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消える私と王子様 〜異世界から来た私は嫌われ令嬢と体をシェアしています。  作者: ねここ
第二章

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88/107

勝負!



「ねえねえ,もう終わり?この世界の人めっちゃ弱く無い?」


エデルも、ビリーもポールも酔い潰れている。


「すみませーん、もう一杯ください!」ユイカは酔い潰れた三人を見つめながら一人ビールを飲んだ。だってグラスビール10杯で酔い潰れるとかありえない。弱すぎよ!こんなに早く勝負がつくとは、、まだまだ飲み足りないわ。ユイカは一人で飲み始めた。大の男三人がひっくり返っている姿を見ると面白いわ。ユイカはまた一杯追加した。ユイカの様子を遠巻きに見ていた人たちが面白がってユイカにビールを追加で奢りはじめた。「わー,すみません。ありがとうございます!」ユイカは奢ってもらったビール10杯を飲み干し酔い潰れたポールとビリーにメッセージを残し、フラフラのエデルを連れタウンハウスに帰った。



 翌朝いつも通り起き入浴を済ませ今日は薄いグリーンのワンピースと昨日と同じ左右に三つ編みをし、メガネをかけ帽子を被りロデオと出勤した。エデルは今日ジュリアナとパーティに出席する。二日酔いじゃないといいけど、、。アディは昨日から城にいて帰ってきていない。、あまり考えないようにしている。ラファエルの事。考えるとますます遠く感じてしまう。同じ城にいても会う事ができない人。ラファエルが会いにきてくれない限り私から会う事ができないのだと改めてわかった。ユイカは俯き左手の指輪を触った。気持ちは繋がっている。だけどラファエルに会いたい、触れたい。気持ちだけ繋がっても繋がっているよと言ってほしい。言葉が、行動が欲しい。

あーダメ!考えたら沼にハマって行く。仕事の事考えなきゃ。


 ユイカは気持ちを整え城に入った。誰もいない執務室で今日の会議の準備をし、ロデオと共に会議室に入った。


「ユイカ様!おはようございます!」全員が立ち上がり元気よくユイカに頭を下げた。ユイカは驚きのあまり後退りしたが、笑顔で挨拶をした。「おはようございます、今日もよろしくお願いします」ユイカは頭を下げ瞬きをしながら会場に入るみんなを見た。なに?昨日と全くちがうんだけど?ユイカは驚きながら中央の席に腰掛けた。


 皆微笑みを浮かべユイカを見ている。昨日と全くの別人が参加しているのではないかと思うほど好意的な眼差しを向けられている。「、、あの、何か良いことでもありましたか?」ユイカは戸惑いながら聞いた。するとダットが立ち上がり嬉々としてユイカに報告した。「ユイカ様!昨日ユイカ様が暴いてくれた不正をラファエル様がお知りになりすぐにあいつらの財産を差し押さえてくださって不正分のお金が戻ってきたんです!!」会場にいる参加者達は喜びのあまり国歌を歌い始めた。ユイカはその様子を見て笑顔になった。良かった、、。みんなの気持ちが一つになった。ああ、ラファエル、、忙しいのに報告書を読んでくれたのね、、すぐに対応してくれた。嬉しい。ユイカは胸が苦しくなった。離れていても見てくれている、ありがとうございます。


「良かったです。ラファエル様の配慮は素晴らしいですね、、私たちもラファエル様に喜んでいただけるように頑張りましょう」早速ユイカはそれぞれの産業の抱える問題点を洗い出し様々な視点でどう解決出来るか、それが最終的に利益に繋がるような案は無いか議論を始めた。


 畜産業は糞尿、餌、農業は雑草に廃棄野菜、鉱山は石屑、商業は流通と鮮度、安定した供給、製造は流通と原料、様々な課題があった。しかしお互いの課題を出すうちに互いに協力できることに気がつき始めた。「その場合は廃坑路を保管庫として活用すると新鮮な野菜が遠くまで流通できる」「それは農業で使えるからそこをうまく運ぶ手があれば」「石は濾過機能があるから飲み水に活用する方法が」議論する代表達の瞳が輝いている。ああ、もう大丈夫、それぞれが意味を掴んだ。ユイカは黙ってその画期的な議論を聞いていた。



