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消える私と王子様 〜異世界から来た私は嫌われ令嬢と体をシェアしています。  作者: ねここ
第二章

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指輪



 目覚めるとラファエルはまだ眠っていた。絹糸のように美しい金色の髪がラファエルの顔にかかっており、その乱れた髪の隙間から見える彼の柔らかく閉じられた瞳と長いまつ毛、彫刻のような美しい横顔、艶やかな唇がセクシーでこんなに素敵な人に愛されている現実に胸がときめいた。無防備な寝顔を見せてもらえるなんて幸せ。


 そんなラファエルの寝顔を見つめながらユジャスミンの中にいたときの事を思い出していた。ラファエルが好きでも実体のなかった私はラファエルに触れることもままならなくて、気持ちを伝えることも難しかった。


 ジャスミンがチェスターと愛し合うようになってから、より一層難しくなって、会うのが怖くて、もっと好きになったらダメだと会わないようにしていた。だけど心はいつもラファエルのことを考え苦しくて仕方がなかった。

けれど今は目の前にいて、愛してくれる。ユイカは嬉しくて切なくて涙が溢れてきた。ラファエル愛しています。自分の言葉で言える幸せを噛み締めていた。


「ユイカ、なぜ泣いているんだ?」ラファエルが目覚め泣いているユイカを見つめ顔を曇らせている。「ラファエル、悲しくないの、幸せで泣いているの、あなたに愛されて幸せだと」ユイカは涙を手で拭いながら言った。

 ラファエルは優しく微笑み言った。「ユイカにそう言ってもらえて私も幸せだ。」

ラファエルも昨日の妻達との食事会を思い出し妻達と違い自分自身を見つめてくれるユイカの想いに幸せを感じた。ユイカはジャスミンに中にいる頃から一貫して私に何も求めない。だから私はユイカに何かをしたくなる。ユイカの笑顔が見たいんだ。


 ラファエルはユイカを抱きしめ少しため息を吐いた。明日からヘレンを披露するパーティ、各国の要人を招いたパーティ、、そしてヘレンとの結婚式が立て続けにある。ヘレンとは彼女の希望通り彼女の祖国で豪華絢爛な結婚式を挙げた。しかしこちらでも挙げげたいという要望があり最初の約束と違うため簡素な式を行うことにした。おそらくエレノアに対して対抗意識があるのだろう。ユイカがいない時に了承した事だったが今その判断を撤回したい。けれどそれはもう出来ない。不本意だが結婚式を挙げる。だが、、

 それをユイカに言う事ができない。なぜならユイカは知りたくないと言ったからだ。言えたら、ユイカに言い訳が言える。言い訳、、嫌な言葉だ。言い訳がしたいのではない。私にはユイカしかいないと伝えたい。だけど言葉と行動がバラバラになってしまうこの状況で私が何を言っても現実は変える事ができない、、。ラファエルは覚悟を決めユイカに言った。


「ユイカ、今日から数日は会えない、、だから、、」ラファエルはユイカにキスをした。「ユイカを心と体に刻み込んでおかないと耐えられないから」ラファエルは朝からユイカを抱いた。ユイカはなんとなく察したが、今はラファエルの愛だけを信じようと抱き合った。複雑な思いはある。だけど今は仕方がない。こうしてここで私を愛してくれる事に満足しなきゃ。ユイカはラファエルに愛され幸せを感じると同時に心に暗い影が差したことも否定できない。どうしようもないほどの嫉妬心が芽生える。そんな自分が嫌になる。





 タウンハウスを出る時にラファエルはユイカの左手を取り薬指に指輪をはめた。その指輪はシンプルな指輪で傷もあった。「この指輪は初代皇帝が愛する皇后に送った指輪で受け継がれている物だ。私は愛しているユイカに渡したい」ラファエルは驚くユイカにキスをして「愛しています。ユイカだけをずっと、心はいつも隣に」そう言って抱きしめ何度もキスをして馬車に乗り込んで行った。



 ユイカはラファエルを見送って部屋に戻る途中アディに言われた。

「ラファエル様がここまで情熱的に人を愛せるお方だとは知りませんでした。幼い頃から人に本心を見せず、淡々と生きてこられた方だったので、心配しておりましたが、、ラファエル様のあのような姿を拝見できて本当に、、嬉しく思います」アディは優しくユイカに微笑みながら言った。


「アディ様、ありがとうございます。、、でもこんな大切なものを私が頂いて良いのでしょうか?」ユイカは左手の指輪を触りながらアディに言った。



「ユイカ様、それはユイカ様しか付けられないのです。その指輪は主人を選ぶと言われており皇帝が真に愛した人しかつける事ができない特殊な指輪。ユイカ様以外の方がつけようとすればその指輪は拒否して絶対につける事ができないのです」


