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第五話『息子』




花食亭で働き初めて五年目、

私が来た領とは反対側にある領で

大規模な飢饉が起きたそう。

どうやら自体を楽観視していた

若い領主様は食料の配給などせず、

引き換えとして平民の女性達を

差し出させていたのだとか。


どんどん増える餓死者の数に気付いた時には

もう遅く、領民達が反乱を

起こしてしまいました。

彼は殺されはしませんでしたが、

爵位を剥奪されてしまったそうです。

今はどこかの鉱山で働かされているのだとか。


新しい領主が選ばれたそうですが

まだ混乱は続いていて、こっちの領にも

たくさんの人達が流れ込んできました。

パンジーさんは迷う事なく炊き出しを決め、

花食亭の営業が終わったら避難民の方々が

集まるエリアで食事を配るように

なりました。


この領の領主様も活動を認めてくれたようで、

炊き出しの為の補助金を出してくれています。

避難民の人達が住んでいるのは

この街だけでも一ヶ所だけじゃないので、

日替わりでぐるぐると回りました。


重い荷物を台車に積み込んで、

シンジャさんに引いてもらって

目的地まで向かいます。

リコは当主として、飢饉の余波で

仕事が増えて忙しいのだとか。

倒れない程度で頑張ってほしいです。


今回の避難所はいつもより人数が多いので

大急ぎで準備を始めます!

何日も食べてない人が多いので、

具材を細かく切り、柔らかく煮た

温かいスープ。


最近、ようやく本格的に

調理も任されるようになった

アタシが今回のスープを作りました!

パンジーさんにチェックをしてもらって、

待っていた皆さんに配ります。

「おいしいおいしい」と食べてくれる人、

泣きながら無言で食べ続ける人。

……なんだか、パンジーさんが

花食亭を一人でも頑張って切り盛りしていた

理由が分かる気がしました。



「……。」


「あ、スープのおかわり?

待っててね!」



トラブルもなく (シンジャさんが

睨みを利かせていたのもあって)順調に

スープを配っていた時、汚れた布を被った

十歳くらいの小さな子供がスープを

取りに来ました。

布から見える手足はガリガリで、

こんな小さな子が……もっともっと

食べさせてあげたい!


すぐにお皿にスープをよそって渡すと

その子はお皿を手にしたまま、

動かなくなってしまいました。



「どうしたの? どこか痛いのかな?」


「おかあ、さん……。」


「えっ。」



いや、アタシに子供はいませんよ!?

まだ二十代のはじめだし、いや年齢的に

子供いてもおかしくはないけど!

こんなに大きな子は流石にいないかな……。


その子の顔をのぞきこんで見ると、

なんとまぁすごく綺麗な顔で。

明らかに訳ありの子です。



「ごめんなさい、おかあさんがいたら

こんな感じなのかとおもったんだ。」


「全然いいよ、一人なの?」


「……うん。」



そう言って綺麗な目を伏せる子。

きっとこのままだと、大変な目に遭うでしょう。

見た目が良い者はそれだけで値段が上がる!と

クソ親父が言っていた記憶が蘇ります。


貴族の娘は娼館に良い値段で売れるから、

顔の良い子供を貴族の子だと嘘言って

高く売り付けるとか……!!

駄目だ、ムカついてきた!!!!!!!!


すぐにパンジーさんに、この子を

保護したいと申し入れました。

「アンタは色々拾ってくるねぇ」と

呆れられてしまいましたが、そんな事

気にしている場合じゃないんです。

あのクソ親父みたいな連中のせいで

傷付く人を、少しでも減らしたかったんです。



「ぼくの、おかあさんになってくれるの?」


「お母さん……は、ちょっと早いかな?

でも好きに呼んでいいよ。」



綺麗な顔で気付くのが遅れましたが、

この子は男の子だったみたいです。

手を繋いで一緒に花食亭へ戻りました。



「じゃあシンジャ、男同士なんだから

この子を風呂に入らせな。

アネモネは空き部屋の掃除があるし、

アタシは着れる服が無いか探してくるから。」


「は?」


「アタシからもお願いね、シンジャさん!」


「相変わらずワガママに人を救いやがる。

まあ、それでこそオレの女神様なんだが。」


「……おかあさんは、お前のじゃないし。」



そして、パンジーさんが

彼につけた名前はカモミール。

カモミール……カミィはとても頭が良くて、

シンジャさん並み、いやそれ以上に

仕事を覚えるのが早かったんです!

すぐにホールの担当になりました。


キラキラと目立つ髪の毛は頭に巻いた頭巾で

隠していましたが、カミィの綺麗な

顔目当てで男女問わず来客が増したんですよね。

アタシとしてはカミィに変な虫が

つかないか心配で……シンジャさんに

相談したら「自分の心配をしろ」って。

大丈夫ですよ、アタシ地味だしブスなんで。


素直に甘えてくれるカミィが可愛くて

つい頬が緩んじゃいます。

この前も、「おかあさんとけっこんする!」

って言ってくれたんですよ!















ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



名前:カモミール

アネモネに拾われた十歳の男の子。

あだ名はカミィ。

実は現国王の隠し子で、王族としての

名前がつくならマトリカリア。

国王が平民の娘を気に入って拐い、

王宮の一室に監禁して無理やり孕ませた

子どもだが、王妃がその存在に

気付いて探し出し、自身の部下に殺させた。


そして平民の娘の生まれ故郷に

遺体を捨てさせたが、その時臨月だった

母親の遺体から産まれ、祖母に育てられた。


その祖母も飢饉により死亡し、

行く宛もなく避難所に辿り着いたところ

アネモネに出会う。

彼女の笑顔に見た事のない

母親の姿を思い浮かべた結果、懐く。


大きくなったら結婚する気なので、

今の内から自身の有能さをアピールする為に

お店の手伝いを頑張っている。

アネモネとパンジーには心を許しているが、

他の人間には外面だけ良いが

心の中では悪口を言いまくっている。

ただ、シンジャとリコリスには普通に

口と態度が悪い。





〖グラフ見本〗

危険性A……アネモネへの危険性(監禁など)

危険性B……アネモネ以外への危険性

戦闘力……どれだけゴリラか

知力……どれだけ賢いか

個別の何か……アネモネに対して抱いている何か


〖グラフ〗

危険性A……☆☆

将来、絶対アネモネと結婚すると思っている。

外堀が強すぎて埋められていないので

危険性はあまりない。


危険性B……☆☆☆

外面は良いのと、まだ幼く

選べる手段が少ない為。

大きくなればなるほど上がっていく。


戦闘力……☆

とても非力。

成長してもパワータイプにはならない。


知力……☆☆☆☆☆

とても賢い。

環境が揃えば飛び級で学園に行ける。


思慕度……☆☆☆☆☆

将来、大きくなったらアネモネと

結婚する気満々。

彼女の悪口を言う人を心の中で

軽蔑しまくっている。






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