表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
消える私と王子様 〜異世界から来た私は嫌われ令嬢と体をシェアしています。  作者: ねここ
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

84/107

妻達の戦い




「ラファエル様、お仕事でお疲れでしょうからたまには静養されたらいかがでしょうか?温暖な南に我が祖国の領地があります、ご案内致しますわ。」エレノアは気を取り直し何気なく旅行に誘った。絶対にヘレンには負けたくない。ラファエル様は誰にも渡すのですか!子供さえ出来ればあんたなんて用無しよ。


 ラファエルはその言葉を聞きうんざりした。また私を子供を作る道具だと思って誘っているのだな、、。エレノアは初夜の時からずっと子供が欲しいと言い続けていた。まるで自分の地位が脅かされないようにする為だけのような発言が私の気持ちをより一層冷えさせる。以前はそれも仕方がない事だと、自分の立場はそのためにあると言い聞かせていたが、ユイカと抱き合い愛のある行為がどれほど自分を生かしてくれるのか初めて知った。その結果子供が出来るならば心から幸せを感じ、愛するものを守るため真摯に皇帝として生きる事ができる。だけど今のこの状態では無理なんだ。ましてやエレノアとヘレンにそんな気持ちは持てない。


「ありがとう、エレノア」ラファエルは心と裏腹に微笑みを浮かべエレノアに言った。エレノア、以前と違いお前の思うようには行かないんだ。ラファエルはワインを置き前菜に手をつけた。


「それなら私もおすすめの静養場所がございますの。壮大な山脈を望む北に我が祖国の領地がございまして温泉もございますのよ、私が案内いたします」ヘレンも負けずに言った。エレノアはラファエル様を誘い私から遠ざけようとするのね。でも私も同じようにするだけだわ!先に子供を産んでみせる。



 ラファエルはヘレンも同じことを考えているとわかった。なぜ私の妻達は私を見ないのだ?常に皇帝の妻としてのステータスとその権力と立場しか見ていない。私が日々何を考え思っているのかすらわからないだろう。そもそも政治的な結婚だからそんな期待もしていない。だが私を心配するふりをし,自分の欲求を満たそうとするその考えが受け入れられないんだ。


「ありがとう、ヘレン」ラファエルはそれだけを言い、行きたいと返事はしなかった。

 これで察して欲しい。こんな醜い戦いに私は嫌気が差しているんだ。


 政治のためだとエレノアとヘレンの結婚を推した貴族達を恨みたくなった。そんなことをしなくても良いほどの強い国を作りたいと思いチェスターとやってきた。私だって結婚は愛する人としたい。けれどそんなささやかな夢さえ叶えられないのが私の生きる世界なのだ。だったら政略結婚も必要ないほど強固な国を作れば良い。そんな思いでチェスターと国を改革していった。


 そこにユイカとジャスミンが現れ国が変わっていった。しかし十分な結果が出るには時間が必要だった。その間にエレノアとの結婚を推し進めていた貴族達を抑える事が出来ずユイカに惹かれながらもエレノアと結婚するしか無かった。もう一年早く二人に出会っていたら、、。ユイカとジャスミンが進めた農業改革、カジノ、、今では莫大な利益をこの国にもたらしてくれている。その功績があればユイカを妻に出来た。しかし運命はそうならなかった。人として誰かをを愛したい、愛されたいという気持ちはユイカと共に消えてしまった。


 ユイカがこの世界から消え五ヶ月を過ぎた頃、エレノアとの仲が良くない噂をされこれでは後継が出来ないかもしれないと不安になった貴族達がヘレンとの結婚を提案してきた。小さな国の姫だが流通の要になるような場所だった為貴族達は推し進めてきた。だけど本当はそんな流通の要になる場所など沢山ある。そこでなくても良いのだ。ヘレンはエレノアよりも若い。だから私の興味をそそると思ったのだろう。私はユイカを失って全てがどうでも良くなっていた。だからその提案を受け入れた。だが、ヘレンを迎える直前にユイカは戻って来た。運命の神がいるならば私を嘲笑うかのように。


 けれど前とは違う。私はユイカを愛しユイカも私を愛してくれた。必ずこの状況を変えてみせる。過去を嘆いても仕方がない。早々にこの食事を終わらせてタウンハウスに行こう。私に妻がいようともユイカがいるところが私の帰る場所で癒される場所だ。それが地獄であってもユイカがいれば私にとって唯一帰る場所なのだ。



