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消える私と王子様 〜異世界から来た私は嫌われ令嬢と体をシェアしています。  作者: ねここ
第二章

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大波乱



 会議室に入ると既に農業,商業、畜産業、販売、製造、など各産業の代表者達が待っていた。それぞれ五名ほど総勢五十人だ。なんとなく雰囲気が悪い。ユイカはそう感じながら中に入った。


「なんだ、冴えない女だな」誰かが呟いた。その言葉を聞いたエデルが動こうとした瞬間ユイカはエデルを見て首を振り微笑んだ。エデルはユイカには何か考えがあるのだと悟ったがラファエル様の愛する人にそんな暴言を吐くとは、と許せない気持ちになり拳を握った。



 ユイカはそんな言葉を一切気にする様子もなくジュリアナに案内され中央の席に腰掛けた。


「皆さん今日はお忙しい中集まっていただきありがとうございます。私は今日この会議を運営するユイカと申します。」ユイカは立ち上がって自己紹介し、頭を下げた。その様子をみて会場の人間はどよめいた。


「あの女頭下げたぞ」これをきっかけに代表者達の態度が変わった。ユイカを下に見始めたのだ。


「おい、あんた、産業をまとめるとか言いながら税収を上げるつもりじゃないか?」

「女に何がわかる?」

「俺たちの利益を取ろうと思っているんじゃないか?」


 流通販売代表のリック達がはユイカに向かって言った。明らかにユイカを馬鹿にしたような態度にエデルは我慢の限界に達しそうになった。しかし当のユイカは笑顔でその言葉を受け止めている。


 しかしリック達の暴言を聞いたダットが立ち上がり言った。

「おい、お前ら、黙って聞いていれば好き放題言いやがって、俺たちはな、このユイカ様のお陰で前よりもずっと暮らしが楽になったんだよ!」農業の代表者達はユイカを庇い始めた。「そうだ!この人は全国の農家の生活を改善してくれたんだ!」リック達も立ち上がり言い争いが加速し皆エキサイトし始めた。


 「お前達農家は土をかまいすぎて頭の中まで土が入ったんじゃないか?!アハハハ」流通の代表達が農家代表達を馬鹿にし始めた。「俺達はこんな田舎娘に頼らなくても利益が出せるんだよ、能無しが集まっても仕方がないんじゃないか?」「今まで通りそれぞれが独立していた方が儲かるんだよ、俺達は協力し合うなど反対だ!」流通代表達は言いたい放題言っている。それを聞いたダット達も負けていない。「お前らそんなちっさい利益見てどうするんだ?ユイカ様が始めようとしている事は根本から仕組みを変える事なんだよ!まあ馬鹿にはわからないだろうけどよ」「ああ、流通って物がなければ何でも出来ない人任せの奴らだ。自分の仕事が取られそうで怖いんじゃないか?」


 ジュリアナとエデルは言い合う代表者達をみて唖然としている。会場内は一発即発状態だ。けれどそんな中で,もユイカは楽しそうにその様子を見ている。


「まあまあ落ち着きましょうよ」

 商業の代表者ロダンが仲裁に入ったがリック達は他業種との協力や情報交換には大反対している。


 ユイカはようやくジュリアナを呼びに耳打ちをした。ジュリアナはパッと目を輝かせ部屋から出て行った。


「少し休憩しましょう」

 ユイカはそう言って部屋を出て執務室に戻った。


十五分後ジュリアナが執務室に帰ってきた。息を切らせながら手に持っている資料を見せ言った。

「ユイカ様証拠がありました!」ユイカは頷いてまた会議室に戻って行った。


 会場では農家のダット対流通のリックのバトルが再開しており、さらに商業代表のロダンが流通の肩を持ち始めていた。


 ユイカは先程の席に腰をかけ大騒ぎしている代表者達に声をかけた。

「あの、そろそろ私がお話しをしてもよろしいでしょうか?」ユイカは立ち上がり微笑んだ。



「おい、あんた!今まで通りのやり方がいいんだよ!!余計なこと言うからこんな喧嘩になるんだ!!」

リック達も立ち上がってユイカの方に歩き始めた。その様子を見た護衛騎士のグリーン達ががユイカを守るため前に立ちはだかった。リック達はいきなり目の前に剣を持った騎士が現れ後退りをした。その様子を見てユイカは静かに話し始めた。


「、、、そうよね、今まで通りなら不正で儲けたお金そのままポケットに入れられるもんね。」ユイカが言った。


「な,何を!!」リックは一瞬動きを止め慌てて反論し始めた。「おい!言っていいことと悪い事があるって知らないのか?!」みるみるうちに顔が真っ赤になり両手を握りしめている。しかし握りしめている拳が震え始めた。


