側で机を挿み、議論を交わしていた。

 

 そして、主要メンバーたちが集まっているのには当然、訳があった。


 今後、魔王城(ストーリー)の方針を決めるという、大切な議論。


「……えっ? 魔王様、今なんて言いました?」

「だ・か・ら!! 『フラグ』を沢山出せば、話に深みが出ると思うんだよ」

「沢山出しても回収できなければ、深みを出すどころか、中身のない話になるだけじゃない?」


 姫や中ボスが『フラグ乱立法案』に反対し、魔王を中心に妹と小ボスが推進側となっていた。


 

「『フラグを立てる』って言っても具体的に何をやるのよ?」

「ふふふ、よくぞ聞いてくれた、では心して聞くがいい」


 姫に指を指し、魔王は妹や小ボスに視線を送り、二人もそれに頷いた。


「人間共も、まさか国王と魔王(俺様)が手を組み、世界を滅ぼさんと、画策しているとは夢にも思うまい」

「魔族と人族を生贄に捧げ、≪ヘヴンズ・ドア(天国への扉)≫を開ける。そして、私たちは≪神≫となるのよ」


 魔王や妹が気味の悪い笑いを浮かべ、姫は「えっ!? なに、なんか始まったの!?」と齷齪(あくせく)していた。


(こころざし)半ばで死んだ、≪中ボス≫の為にも、この計画は必ず成就(じょうじゅ)させねば」

「ええ、亡き、中ボスの為にも」

「まさか≪タンスの角に小指をぶつけて即死≫とは、だれもが予想しませんよ」


 悲しさに皆が暮れる。そしてなぜか死んだことになっている中ボスは何ともいえない顔で呟いた。

「私、死んでるんですか……しかも物凄い無様じゃないですか……」


「そんな中ボスが死んでもう二日……俺たちもそろそろ悲しみから立ち直り、前に進まねばな……」

 「切り替え早すぎません!?」

「そろそろ、タンスの角から移動しなきゃね……」

 「まさかの現場放置!?!?」


「ですが、姫ちゃんが一部の魔族や人族を引き連れ、魔王様に反旗を翻し、魔王城攻略準備をしていると聞きます。

 数は少ないですが、勇者でも選りすぐりの精鋭揃いと……」

 「あれ? 意外に王道ぽくなって来たのね」

「あの程度の力で俺様に逆らうなど、片腹痛いわ。ついに本来の力に目覚めた俺様の前では、どんなものも敵ではない」


「おにいの計画はもう誰にも止める事は出来ない……」

「そうだ……ついに成就する。≪ヘヴンズ・ドア≫によって開かれるのだ。≪アニメ(二次元)世界への扉≫が!!」

 「二次元に行きたいが為に、全種族を生贄に捧げるって……私が反旗するわけね……」



「そして、後日」


 魔王がそんな事を言いながら立ち上がる。


「ついに開くぞ! ≪二次元≫への扉が!!」


 両手を広げる魔王、しかし、その魔王の顔色が急に変化する。


「くっ!? こんな時に!! まさかあの時『取込んだ』もの達が俺様の体で暴れているのか!?」

「魔王様、まさか!?」

「そうだ……あやつめ、最後の最後で我に歯向かうつもりなのか!?」

「おにいが倒れたら、この計画が!?」

 「妹ちゃんもノリノリね……」


「魔王様が『取込んだ』昼に食べたあの≪芋けんぴ≫が体内で腹痛(暴れて)いるですね!?」


一同「……………………」

 

(芋けんぴって……魔王、アンタ。最終的に芋けんぴが世界を救うの!?)

(先ほど『中ボスがタンスの角で~』のくだりから、アイツがやけにキラーパスばかり飛ばしてくると思っていたが、ここにきて分かった。 ≪確信犯≫だ!!)

(というか、すでに『フラグ乱立』云々と言うより、完全にストーリーを構築していると思うのですが)


 魔王と姫、そして中ボスを交え、秘密会議が行われる。

 キラーパスを放って張本人は気楽そうにドクターペッパーを一気飲みしていた。


「――ゴホン! ……やり直し!!」


 魔王の一声に、小ボスを除く皆が同意した。

 そして今度は、全員参加で開始する。


------------------------------------------------------------------------------------------------------


「姫がまさか『魔王の血族』だったとはな」

「ええ、私もアンタが『兄』だったなんて、予想もしてなかったわ」

「そして、宇宙誕生(ビックバン)の中心にして、すべての力の根幹が『シャドーモセス島』にあったなんて思いもしませんでした」


『…………』


(なんか物凄い情報が飛び込んできましたよ?)

