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男装の二刀流令嬢・ヴァレンティーナ!~婚約破棄されても明日を強く生き!そして愛を知る~  作者: 兎森りんこ


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二刀流令嬢・ラファエルとの話にワクワクする・2

 ラファエルとの手合わせの話で、ワクワクしてしまうヴァレンティーナ。


「あはは! ヴァレン、明日が楽しみだな」


「しかし……明日に雨は上がるだろうか」


 外はまだ雨の音が響く。

 

「なーに、道場があるから気にするな」


「ど、道場だと……!? ……なんて素晴らしいんだ……」


 ヴァレンティーナの瞳が更に輝く。

 美しい顔はそのままだが、アリスが見ると驚くほどに興奮した表情だ。


「あの~~ラファエル様って何者なのですかぁ?」


 ヴァレンティーナの脳内は薔薇が咲き誇って、アリスの言葉にハッとなる。

 そうだ、君は何者なのだ!? と嬉しさで叫びそうになる。


「没落貴族の二代目だよ」


 周りの召使い達が、ラファエルを見る。


「没落バンザイーー!!」


 一人が酒瓶を抱えて叫んだ。

 すでに出来上がっている。

 しかしメイドもそれに同調するように盃を掲げる。


「どういう事か……聞いてもいいか?」


「剣豪伯爵ラウドュース家。辺境伯だった親父の代に、侵略隊にうちの剣術を伝承し指導するように言われたんだ。それを拒否した」


「まぁ!」


 アリスが声をあげて驚いたが、王への反逆罪である。

 ヴァレンティーナも同じように驚いた。


「お二方! ラファエル様はこの村の正義さ!! 先代はラファエル様の答えで、覚悟を決めたんだ! 『我がラウドュース剣術は罪もない人を殺す剣なのか! そんな事は間違っている! 剣は人を守るためにあるんだ!』と雄々しく叫んだのを俺は覚えている!」


 また一人の男が叫んだ。


「……よく一族無事でいたものだ……」


「そう思うよな。爵位は剥奪されたし、領地も奪われた。この屋敷周りの土地と畑だけ……先祖の功績からの寛大な措置だってさ」


 一昔前なら一族皆殺しにされていても、おかしくなかったかもしれない。

 

「……それは……お、お父上は今……?」


 金と名誉に執着した人間しか見てこなかったヴァレンティーナにとって、この親子の決断は驚くべきものだった。

 剣は守るもの――人生を懸けてそれを貫いた――。


「元気に道場をやっていたよ。畑を耕して、牛を飼って貴族生まれの育ちだったのに、なんでもやった……村のみんなには沢山助けてもらって……でも、まぁ無理もあったんだろうね……病気で数年前に亡くなった」


 少し悲しそうなラファエルの顔を見て、ヴァレンティーナも自分の母を亡くした時の事を思い出す。


「そうか……では君が今は師範をされているんだね」


「うーん師範って言っても、ラウドュース剣術はその時にもう封印されてしまってね。今はごく一般的な王国騎士剣術を教えているよ」


「……そんな……」


 美しいヴァレンティーナの凛々しい顔が、悲しく歪む。

 ヴァレンティーナ自身が酷く傷ついたような顔だった。

 一瞬、その悲しげな顔を見てラファエルも止まる。

 

「あ……ヴァ、ヴァレン。いいんだ。過去の事だし、何も気にする事はないさ」


「……あぁ、すまない……込み入った事を聞いてしまった」


「心配してくれて、ありがとうな! 王国騎士剣術でも俺は強いぞ! 手合わせでも負けないからな!」


「当然だ! 私も王国騎士剣術で挑もう!」


 ヴァレンティーナの答えに、ラファエルは笑って酒を飲み干した。


「さぁまだまだ食べて飲もう。アリス、うちの畑でとれたオレンジは美味いぞ」


「わぁい。いただきますー!」


 アリスがナイフで切ると、爽やかな良い香りがする。


「美味しい~ですねぇ! このオレンジ!」


「あぁ、うちの村の特産品なんだ。紫リンゴも大好物だけどオレンジも最高に美味いだろ?」


「はい~! こんなに甘さと酸っぱさが上手に調和したオレンジは初めてですね~皮からの香りが抜群に良いです」


「おお、わかってくれるかアリス。嬉しいよ」


 ヴァレンティーナも瑞々しいオレンジの甘さに感動するが、アリスの上手な褒め言葉に関心する。

 口下手な自分とは違って、アリスは本当に素直で思った事を上手に口に出す。

 妹分と言っても、ヴァレンティーナはアリスを、とても尊敬しているのだ。

 

「おーいお前達、明日もパーティーするんだろ? ほどほどにしておけよ~!」


 ガハハと盛り上がる男達に、ラファエルが言う。

 皆が返事をするが、酒を飲むペースは変わらない。


「みんな、俺を様なんか付けてくれるけど一緒に働いている仲間で、家族なんだ」


「素敵なことだと思います」


 ヴァレンティーナが頷く。

 ラファエルも微笑んで、ヴァレンティーナのグラスにワインを注いだ。


「お前とはよい友達になれそうだ」


 屈託のない笑顔。

 いつもは一杯で断るのだが、その言葉にヴァレンティーナも嬉しくなり二人は二度目の乾杯を交わした。

 

 

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