「え?そんな指輪をラファエルは私に?!、、拒否されなくて、よかったぁ」ユイカは笑いながらアディを見た。


「ちなみに、その指輪は送られる側も同じ気持ちじゃないとラファエル様もユイカ様の手にはめる事ができませんので、ラファエル様はちょっと怖かったんじゃないですか?!」アディも笑いながら言った。


「,,そうなのですね,。私たちが心から愛し合っている証のような指輪。大切にします。」

ユイカはそんな指輪をサラッとくれたラファエルを思い出し切なくなった。きっとラファエルは私のことを考えての指輪をくれたんだわ、、逆に言えばそれほど私が不安に思う事が起きるかもしれない。第二夫人と結婚したばかりだからパーティがあることはわかっている。その姿を見て私が耐えられなくなるかもしれないと心配したの?、、こんな事考えたくない。ラファエルはそんな不安をさせないようにこの指輪をくれたのだから、、。気分を変えなきゃ!


 今日はダットと話した各業界の人間たちと意見交換する日。これを成功させることだけを考えよう。


 城では日中第二夫人を歓迎するパーティが、明日は各国の要人を招いてパーティがありラファエル、チェスター、ジャスミンが出席するのでいない。だからこの件は全てユイカが執り行うことにした。ジュリアナがサポートしてくれるのは本当に心強い。


 今日城で行われるパーティ、なるべく見ないように関わらないように今日も地味な格好で行こう。ユイカは薄い水色のワンピースを選び、髪は左右三つ編みをして、茶色のブーツを履いて、帽子をかぶりいかにも田舎の子というイメージで出勤した。お姫様たちは自分より煌びやかな人間には反応するが、こんな田舎の娘には目もくれない。万が一エレノアや第二夫人と出会ったとしても気にかける容姿ではないから怖くないわ。ついでに丸い伊達メガネもつけよう。ここまでやると自分でも笑ってしまうほどモテそうにない娘になった。


 しかしアディはそんなユイカを見て「目の保養です。」と言った。理由は毎日姫や令嬢を見ていると皆同じに見えるそうだ。時々は素朴な女性を見たいと思うのですよと微笑んだ。エデルにも意外に好評で、ユイカは女性の感覚と男性の感覚の違いを感じた。「うーん、わかんないけどこれはこれでいいのかな。」城に着きユイカは急ぎ執務室に行った。もう一度今日の内容を確認し準備万端に気持ちも整え、絶対に成功させると気合を入れた。準備が終わりなんとなくパーティが気になり窓から外を眺めていた。人が集まり始めているのかざわざわと声が聞こえる。


 確か今日は室内のパーティだけど、庭園も使うかもしれないってジャスミンが言っていたから出会わないように注意しないと。見ないで済むならラファエルの姿を見たくない。嘘でも幸せそうにしているラファエルを見たらやっぱり悲しい。ユイカはラファエルにもらった指輪を見つめた。気持ちがここにあってもあの暖かさを知ってしまうと辛い。ユイカは小さくため息を吐き書類を整えた。


 「コンコン」ドアがノックされた。「どうぞ?」ユイカが答えるとジュリアナが入ってきた。「ユイカ様お迎えにあがりました。」ジュリアナは明るい笑顔を向け頭を下げた。「ありがとう、行きましょうか」ユイカも微笑みを浮かべ会釈をした。ジュリアナは私のことをわかるのかな?そんなことを思いながら会釈した。

 「ユイカ様、エデルから聞いております。お久しぶりですね」ジュリアナはそう言ってユイカの手を握った。「また会えて嬉しいわ!今日もよろしくね」ユイカもジュリアナの手を握り微笑み二人は移動を始めた。

 ユイカの後ろにはエデル達もいる。よかった、私を認識してくれて。エデルありがとう。ユイカはエデルを見て微笑むとデルも察してユイカに頭を下げた。


「ジュリアナ、いつもエデル様を振り回してごめんね」ユイカは謝った。エデルはユイカを護衛するために忙しい。若い二人の恋を応援したいのにごめんね。そんな気持ちでジュリアナを見た。ジュリアナは自分達の後ろを歩くエデルを見て、「でもユイカ様がお城に勤務し始めてからこうして一緒にいられる時間が増えましたから、嬉しいです」と言ってエデルと頷き合った。


「うふふ、いいね!」


 ユイカは二人を微笑ましく見ながら左手の指輪を触った。一緒にいられなくても心は隣にいる。私も頑張ろう。


 

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