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消える私と王子様 〜異世界から来た私は嫌われ令嬢と体をシェアしています。  作者: ねここ
第二章

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ダメな皇帝に出来るのはあなただけ


「ラファエル様、ほどほどになさってください」


 眠れなくて酒を飲んでいる私にアディは呆れ顔で言った。幼い頃から私を見てきたアディは私がユイカを愛するようになって喜んだ。ようやくラファエル様の心を溶かす女性が現れたとユイカを大切にしてくれていていた。ユイカもアディを頼ってくれていた。アディはユイカの事を毎日報告してくれていたがヘレンとの結婚式の件でタウンハウスに二日戻らなかった。


 アディがいない間エデル達はユイカはいつものように過ごしていたと報告してくれたが、ユイカはそうせざるを得なかった。自分の感情を出すわけにもいかず、一人になる時間もなくユイカはこのタウンハウスのベットの上で泣いていたのだ。


 私は二度も彼女を失ってしまった。



 

 ユイカが去って四週間が過ぎた。


 深夜になりラファエルはふらつきながらタウンハウスの階段を降り外に出た。今日も公園にゆく。騎士達が何処かにいると思うが、何かがあった時以外姿を現さない。


 公園内にあるベンチに横になり空を見つめていた。こんなにだらしのない皇帝はいないだろうな。自暴自棄になっている私は自虐的に笑った。その声も静かな公園に虚しく響く。音一つしない深夜の公園はこの世界に自分一人しかいないように感じさせた。そんな気持ちを打ち消すようにラファエルは星空を見上げた。



「北斗七星、北極星、天の川、うしかい座のアルクトゥルス、乙女座の、、」あの日、初めてユイカの正体を知った夜ユイカは星を見つめながら言っていた星達の名前。



「、、。あの明るい星の名前、覚えていますか?」



 この声!


  ラファエルは起き上がり声の主を見つめた。

「、、スピカ、、意味は麦の穂だ、、私にとって麦は特別な思い入れがある。あなたと初めて分かり合えて仕事をした,,思い出の麦だ。、、、ユイカ、、」



 ユイカは髪が乱れ輝きのないラファエルを見つめた。私にとっても麦は特別な思い入れがある。スピカ、あの明るく輝く星はあなたの様だと思っているのよ。


 ラファエルは一歩も動けない、動けばユイカが消えてしまいそうで、、。



 ユイカはボロボロになったラファエルを見つめため息を吐いた。

「ラファエル、見ていられないほどボロボロになって、、それ作戦?」ユイカは笑いながらラファエルの前に立った。


「ユイカ、私をただの無能な、ボロボロの男にできるのは、、あなただけなんだ。」ラファエルも立ち上がりユイカを見つめた。


「、、折角この国を良くしようと思っても皇帝がこれではダメだから、皇帝をどうにかしなきゃね。」

 ユイカはそう言ってラファエルを抱きしめた。そしてユイカはラファエルの手を握り歩き始めた。

ラファエルは突然現れたユイカに対して何をどう言えば良いのか分からずただ黙ってユイカに手を引っ張られ歩いた。ユイカはラファエルのタウンハウスに戻った。


 アディはユイカを見て驚き、そして「よくぞ、、戻ってきて下さった」と言って瞳を潤ませ深く頭を下げた。

「アディ様、心配をおかけして申し訳ありませんでした」 ユイカも同じように瞳を潤ませアディに頭を下げた。ラファエルはまるで魂が抜けたように何も言わずその様子を見つめている。


「アディ様、この皇帝様、今から説教します」と言ってユイカは微笑み、ラファエルを連れて部屋に入って行った。ラファエルは終始無言でユイカに引っ張られ中に入った。


 ユイカはラファエルをソファーに座らせ、自分も横に腰掛けラファエルを見つめた。ラファエルはユイカが目の前にいる事が信じられなくユイカを見つめ言った。「ユイカ、、私がユイカを大切に出来なかったから、、ユイカは去ってしまった。後悔してもユイカのいない現実は変わらない。それならその現実を終わらせたい。そう思って自暴自棄になった。」


 ユイカはラファエルの手を握った。「ラファエル、私、ラファエルの事とても遠くに感じて、私がいなくてもラファエルは皇帝として自分の役割ができてるし、エレノア様も、ヘレン様もラファエルを愛してくれているし、、、そんな現実を見たら、もうあなたを諦めようと、あなたの前から去ろうと思ってしまいました。」


 ラファエルはユイカに言った。「ユイカ、、抱きしめても、良いか?」ユイカは頷いた。「ユイカ、、」

ラファエルはユイカを胸に抱きしめユイカの存在を確かめるように何度も力を入れてユイカを感じていた。


「城の外に出ると偶然ジャスミンに会って、号泣してる私を連れてそのままチェスター様の領地にある別荘に連れて行ってもらったの。そこでジャスミンとずっと一緒にいて、元気になって、でもチェスター様からあなたのことを聞いて、、戻ってきたの」


「、、、チェスターとジャスミンは、、あいつら、、ユイカを保護してくれていたんだな、、」ラファエルは力が抜けたようにユイカにもたれかかり、ユイカはそのままソファーの上に倒れた。「ラファエルには言わないでと私がお願いしたの、、だって本当にあなたの前から消えようと思ったから、、」ユイカの上に覆いかぶさり抱きしめていたラファエルは起き上がり、倒れたままのユイカの髪に触れ言った。「ユイカ、なぜ戻ってきてくれたんだ?」ユイカはラファエルの頬にそっと手を当て微笑みながら言った。


「ボロボロになった皇帝を見ていられなかったの。いつも威厳があって気品があって、堂々としているあなたが、酔っ払って公園で寝てるなんて、、あなたをこんなダメな皇帝に出来るのは私だけで、エレノア様にもヘレン様にも出来ないわ。そして良い皇帝に出来るのも私だけ。そうでしょ?ラファエル様?」ラファエルはユイカの顔に自分の顔を近づけ言った。「世界でただ一人ユイカだけ。私を生かすのも殺すのもユイカだけができるんだ」


 ラファエルはユイカにキスをした。ユイカもラファエルの首に手を回してラファエルに抱きつき、そのまま何度もキスをくり返した。「ラファエル、心配かけてごめんなさい、愛しています」抱きしめるラファエルに言った。


 ラファエルは目を細めユイカを抱き起こした。胸に顔を埋めるユイカを抱き上げ部屋を出て、アディに城に戻ると告げ、ユイカを連れて城に戻った。



 

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