(何その、シャド何とか島って?)

(スネーク(大塚)が潜入したところだ)

(え? 誰よ!?)


「――そうすべてはシャドーモセス島で始まったのだ、『あの時』の戦いからすでに一週間が経った……」

「あの戦いで、我々はすべてを失いましたからね……魔王様を『魔王』と呼ぶのも私達だけになりましたね……」

「おにいがあの時見せた『あの力』……あれをまた発動させられないの?」

「あれは易々(やすやす)と使っていい力ではない。あれは『世界を終わらせる』為の力だ。安易な考えで使えば俺たちどころか、世界すら壊す……」





「魔王様が放った大禁忌なる古代魔法……――終末術式≪芋けんぴ≫」





一同(すごい無茶振りぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!!!!)




 爛々(らんらん)と輝く目で、キラーパスを放つ小ボス。

 当然、そのパスを受けたくない皆は、自ずと小ボスから視線を逸らした。



「ですが、『世界中の食べ物を芋けんぴ』に変えるという、あの魔法……魔王様はどこで覚えたのですか?」


「(キラーパスの行く先は)俺様かぁ!? ……――ああ、あの技は『芋けんぴ』の王である。大学芋王から教えてもらったのだ」

(苦しい、いい訳ね)

(ですが姫様、正直、どのような言葉を並び立てようとも、あの無茶振りには対応できないかと……)


「だけどそんなおにいの力でも、『アイツ』には遠く及ばなかった」

「だが妹よ、あの時ッ――」「芋けんぴ!!」「…………クッ」


 すかさず『芋けんぴ』と叫んだ小ボスに若干たじろぐ魔王だったが、すぐさま対応してみせる。


「…………そう終末術式『芋けんぴ』が完璧に発動していれば『奴』も無事では済まなかっただろう」


(あぶねぇ……またしても小ボスの、謎の『芋けんぴ』押しが来たぞ……)

(おにい、ナイス!)


「おにいが『世界を終わらせる力』を持ち、姫には大鎌には『世界を創造する力』。この二つの力で世界を作る……それがおにいの≪世界二次元(アニメ)化計画≫…………これが成就されれば、世界中が平和になる」

「ああ、それにはまだ足りないものがある。願いを叶えると呼ばれる『賢者の――』」「芋けんぴだね!!」


一同(賢者の芋けんぴ!?)


(それは賢者専用のおやつなのか!?)

(とりあえず魔王様には縁のないおやつですね……)

(芋けんぴが何か分からなくなってきたわ……)

(おにい、もう私帰りたい……)


「…………はあ。 …………――解散!!!!」


 小ボスは「ほんとにあるよ」とふざけたことを主張していたが、当然皆はその言葉に耳を貸すことなく、王室を後にした。


------------------------------------------------------------------------------------------


 五日後。魔王自室にて。



 小ボスは魔王の部屋をノックし、魔王も入るように返事をすると、小ボスはドア少しあけ。

 顔を少しだけ出した。


「魔王様。『賢者の芋けんぴ』いります? 軽い願いなら六十回。袋丸ごと使えばどんな願いでも叶いますよ?」

「ハッ!? はは、さては俺様を担ごうと言うのだな? そんな物は存在しないに決まってる!」


 小ボスは袋から芋けんぴを一つ取り出すと「ドクターペッパーがほしい」と言い。

 手に持っていた芋けんぴは瞬く間にドクターペッパーに変わった。


「……へ?!」

「あと五十九本か……まだまだ飲めるね」


 小ボスはそういうと、魔王の部屋のドアを閉めた。

 唖然とする魔王だったが、我に返り、すぐにドアを開けるが、すでに小ボスの姿はなかった。


「えっ!? はあ!? あ゛ぁ゛!? どういう事だ!? おい待て小ボス! 俺様に袋ごと寄越せ!!

 待ってくれえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