燃える愛・1
「ならば、早急に屋敷の皆に伝えて、この一件を立証しなければ! ラファエルがするべき事は今はそれだろう!」
「でもヴァレンティーナが……」
「私は大丈夫だ! こんな怪我くらいなんだ! さぁやるぞラファエル!」
気高いヴァレンティーナ。
腕の中の可愛い恋人が、いつもの凛々しいヴァレンティーナになってラファエルは微笑む。
「さすがヴァレンティーナ! あぁ、それではすぐに俺達で処理しよう」
「うむ! この一件で終わりにしてはいけない」
「そうだな。……じゃあ、全て終わったその後は……」
「そ、その後は……」
「ヴァレンティーナを俺が癒やす時間……にしていいのか?」
「なっ! ……す、好きにしろ……いや……そう、してほしい」
凛々しさが消えて、両手で顔を隠すヴァレンティーナ。
「……可愛すぎるよ……ヴァレンティーナ」
また口づけをされて、今度はもっと甘いキスだった。
ヴァレンティーナが、皆の前では恥ずかしいから降ろせと言ったので、ラファエルは仕方なく手を繋いで歩く。
が、その手も玄関で離された。
二人は屋敷に戻ってすぐに使用人達に協力を求める。
「みんな! 聞いてくれ! 緊急事態だ!」
「「ヴァレン様に、なんてことを!?」」
「「道場を!? 許せん!!」」
破れた服だけを着替えて、現場へ向かう。
「「ヴァレン様を傷つけるなんて、絶対に許せない!!」」
アリスとローズは怒り狂って、昏倒している男達を斬り殺さんとする勢いだった。
この村にも当然、国から派遣された警察隊がいるのでそこの駐在所に連れて行き拘束させた。
男達へは数日をかけて厳しく事情聴取する事になるという。
ヴァレンティーナ達へも夜中から朝方までの事情聴取になったが、国に対しての報告も迅速にすると伝えられた。
「これだけの大事だ。辺境伯にも、すぐに連絡をとった方がいいだろう」
バカ息子の父親・辺境伯へは早馬で手紙を手配した。
早朝だと言うのに駐在所にラファエルや屋敷の人間が大勢いる異常事態に、村人も気が付いて集まってきた。
それは野次馬ではなく、ラファエルに対する心配、信頼と友好の証だ。
「「なんですって! ラファエル様の道場に襲撃を!?」」
「「しかも客人に怪我を!!」」
「「あいつら、もう許せねぇ!! 磔にしてしまえ!!」」
使用人達も村人も警察隊も、今回の一件でドラ息子への不満が一気に燃え上がった。
一揆のように武器を持って、辺境伯屋敷へ乗り込もうという者もいた。
そうなれば死人が出るのは目に見えているし、辺境伯への反逆として村が逆に罪を問われる事になってしまう。
「みんな、今回の騒動はヴァレンティーナが未然に防いでくれた……が、彼女は怪我を負わされた。俺は血が煮えくり返る程にあいつらが憎い! でもその憎しみのままに血を流してはいけないのが今の世だ」
まだ泥が残っているラファエルのジャケットを、着たままのヴァレンティーナ。
それでも美しく凛々しい姿に、村人達は見惚れた。
彼女の肩に優しく手を置いて、その場にいる者たちにラファエルは説明を始める。
「あいつらは法の元で、俺が必ず叩き潰す。だから皆も、どうか堪えてくれ」




