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第四話『執行人』




シンジャさんも一緒に働くようになって

一年が経ちました。

一人だけとはいえ人手が増えた事により、

仕事に少し余裕が出てくるようになりました。

見た目が怖いですが、仕事は丁寧で

ちゃんと注文も聞けますし、アタシより

ミスが全然無くて……く、悔しい!


アタシが来る前、パンジーさん一人で

切り盛りしていたらしいですが……

どうやってあのお客さんの数を

捌いていたんでしょうか?

調理や接客を一人でこなすのは

大変だったのでは?


とにかく、今日も花食亭は満員御礼!

調味料が足りなくなりそうなので、

お使い係のアタシは商店に向かいます。

シンジャさんもついて行きたそうな顔を

してましたが却下です。


以前根負けして一緒に買い出しに

行ったんですがあの人、

アタシにぶつかって来たハゲ……おじさんを

掴み上げてぶん投げちゃったんです!

しかもその後、おじさんのハゲ頭を

潰しちゃうんじゃないかってくらい

踏みつけてて。

叱ってようやく足を離してくれましたが

あれ以来、怖すぎるので駄目です。

目を離した瞬間に、アタシに何かした人を

殺す気がするんで。



「あああ、あの、ア、アネモネ……!」


「……あれ? リコじゃない!」



頼まれた買い物を全部終わらせて

花食亭に帰ろうとした時、

後ろから声をかけられました。


振り向いた先に立っていたのは

アタシの友達のリコ。

話すのが苦手で人見知りな子ですが、

背が高くてスタイルが良いので羨ましいです。


数年前、お店の前で泣いていた彼女に

声をかけてから仲良くなったんです。

ここ最近はめっきりお店に来てなくて……

久しぶりに友達と会えて、

すごく嬉しくなっちゃいました!



「リコ~! 最近お店に来てくれないから、

何かあったのかと思ったよ!」


「ご、ごごめんね、あの、わ私、

いいい今まで、忙しくて……。」


「元気そうで安心したよ!

時間があるなら一緒に花食亭に行かない?」


「い、行く! 行くよ!」



彼女の家は特殊な家らしく、

詳しくは知りませんがあんまり家族仲が

良くないんですって。

特にリコは家族から嫌われていて、

辛かったのだと。


……アタシもクソ家族に苦しんでましたから

苦しい気持ちが少し分かります。

だから初めて会った時、親身になって

話を聞いちゃって、最終的に愚痴と

悪口祭りになったんですけどね!


あ、でも! 今リコに話を聞いたんですが、

実は彼女、家の当主になったそうなんです!



「だからお店に来なかったんだね。

誘っちゃったけど、時間は大丈夫?」


「だ、大丈夫!

ととと友達、が、一番大切、だから!」


「嬉しい~!

今日はアタシが奢るね!」



話していたら、あっという間に

花食亭に着きました。

シンジャさんが入り口で待っていて

リコの顔が少し固くなります。

やっぱりシンジャさん怖いよね、分かる。



「女神様……と

なんだお前、生きてたのか。」


「……。」


「シンジャさん、リコに威嚇するの

止めてくださいよ!

顔が怖いの自覚してます?」


「ハッ、オレの顔を怖がるような

タマじゃねえだろうよ。


それより女神様があんまりにも

遅いモンだから、ババアがオレを迎えに

寄越そうとしたんだぜ。」


「えっ、それは……ごめんなさい!

リコちょっと待ってて!

シンジャさん、リコをいじめないで下さいね!」


「それは啓示か?」


「た だ の お 願 い!」



パンジーさんに謝らなきゃ!

リコを入り口に置いて、アタシは

大急ぎで調理場に走りました。

シンジャさんと一緒に待たせちゃって

ごめんねリコ! すぐ戻るから!



















「上手いモンだなぁ、猫被り?」


「お黙りなさい、鶏ガラ風情が。」






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



名前:リコリス・サリパス

代々死刑執行人を担うという、

特殊な立ち位置のサリパス伯爵家に

生まれた令嬢。

愛人の子供として父からは存在を無視、

正妻と同い年の兄から虐げられて育った。


だが、実際は彼女が正妻の子供。

父親であるサリパス伯爵が、最愛の妾の間に

産まれた息子を気性の荒い正妻から守る為、

同じタイミングで産まれた二人を入れ換えた。


本来の母親である正妻からも、

偽の母親の妾からも痛めつけられる人生に

絶望し、遠くの領まで逃げ出して

泣いていたところをアネモネに話しかけられ、

友達になった。


初めて自分に優しくしてくれた

アネモネに依存する事となり、

彼女の役に立てるよう権力を欲し始める。

そして自身の出生の秘密を知って

まず、父親と妾による本来の跡取りの

すげ替えという罪を告発して二人を失脚させる。

そして、真実を知り己に縋りついてきた

母親の心を破壊。

偽物の跡取りである兄は決闘で殺害。


そしてリコリスはサリパス家当主となって

執務をこなしつつ、仕事の合間に

アネモネに会いに行く生活をしている。


普段は貴族らしく着飾っており、

整った顔立ちもあって美しい。

アネモネに会う時は、昔のように

ボロボロの格好で会いに行く。





〖グラフ見本〗

危険性A……アネモネへの危険性(監禁など)

危険性B……アネモネ以外への危険性

戦闘力……どれだけゴリラか

知力……どれだけ賢いか

個別の何か……アネモネに対して抱いている何か


〖グラフ〗

危険性A……☆

とにかく嫌われたくないので、

アネモネの前では大人しい。


危険性B……☆☆☆☆

彼女と敵対したら、いつの間にか

処刑場の床に座らされている事だろう。


戦闘力……☆☆☆☆

腕が良いのでよく指名される。

スパッと。


知力……☆☆☆☆

一族の当主としての書類仕事も

なんなくこなせる。


依存度……☆☆☆☆☆

次から次へ舞い込んでくる仕事を

猛スピードで終わらせて花食亭へ向かう

時間を捻出している。

アネモネが精神安定剤なので、

行けなくなると私生活が大荒れする。

彼女に会えた日しか安眠出来ないので

隈がすごい。







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