「あなた達が買い取った野菜,肉、繊維、宝石、買う時は二束三文で,売る時は二、三倍、数が足りない、重さが足りない、入っていなかった、壊れていた、腐っていたで集めた商品の利益、皆さんに還元していませんし、国に税金を納めていませんね?」ユイカは少し強い口調でリック達に言った。そしてそれ以外の代表者達を見ながら話を続けた。


「要するに彼らが不正を行っていて、皆さん彼らから正当に貰える報酬30%程損していたんですよ。それぞれが連携していたらおかしいと気がつくことも気が付かず彼らの利益になっていたんです。」ユイカは今の状態がどれほどの不利益があったのか話し始めた。


 「皆さんどう思いますか?必死で働いても彼らのような邪な気持ちを持っている人間に最も簡単に騙されるこの仕組みは随分まえから破綻しているんです。その利益が正しく皆さんの手元にあったら、国が適切な税金を貰えていたらもっともっと環境が良くなっていたんです。」ユイカの言葉を聞き皆黙った。まさか信頼していた人間に騙されていたとは、、。


「な、何を証拠に、、」リック達は声を荒げ言った。「お前,証拠もないくせにそんな侮辱行為をして,タダで済むと思うな?!証拠を出してから言え!!不愉快だ!帰るぞ!!」リック達はユイカに背を向け部屋を出ようとした。


「待ちなさい!ジュリアナお願い」ユイカはジュリアナに合図をした。ジュリアナは入り口に待機させた使用人達を中に呼び寄せ使用人達は山のような資料と契約書、裏帳簿などをユイカの机に置いた。その中からジュリアナが押収した資料をみんなに見せた。二重帳簿だ。


 リック達は震え始め逃げようと走り出したがすぐにグリーン達が取り押さえ結局流通販売の代表者達は駆けつけた兵士達に連行されて行った。ユイカはその様子を見て驚いているダット達に声をかけた。


 「さあ、今からが本当の会議です」


各代表者達は今目の前で起きた事に衝撃を受けている。特に彼らと関わっていたロダンはショックを隠しきれない様子で力無く椅子に座り込んでいた。ユイカはその様子を見て思った。信じていた仲間に裏切られていたなど悲しいよね、、。もう二度とこんな事が起きないように仕組みを構築し、みんなが幸せになれる国を作らなきゃ。


  

「それで、、どうしましょうか?それぞれの分野で協力して共に成長しませんか?お互いがお互いを知ると言うことは不利益よりも利益が多いのです。どんな利益があるのかをお話しませんか?」


 ユイカは一人一人の顔を見つめながらもう一度聞いた。皆冷静に今の出来事を受け止め、やはり新しい仕組みが必要だと悟った。ユイカの言葉に誰一人反対する人間は居なくなった。それからユイカは大きな柱となる考えを皆に伝え、明日からその骨組みと中身を話し合おうと言って会議を終了させた。


 ダットはすぐにユイカの所に行きユイカが不正を暴いてくれた事に喜んだ。「さすがユイカ様!!やっぱり俺は,ユイカ様を信じて正解だった!!本当にスッキリしました!!明日からまた一緒にお願いします!!」ダット達はユイカと握手を交わし、また明日から始まる会議の準備をしますと言って帰って行った。ユイカはダットを見送り執務室に戻ろうと歩き始めた時、今日参加した代表達がユイカの前に立ち頭を下げてきた。


「ユイカ様、本日の無礼をお詫びいたします」皆頭を下げてユイカに非礼を詫びている。そんな代表者達を見てユイカは思った。この人達は悪くない。悪いのは不正をしたリック達だ。それに素直に謝るなんて可愛いじゃない。

ユイカは笑いながら言った。「謝る必要はありませんよ。大丈夫ですから顔を上げて下さい。あ、そうだ、、あの人たちからお金返してもらって下さいね。おそらく被害者はここにいる全員と国民ですから。」ユイカはそう言って微笑んだ。彼らはユイカに不思議な魅力を感じた。この人は普通の女性ではなさそうだ、、。

「ユイカ様は一体何者ですか?」代表者が聞いてきた。


「うーん、何者?自分でもわかんないですけど、私はこの国が大好きで、この国の人達が楽しく暮らせたらいいなと思っている人間です。それがラファエル様の願いであり、私の願いです。」ユイカはそう言って頭を下げて去って行った。

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