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第一話『地獄』




「ハッ、本当に来たのか?

卑しい平民上がりのお前が僕の妻になれると

本気で考えていたなんて、

聞いていた通りおめでたい頭だな。


優しい僕が金を恵んでやる、

さっさと消えろ!」



はい、どうもこんにちは。

今日クソ両親から「結婚しろ、出ていけ」と

身一つで追い出され、結婚相手の家と

伝えられた場所に来たら性格の悪そうな

夫らしき人物に門前払いをされた

アタシはマリー・アグドーン。


ついこの間、男爵?家だかなんかになった

成り上がり貴族の娘です。

つまり少し前までは平民だったんですよね。


……ウチのクソ親父はとにかく悪い噂の

絶えない人で、爵位なんてものを

どうやってゲットしたのか、

考えたくもないような真っ黒人間。


ちなみに同じくらい真っ黒で性格最悪の

母親は、昔は美人だったんだろうな~って

見た目です。

いや、今は豚としか言いようが……ゴホン。


妹もいますが、こっちは美人。

母親が若い頃はこんな見た目

だったんだろうな~って感じです。

性格? 察してください。


守銭奴のクズに、浪費家のブタ、

性欲の権化のゴミ、そしてなにもないブス。


家族仲は良かったんですよ、

ブスのアタシ以外。

手はあかぎれだらけ、身体はガリガリ、

掴んで引きずりやすいように

伸ばさせられた髪は枝毛しかなく、

腫れぼったい一重とくすみきった茶髪、

ぱっとしない緑の目のアタシ以外は。


というか、全員でアタシをイジめて

絆を深めてたんじゃないですかね?

アタシだけ同じ食卓を囲むのを

許されてなかったので、笑われながら

床に直置きされた皿から素手で

食べさせられてましたし、洗濯とかの

水仕事もやらさせました。


ちなみに、ただの嫌がらせなので

アタシが洗った物を使用人にもう一度

洗わせてましたけど。

その他には寝室に連れてかれて

ムチで打たれたり、蝋燭を

押し付けられたりもありましたよ。


幸い「枯れ枝のブスなんて抱く気はない」って

言われて放置されたのでアッチは無事です。

ただ、アタシを痛めつけるのがプレイの

一つに入ってたみたいで、痛めつけるだけ

痛めつけたらアタシが見てる前で行為に

励み始めて気持ち悪かったです。

しかも時々、クソ妹がプレイに混じってたし。


今回は突然呼び出されてニヤニヤしながら

追い出されたから、家族……

あの連中を家族なんて言いたくないな。

アイツらはアタシが門前払いされる事

分かってたんだろうな。

学校にも行かされていないアタシが就ける

職業なんて限られてるだろうし、

どうしたもんでしょう。


考えてる途中で気付きました。

そうだ、今知らない人の家の前だった、

ボーッと突っ立ってたら迷惑ですよね……。

ふと足元を見たら、夫らしき人が

ばらまいたお金が散らばってました。

全部でざっと3000ドゥーン……3000ドゥーン!?

お店で食材買ったら無くなるじゃないですか

こんなお金。


どや顔を披露してた割に

お金持ってないんでしょうか。

でも屋敷は大きいしな……とりあえず、

持っていったら後から倍の金額を

せびられそうなので放置して帰ります。

あ、帰る場所無かったや。


豪華な屋敷を出て、ひとまず町を歩きます。

お金は無くても見るだけタダですからね!

歩くのもタダです。

馬車なんて出して貰えないので、

家からあの屋敷まで六時間歩いて来ましたし。

裏路地に行けば翌日死体で

発見されるでしょうが、アタシまだ

死にたくないので。


周囲の人の目が気になりますが、

殴られる訳じゃないのでスルーします。

いやぁ、自由っていいですね。

十六年の人生で初めての自由です。


……そうなんですよね、

これからどうしましょう。

お金もないから働かなきゃいけません。

そもそも、働く場所、住む場所も

見つけなければならない訳で。

学校に行ってないので文字も読めない

アタシはなんの仕事なら出来るんでしょうか。


クソ妹は行ってましたけど、あれは

どう考えても男漁りに行ってるだけ

だったような……毎日違う男の人

連れ込んでましたからね。

一部の人から襲われかけた事ありますし。

うーん、家事なら多少は出来ますが……。













「ちょいとお嬢ちゃん、助けとくれ!」


「え、あ、はい。」





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