あなたを諦めないように
ユイカはジャスミンを抱きしめ涙が止まらなくなった。私のジャスミン。いつも私の気持ちを察してくれる優しいジャスミン。「うっ、、ジャスミン、、ジャスミン、、」ジャスミンは黙ってユイカを抱きしめ続けた。ラファエルはジャスミンの腕の中で泣くユイカを見つめていた。
二人にしかわからない絆がある。私はユイカをタウンハウスに閉じ込めて置けない事はわかっていた。だけどユイカが城で妻達と一緒にいる私の姿を見たら、わたしから離れようとしたら、、考えるだけで怖い。けれど、このままではユイカがユイカらしく生きられない。話をしなければ、、。
チェスターは二人を見てラファエルに言った。
「ラファエル、俺、また四人で仕事したい、お前の考えている事わかっている。俺も同じ想いだ、でもまた四人でって思ってしまうんだ」ラファエルは黙って聞いている。「ユイカは俺にとっても大切な人だから。」チェスターは悩むラファエルの肩に手を置いて「少し話をしてみたらどうだ?」と言った。
ラファエルはジャスミンの所に行きジャスミンを見つめた。ジャスミンはラファエルの言いたいことがわかった。ラファエルに頷き、ユイカに少し散歩しようと言って店から連れ出し馬車に乗せた。その間もジャスミンはユイカの手を握っていた。ラファエルはずっとユイカを見つめている。
四人が乗った馬車はチェスターの公爵家に着いた。ジャスミンはユイカを温室に連れて行った。ここなら静かで話がしやすい。
ジャスミンはユイカの手を離し、「お茶の準備をするからユイカ花を見てて」と言ってチェスターと共に温室を出た。色とりどりの花が咲き乱れユイカはその花を見つめていた。
ユイカと二人きりになりラファエルはユイカの前に立った。
「ユイカ、私はユイカが城に来て、私が見せたくない私の姿をユイカに見せることが怖い、、私のその姿を見て、、ユイカが私から、、離れてしまうと思うと、、耐えられない。、だから、、ユイカに城に来て欲しくないんだ。」
ユイカはラファエルを見つめている。ラファエルはユイカの手を握って言った。
「いくら私がエレノアやヘレンに愛がない、感情がないと言っても、必要であれば愛を語るしキスもする、義務で抱かなくてはならない、それが現実で逃れることはできない。でもそんなことは私にとって平気な事で、なぜならやっぱり愛もなければ感情もないからだ。」
ユイカは黙って聞いている。
「だけど、、ユイカだけは違うんだ、見つめられると幸せを感じ、手に触れることも容易く出来ない、キスだってそうだ、拒否されたらと思うと怖いとさえ感じる、愛を語るときは愛おしさで苦しくなる、あの二人には簡単に出来ることが、ユイカだけは簡単に出来ないんだ。ユイカしか愛せない。だから、、あなたに嫌われたくない、、」
ラファエルは苦悶の表情をし、ユイカの手を強く握った。
「、、ラファエル様、、私がこの世界に来たことでラファエル様を苦しませてしまった。本当は私がいなければ何事もなく過ぎて行くことだったのに、、会いたくて、、ここに来たばっかりに、、ごめんなさい」
ユイカはラファエルの手を離しラファエルに背を向けた。結局私はラファエル様を困らせている。好きだけじゃ、愛しているだけじゃ現実は済まない。これが絵本ならハッピーエンドで終われるのに現実はもっと生々しい感情が渦巻き、美しいだけではないのだわ。そんな事も考えずにここに来てしまった。ユイカは両手を握りしめた。
「ユイカ!違う、ユイカに会いたくて、ずっと会いたくて、あの日を思い出すだけであなたがいない世界は耐えられない」ラファエルはユイカを後ろから抱きしめ言った。
「ユイカがいなくなったら生きる意味がない、もう耐えられそうにない、だからお願いだ、ここに戻ってきてくれた事を後悔しないで欲しい。私は後悔しない様にユイカに対し努力する。」
その言葉を聞きユイカはラファエルの方に振り向き言った。
「ラファエル様、、、私も同じだけ、、ラファエル様を愛しています。でもあなたを愛し続けられるか正直、不安です。あなたのそんな姿を見たくないし、それと同時に罪悪感も持つの、、。」
「でも、私も努力したい。周りから認められる人間になって堂々としたい。その為に城で仕事をしたい。だけど同時にあなたのそんな姿を見たら逃げたくなる。だから、、見たくないあなたを見た時、次に会うときは私をたくさん愛して下さい、私があなたを諦めないように。私を離さないで、あなたから逃げないように、、。私から目を離さないで、あなたを置いて元の世界に戻らないように、、。勝手な事言ってごめんなさい。でもこれが本音です。」
ユイカは瞳を潤ませながらラファエルに言った。
「ユイカ、勝手じゃない、勝手な事をしているには私だ。約束する。必ず、」
ラファエルはユイカを悲しませているどうしようもない現実に苦しみながらユイカを抱きしめた。
絶対にユイカを手放さない。




