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消える私と王子様 〜異世界から来た私は嫌われ令嬢と体をシェアしています。  作者: ねここ
第二章

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現実は近寄れない人



 ユイカは街広場に移動し改めてポールとビリーに自己紹介し、このプロジェクトに参加して欲しいと頼んだ。二人はそのオファーを喜び一緒に来た仲間も賛同し全員でさまざまな事を話し合い有意義な意見交換ができた。

「では明日が最終日です、明日取りまとめましょうね。」ユイカはここで解散すると言って城に戻ろうとした。

「ユイカ様、また飲みましょう!!」ポールとビリーは笑顔で手を振ってくれた。他の代表達も「その時はお誘いください!」そう言って全員が頭を下げユイカを見送った。


 城に戻りどっと疲れが出た。さっさと報告書を書いて帰ろうと窓の外を見た。


「あ、ラファエル、、」ユイカはラファエルを見た。ラファエルはミルクティー色の髪にグリーンの瞳をしたお姫様をエスコートしながら他国の要人に挨拶をしていた。第二夫人か。

 窓から見るラファエルはとても遠い人に思えた。実際も遠い人。今日顔を上げてラファエルを見る事が許されない立場なんだと初めて思い知った。愛し合っているとはいえ実際は近くにも行けない。目を合わすことも出来ない。どんなに愛されていてもこの現実には勝てない。喉の奥が詰まったようになり胸が締め付けられる。


 苦しい。見たくない、遠い人だと認めてしまう。愛し合った事が夢に思えてくる。

ラファエルは微笑みを浮かべ第二夫人の手を取り時々見つめ合い幸せそうに色々な人と挨拶を交わしている。「必要なら愛も語るしキスもする。逃れることはできない」ラファエルが言った言葉を思い出し唇を噛んだ。「見せたくない姿を見せてユイカが去ってしまうのが怖い」、、ラファエルはこの姿を私に見せたくなかったのね。顔に両手を当て涙を堪えた。想像以上に辛い。だけど左手の薬指に皇帝の愛の証がある。愛の証、、。証があっても愛を誓ってくれた人は隣にいない。ユイカは左手の指輪を見つめ胸の前で両手を組んで瞳を閉じて自分を落ち着かせようとした。

 

けれどすぐに目を開けて窓からラファエルを見つめてしまう。ラファエルの薬指に指輪が見えた。第二夫人とペアのリングだとすぐにわかった。ラファエルは私の前で指輪をつけていたのはこの世界に戻り再会したあの日だけ。あの日以来見ていなかった。けれどここではつけているんだ。そうだよね,結婚しているんだもの。

苦しい。見たらダメだ。、、、帰ろう。


 ユイカは帰り支度をし、廊下で待っていたロデオと共に真っ直ぐタウンハウスに戻り何も考えないようにしすぐに眠った。そうしないと心が守れそうになかった。



 会議最終日の朝、今日は気分最悪だった。ラファエルの事と疲れもあり暗い色を選んだ。紺色のワンピースに左右の三つ編み,リボンも紺色で存在感を消すような暗さだ。今の気分に合っている。伊達メガネをかけると意外に文学的な雰囲気のある格好になった。言い換えると地味で目立たない。昨日のミルクティーの姫、ふんわりした可愛らしい雰囲気で、エレノアとは全くタイプが違った。、、、。エレノアは美しい、昨日の第二夫人は可愛らしい。それに比べて、、私は、、こんな格好しなくてもあの華やかさは無い。はぁ、、ため息ばかり。人と比べるって辛い事なのにどうして比べるんだろう。冷静に自分を客観的に見るためなのか、それとも自分の良いところを探すため?それとも、、何かを悟るため?


 忘れよう、仕事、頑張ろう。それしかない。それしか出来ない。



 いつものように執務室に行くとジュリアナがいた。「ユイカ様!昨日の事大騒ぎになってます!ユイカ様は天才ですか?!!もう一生ついて行きます!」ユイカは首を傾げた。「何のこと?」「ユイカ様はこの国の産業の革命を起こしたと噂になっております。物流までおさえるとは、、神様かと思いました」ジュリアナは興奮している。

「、、聞いたでしょう?エデル様から。賭けをして勝っただけでたまたまよ」ユイカはため息をついて言った。

「ええ聞きました。それも含めです。ユイカ様って、、本当に何者なのですか?」ジュリアナはユイカを見つめ言った。「、、迷える弱い人間よ。さあ、仕事が始まる!」ユイカは話を終わらせ会議室に移動した。 

 


 会場に入ると全員が直立不動で挨拶をした「ユイカ様、おはようございます!!」ユイカは毎日態度が変わる代表者達を見て気持ちがフッと軽くなった。私よりも年上の人もいるのに純粋で可愛く感じる。彼らに助けられている。本当にありがたいわ。


「おはようございます!」ユイカも笑顔を浮かべ明るく挨拶をし中央の席に座った。「皆さん、今日は最終日です。ある程度形が出来れば嬉しいのですが、、」ユイカはそれぞれの代表をみつめながら言った。


「ユイカ様、これを」ダットが資料をユイカに渡した。そこには新しい各種産業の枠組みが書かれておりこれを精査すればシステムが簡単に作れる素晴らしい物だった。ユイカは資料を読み驚いた。これほどの物を作るとは、、

「とても素晴らしいです。これはいつ作ったのですか?」ユイカは目を丸くしダットに聞いた。「昨晩みんなで作りました。話をしていたら皆すぐにでも作りたいと言って、、」ダットは少し恥ずかしそうに頭をかきながら言った。


「とても、、とても嬉しいです。皆さんの意思がなければできないことですから、、本当に、、ありがとうございました。これをラファエル様、チェスター様、ジャスミン様にお見せします。必ず形にしますから」ユイカは頭を下げて感謝した。みんなで話し合い自分たちの意思で作ったもの、その気持ちが宝だわ。ユイカは深々と頭を下げ感謝を表した。その姿を見た代表者達も同じように深々と頭を下げた。こうしてお昼前だが全ての会議は終了した。「皆さんお疲れ様でした!」ユイカはみんなを見送るため廊下に出た。


その時レッド、皇帝を守る騎士が現れた。


 ユイカはラファエルが近くにいることがわかりすぐに廊下の端に移動し頭を下げた。代表者達も突然ラファエルが現れた事に驚き皆同じように頭を下げた。


 ユイカは足元を見つめていた。ラファエルが来た。ああ、私は顔さえ見る事ができない人間なのだと思い知らされる。 早く通り過ぎて、早く。どうか私を見ないで。ユイカはぎゅっと両手を握りしめた。ラファエルが通り過ぎその後ろにいたドレスの女性がユイカの前で徐に立ち止まった。

 

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