老親を看る
老親を看るということは
ベッドから車椅子に移乗するときに腰を痛めそうだ、とか
食材を細かく刻んで食べやすくしないといけない、とか
トイレでズボンの上げ下げを手伝ってあげて、とか
お風呂に入れるときに身体を抱えて、とか
そんなことじゃなくて
昨日は自分で立てたのに今日は、とか
食べ物がぽろぽろ口からこぼれて床に散らばったり、とか
どれだけ洗っても臭いがとれないような気がしたり、とか
一生懸命やっているのに嫌がられたり、とか
まるで赤子のように無邪気に喜んでいる姿を見せられたり、とか
何かを訴えているのに理解できなかったり、とか
思わずひどく怒ってしまったり、とか
犬をしつけるような気持になってしまったり、とか
不意に他人を見るような無表情を向けられたり、とか
ああ、もうすっかりよくなって元通りだね、って笑う夢を何度も見たり、とか
もう嫌だ、って言葉を飲み込んだり、とか
ソファに寝転んで天井を見つめたり、とか
どうして、って思ってしまったり、とか
そういうことだった
そういうことだったんだ
そういうことだったんだよ