「ユ、ユイカ様!!大変な事が!!!!」突然使用人が会場に飛び込んできた。ロデオは何事かと使用人の聴くととにかく外に来て下さいと震えている。「何がありましたか?」ユイカははロデオに聞いた。ロデオも首を傾げながら言った。「何かがあったようですね、万が一もございますからお供いたします」そう言って使用人についてロデオは歩き始めた。ユイカも会場のみんなに少し待つように声を掛けてロデオの後をついて行った。


城のエントランスには多くの貴族達がざわつき表を見ている。ユイカはその人混み中をロデオに守られながらエントランスから表に出た。エントランスを出て長い階段を降りた先に城の正面広場がある。ユイカは階段の上から目の前にある広場を見て卒倒しそうになった。ポールとビリーが100頭もの馬を引き連れてユイカを訪ねてきたのだ。二人はユイカの姿を見て嬉しそうに手を振っている。


その様子をみたユイカは顔面蒼白になった。なんでこんな日に?!今日は各国の要人がいらっしゃっている日に、、。ユイカは笑顔で手を振るポール達に力無く手振り、走って階段を降り彼らのところに行った。


「ユイカ様!!我々は約束通りあなたに支えるために参りました!!」大声で二人は挨拶をした。


 その大きな声にユイカは驚き立ち止まった。ロデオはユイカの前に立ち腰の剣に手をかけている。ああ,なんという事、、。ユイカはロデオに言った。「ロデオ様、知り合いですから大丈夫です、、。は,話をして参ります」ユイカはロデオをさがらせ二人のところに行った。



一方パーティが始まろうとしていた時ものすごい地鳴りが聞こえた貴族達は何が起きたかと驚きエントランスに集まった。対応していた使用人が青ざめ慌ててどこかに行ったかと思ったらすぐに国の重要人物を守る騎士グリーンと一人の田舎娘が現れその不思議な組み合わせに唖然としていた。その時会場にいたチェスター公爵が異変に気が付きエントランスに出るとユイカの姿を見つけジャスミンを呼んだ。「ジャスミン、ユイカが何かをやらかしているぞ!!」チェスターは楽しそうに笑いながらジャスミンにウィンクした。ジャスミンも田舎娘のような格好のユイカを見て、ユイカと楽しそうに話す二人の男性を見て笑い出した。「チェスター様、ユイカは何か大きな事を成し遂げたのでしょう。本当にユイカは私達を驚かせて楽しませてくれます。」ジャスミンは嬉しそうにチェスターに言った。「ラファエルに言いたいけど、エレノア様とヘレン様をエスコートしている。そんな姿ユイカに見せたくないから、そっと伝えてくるよ」チェスターはそう言ってジャスミンを見つめた。ジャスミンも少し悲しそうな表情で頷いた。


 「ちょっとすみませんね」貴族でごった返すエントランスにダット達が現れた。ユイカが慌てて部屋から出て行ったので何か重大な事が起きたかと心配し、参加している代表者達がユイカを助けに行こうと言い出し全員会場を出てエントランスまで出てきたのだ。貴族達はユイカを守ろうと意気込んでいるダット達の熱気に驚き道を開けた。「早くユイカ様のところに行くのだ!!」皆走りながら階段をおりユイカの周りを囲った。ユイカは慌てて「襲われていませんから大丈夫!!落ち着いて下さい!!」と右往左往している。


その様子を見ていたチェスターは爆笑し始めた。「ジャ、ジャスミン、、これは一体、、ユイカはなぜこんなにも面白いんだ?!!」貴族達は大笑いするチェスターを見てますます訳がわからない。だが、恐ろしい事が起きたわけではないとわかりようやく落ち着き始めた。ジャスミンは階段の上からユイカを見守っている。



