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消える私と王子様 〜異世界から来た私は嫌われ令嬢と体をシェアしています。  作者: ねここ
第二章

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私がいなくても



 その翌日も休みだった。今日は昨日のことがあり気分は落ち込んでいた。飲みに行く気力もなくなりそのままタウンハウスに戻りた眠った。

 ラファエルとヘレン、一緒にどこかに出かけたのね。ラファエル、あの時どう思った?エレノアに絡まれた私、ヘレンに使用人と間違えられた私を見てラファエルはどう思った?あの状況で私に声をかけるなど出来ない事は十分にわかっている。わかっているけどこの圧倒的な差を目の前に私は何一つできる事がないこの世界の仕組みから逃げたくなったのよ。あなたが私を愛していてもそれだけを頼りに生きてゆけない現実に気付き始めてしまった。

 

 ああ、朝からこんな事を考えるなど気が滅入るわ。とにかく今は気分転換が必要だから、街に出よう。


 ユイカはパトリシアとグリーンのマイクと共に街に出かけた。あてもなく散歩しながら街並みを楽しんでいた。

 「そういえば、この街教会か何かあるのですか?時々鐘の音が聞こえる」ユイカは鐘の音を聞きながらマイクに話しかけた。「あ、あるには、、あります」マイクはちょっと含んだ言い方をした。パトリシアがすかさず「ユイカ様、行ってみますか?」無邪気に聞いてきた。


ユイカはマイクをみるとマイクは一瞬目を背けた。何かあるんだ、、。「うーんやめておく、今日休みで人が多そうだしね。」ユイカはそう言ってマイクを見ると安心した表情に変わった。


 ユイカの心に重いものがまた乗った。



「じゃあ、美味しいもの食べよっか!」ユイカは笑顔を浮かべパトリシアとマイクに言った。「ユイカ様、最近できたカフェでオープンテラスになっているところあるんです、行ってみませんか?!」パトリシアは目を輝かせユイカに言った。行きたいのかな?パトリシアは若いし流行に敏感だから付き合ってあげよう「行こっか!」


ユイカはパトリシアに案内されて路面に面したカフェに入った。そのカフェからラファエルの住むお城が綺麗に見え一枚の絵葉書のようだ。景観がとても素敵だ。多くの人が路面の設置された椅子に腰掛け思い思いに過ごしている。ユイカもすこし日陰になる場所に腰をかけ絵葉書のような城を眺めていた。気持ちが良い。三人は軽食を食べ食後のお茶を飲んでいた。


 近くに若い令嬢達が座っており楽しそうに話をしている。話題の中心はラファエルだった。

「本当にラファエル様は麗しくて、、先日のパーティで少しお話ししたの、あまりの麗しさに何を話したのか忘れてしまったわ!」


 「わかるわ、、あんな人が自分の夫だなんてエレノア様はお幸せですわね。随分と仲がよろしいようですわ」


「ええ、私もあの日お二人のキスを見たんです。とってもお美しくって、愛を感じましたわ」


 そっか。そんな事があったんだ。ラファエルは必要ならキスをすると言った。胸の中に鉛が溜まったようにズンと重くなった。


「でもヘレン様もお可愛らしい方で、遠くから嫁いでこられ寂しい思いをされているそうよ。でもそんなヘレン様をラファエル様は大切にされているそうで」


「あ、昨日見ましたわ、一緒に宝石を見ておられましたわ。ラファエル様プレゼントなさったようで、ヘレン様喜んでラファエルに抱きついていらしたのよ。可愛らしい方だわ!」


 昨日馬車で出かけたのはその為だったのね。出かける前に私に会ってしまってラファエルはどんな気持ちでいたんだろう?ああ、でもラファエルは必要なら愛も語ると言っていた。ユイカは血の気がひいたように指先が冷たくなった。


「あ、今日じゃない?結婚式、近しいものだけでということで教会でされるって」


 、、。そっか。そうだったんだ。この結婚は皇帝として逃れる事ができないと言っていた言葉、今は胸に突き刺さる。、、今日式を挙げるのね。ラファエルはヘレンと教会で愛を誓うんだ。嘘でもラファエルは愛を誓ってしまうのね。ユイカは心配そうに見つめるパトリシアとマイクに心配かけないように何事も気にしていないようなそぶりで食後の紅茶を一口飲んだ。味などしない、ただの液体に感じた。


「あ!!ラファエル様とヘレン様の馬車がきたわよ!!」

誰かが叫んだ。皆立ち上がり二人の姿を見ようとしている。皇室の紋章が入った美しい馬車の列が目の前を通り過ぎて行く。その中にラファエルがいた。マイクが敬礼をするとラファエルにここに私がいるとわかってしまう。私はラファエルに見られたくないし見たくない。ユイカはマイクを見るとマイクは腰掛けたままお茶を飲んでいた。ラファエルを乗せた馬車が通りすぎていった。



 ユイカは心配そうに見つめるパトリシアに微笑んで「大丈夫だから心配しなくて良いよ」と笑いかけた。マイクは黙っていた。「マイク様、今日は立たなかったのね」ユイカは微笑みを浮かべながら聞くと「立ちたくない時もあるんです」とマイクは言った。


あ,その言葉心に届いてしまう。


 マイクの気持ちに泣きそうになったが何も言わずに微笑んだ。「そろそろ帰ろっか」三人はタウンハウスに戻った。

いつものように食事をし、食後はソファーで本を読み、そのまま眠って、途中でパトリシアに起こされベットにゆき、一連のことを思い出し泣いて、泣き疲れユイカは眠った。



 翌朝城に出勤すると、朝から何か騒がしい。行き来する使用人に何かあったのかと聞くと、「エレノアさまにご懐妊の兆候が!」と教えてくれた。


 そっか、、、私がいなくてもこの世界は回っているんだとわかった。私がいなくても。


 ユイカはこの騒ぎに乗じて一人城から出て行った。帰る場所も行く場所も無い。


 ジャスミンはチェスターと幸せになってほしいから邪魔できない。


 私、本当に行く場所がどこにも無いんだと気がついた。

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