「ラファエル様、いかがされます?」エレノアがヘレンの言葉を聞き先を越されまいとラファエルに聞いた。


「何を?」ラファエルはうんざりしエレノアに聞き返した。私は行くと言っていない。

ラファエルはそれ以上何も言わせないようにエレノアを見つめる眼差しを強めこれ以上何も言うなと無言で答えた。


 しかしヘレンはラファエルに言った。「ラファエル様、ぜひ一緒に参りましょう。来月辺りはいかがですか?」ヘレンはエレノアが何も言わない隙をつきラファエルに声をかけた。私が先よ。


 ラファエルはヘレンをみて言った。「エレノア、ヘレン。私はたくさんやらねばならない事がある。それを放り出しどこかに行きたいと思っていない。行きたい時は自分から言う。」そう言って立ち上がり「出かける用事がある、失礼」と言って出て行った。もうこれ以上あんな場所に居たくない。心がすり減るだけだ。


 エレノアはヘレンに言った。「第二夫人の分際で私を差し置いてお誘いするなど恥知らずにも程があるわ。まだ慣れないからと我慢しておりましたが、もう必要ありませんね。ラファエル様の正妻は私くしですから覚えておきなさい」そう言ってエレノアも出て行った。


 ヘレンはエレノアの言葉を聞き悔しくてテーブの上にあるワイングラスを持ち上げ床に叩きつけた。エレノアには絶対に負けたくない!!ラファエル様は渡さないわ!あんたのプライドを叩き割ってやる!ヘレンは両手を握りしめ割れたグラスを見つめた。



 ラファエルはその足でタウンハウスに行くとダスティンに伝え馬車に乗った。妻達との時間は苦痛だった。心からうんざりし、ユイカの暖かい眼差しが恋しくなった。



 一方でユイカは疲れていた。疲れたけど久しぶりの仕事はやはり楽しい。頑張って仕事をして早く実績を積み重ねたい。実績さえあればラファエルの側にいても文句を言われない。必死に努力して自分が掴みたいものを掴んでみせる。私は孤独なラファエルのそばにいたいから、、。早めに食事を終わらせベットに横になってそんな事を考えていた。


 一週間ラファエルに抱かれ眠っていた事に慣れてしまって一人で眠るこの夜が寂しく思えた。

ラファエル、、会いたい。会いたくて、恋しくて、抱きしめて欲しくて。全てがどうでも良くなる程愛されたい。私を抱きしめて、、ラファエル。ユイカは寂しさから逃れる為目を閉じ眠りについた。



 ラファエルの馬車がタウンハウスに到着した。すぐに馬車をおり中に入るとアディが唖然としてラファエルを見つめた。


「アディ、何か言いたそうだな」ラファエルはニヤリと笑いユイカの部屋に入って行った。


 アディは妻達と食事をしているはずのラファエルがこんなに早くここに来るとは、それ以前に一週間もユイカと離れず部屋に居続けたラファエルがすぐにここに来るとは思ってもいなかった。ラファエル様はそれほどまでにユイカ様を愛しておいでなのか、、。アディは早々にユイカの部屋に入ってゆくラファエルを見て目を細めた。


 部屋の中に入りベットを見るとユイカは枕を抱きしめて眠っていた。ラファエルはそっとベットに近づき眠るユイカを見つめていた。会いたかった。たった数時間離れただけなのにどうしてこうもユイカに会いたくなるのだろう、、。ラファエルはユイカの唇に優しくキスをした。


 ユイカは優しくキスをされラファエルが来た事がわかった。幸せな目覚め。ゆっくりと瞳を開けてラファエルを見つめ言った。「夢でも嬉しい、ラファエルに会いたかった」ラファエルはその言葉を聞き「夢だったらこんなキスはできない」そう言ってユイカが抱いている枕を剥ぎ取り覆いかぶさり貪るようにキスをした。ユイカはそのキスに応えた。


 二人は情熱の赴くまま愛し合った。お互いにこのまま溶け合いたいと思うほど心も体も交わった。ユイカは激しく抱かれながらラファエルを見つめた。


 ラファエルはこんな時でもなぜこんなにカッコいいのだろう、、キスの仕方も女性がときめくような、映画のワンシーンのようにキスをしてくれる。激しくキスをするときも、今も真剣な眼差しの中に愛が溢れていて、気高く美しい。「ああ、ラファエル、すき、愛してる」ユイカはあふれる愛を言葉に出したくなった。「ユイカ、もっと言って」ラファエルは快感に目を閉じながらユイカに言った。「ラファエル、ラファエル、ああ,もっと愛して、大好きなの、あなたが、大好き」ラファエルはユイカの唇を塞ぎキスで応えた。



 この一週間で何度抱き合ったのかわからないほど抱き合っているのに、なぜまだ抱き足りないと思うのだろう?

ラファエルはユイカを抱きしめながら思った。ユイカとどこかに出かけたい。


 人目を気にせず誰にも邪魔されないところに。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