 ユイカはダット達を落ち着かせポールとビリーに話しかけた。

「こ、今日は、、あのこれは一体」ユイカは頭の中が真っ白になりながらも二人に話しかけた。「ユイカ様の豪酒っぷりに感銘を受けた仲間も国宝級の人物で底なしに飲める田舎娘に会いたいと言って一緒に来たんだ」ポールは人懐っこい笑顔で言った。「ちょっと、底なしだなんて、、声が大きいです」ユイカは慌ててポールの口に手を当てた。それを見たロデオは慌ててユイカの手を引っ張り言った。「ユイカ様、そのような事をしたら首が飛びます!!おやめください!!」ロデオはポールとユイカの間に立った。「だ、大丈夫よ、、そ、それよりもここは目立ちすぎるわ、、移動,,移動しなきゃ」ユイカはこのまま城を出て違う場所で話そうとエントランスの方を見た。

ジャスミンの姿が見えた。ジャスミンはユイカに微笑んだ。ジャスミンの顔を見てユイカは冷静になった。

「ちょっとここではまずいですから場所移動しましょう」そう言った時エントランスの貴族が叫んだ。


「ラファエル様がいらしゃった!」


 その瞬間エントランスの貴族達は頭一斉にを下げた。ロデオもダットもポール達もすぐに頭を下げた。ユイカは一瞬ラファエルを見たがすぐに慌てて頭を下げた。


そうだった。私はラファエルを見る事は許されない。ユイカは両手を握りしめた。ラファエルはすぐにエントランスから去って行った。ふーと息を吐き顔を上げた。


「ユイカ様!」名前を呼ばれ声の方に視線を向けるとアディが走ってきた。「アディ様、、、」ユイカは逃げたくなった。ラファエルは私がいるとわかったんだ。だからアディ様を寄越したのね。「アディ様、すみません、お騒がせして本当に申し訳ありません。全部私が悪いのです、ごめんなさい」ユイカはアディを見て先程のラファエルのことを思い出し泣きそうになった。ラファエルはあまりに遠い人だった。


ダットはアディを見て頭を下げ話しかけた。

「アディ様、先日お世話になったダットです!ユイカ様は悪くありません!!ユイカ様を怒らないでください!!」ダットはユイカを守ろうと必死で頭を下げアディに言った。それを見た他の代表者達は同じように頭を下げた。


ユイカの周りと取り囲んでいた代表者達とポール達も口を揃え言った。「私たちはこの国のためユイカ様と一緒に仕事をしています!!必ず良い結果をラファエル様に約束しますのでユイカ様を怒らないでください!!」そう言ってユイカの周りを取り囲んだ。


 アディはこの多くの人間がユイカを心から慕っている様子を見て驚きを隠せなかった。一体何が、、

ラファエル様が頭を下げるユイカ様を見て心を痛めすぐに立ち去り、私がラファエル様の代わりにユイカ様の様子を見に来たのだが、ユイカ様はもう既にバラバラだったこの国の産業の代表者達をまとめてしまったのか、、。本当に驚くべき才能、、。


ユイカは黙ってしまったアディを見て慌てて声をかけた。

「あの、アディ様、、大切な日にこのような騒ぎを起こしてしまい、、なんとお詫びすれば良いのか、、」ユイカは半泣きになってきた。こんな騒ぎを起こしてしまって、、どうしたらいいのか、、。


その様子を見ていたダット達がアディに怒り始めた。「ユイカ様を泣かせるな!!」


 アディは笑い始めた。

「ハハハハ!!ユイカ様、私がユイカ様を怒るなどありえません。ラファエル様が心配し私が様子を見に来ただけですから。本当にあなたは楽しい方だ!ハハハハ!!」アディは優しくユイカを見つめ言った。「この国でユイカ様を怒れる人間などおりません。ユイカ様は自由になさって下さいませ。」アディはユイカに頭を下げダット達に優しく頷き去って行った。


 「とりあえずポールさん、ビリーさん、皆を乗せて移動しましょう」


 ユイカはダット達に二人を紹介した。「ユイカ様、このプロジェクトに必要な運搬までおさえるとは、、本当にユイカ様は女神のような人だ!!」代表者達は大喜びし、皆国歌を歌いながらポール達と一緒に移動を始めた。


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