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消える私と王子様 〜異世界から来た私は嫌われ令嬢と体をシェアしています。  作者: ねここ
第二章

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雨の中



 ラファエルは第二夫人を迎えに隣国のデミリーに出かけた。


 デミリーは小国だが大きな運河がありハブ的な拠点となる国で押さえておきたい。第二夫人として姫を迎えた。

ラファエルは第二夫人となるヘレン姫に興味はない。だがこれが政治だと割り切っている。


 折角ユイカに会えたのにすぐにこんな事をしなければならない立場を疎ましく思った。

早くユイカに会いたい、それだけを思って過ごしていた。


 

 五日間滞在し、ようやく国に帰る日となった。


 第二夫人と共に馬車に乗り城に戻り、あとは初夜を過ごせば解放される。


 ユイカに会いたい。


 ユイカの様子は逐一報告を受けているので元気だとわかっているが早く顔を見て安心したい。ラファエルは隣に座るヘレンを見ることもなくずっと馬車の窓から外を見ていた。


 馬車はようやく帝都に入った。生憎の雨だがしとしとと降り注ぐ雨は嫌いじゃない。

ラファエルはユイカがいる帝都に入っただけで心が満たされるような気持ちになった。


 馬車は城に続く大通りに入った。


 ラファエルの乗る馬車が大通りの交差点近くを通り過ぎようした時、窓の向こうにグリーンの姿が見えた。グリーン達は整列しラファエルに敬礼をしている。


 グリーンがいると言うことはユイカがいる!


 ラファエルは身を乗り出し外を見つめた。花屋の前で色とりどりの花をかかえるユイカを見た。


  ユイカ!!


 そのユイカは美しく、雨がユイカの黒髪をよりしっとり艶やかに見せ、同じようにしっとりとした肌がアイボリーのワンピースと相まって表現の仕様のない色気を感じラファエルの心を掴んだ。


 ユイカと視線が合った。ああ、彼女は何度も私の心を掴む。ユイカだけが私の心を動かす。


 ラファエルは今すぐに馬車を降りてユイカを抱きしめ連れ帰りたいと思った。


 しかし今日はそれが許されない。


 

 城に戻りヘレンとの初夜を過ごさねばならない。愛していない女を抱くことは出来る。だけど、共に眠る事は出来ない。ラファエルはエレノアを抱いても共にその場所で眠ることはしない。すぐに部屋を出て自室に戻る。自分を曝け出す事はしたくないし、されたくもない。そう私にとって結婚は政治だから。


 今日も同じ。初夜が終わったら私はその足でユイカの所に行きたい。彼女のいる場所だけが私が私でいられる唯一の場所だから。


 だか、違う女を抱いた直後にユイカを抱きしめる事は出来ない。ユイカを愛するこの気持ちを、愛してくれるユイカの気持ちを汚したくない。だけどせめて寝顔だけでも、、。



 焦ったい時間が終わりラファエルは入浴を済ませその足でタウンハウスに向かった。


 ダメだとわかっている。わかっているが寝顔だけでも見たい。


 アディはラファエルを迎えにエントランスに行った。まさかこんな日に、アディは初夜に現れたラファエルを見て呆れた顔をしたが、ラファエルは意に介せず中に入った。


「ユイカは?」


 ラファエルは廊下を歩きながらアディに聞いた。


「、、ユイカ様は風邪をひかれ医者からもらった薬を飲んで眠った所でございます。」


 アディは初夜に現れたどうしようもない新郎にため息を吐き、言った。


「風邪?」


 ラファエルは半歩後ろにいるアディを振り返り聞いた。


「医者が申すには疲れからじゃないかと、本日雨の中お出かけになった時にずぶ濡れで帰られて」


 アディはユイカの事になると人が変わったようになるラファエルに呆れながらも、そんな姿を嬉しく思っている。


「今日ユイカを街で見た。その時はそんなに濡れていなかった」


 ラファエルは何故ユイカが濡れて帰ってきたのかわからない。


「パトリシアが言うには、ご自分で傘を持つとおっしゃって、帰り道に濡れている親子に傘を渡して全員濡れて帰ってそうで」


 ラファエルはユイカらしいと思った。私はそんなユイカが好きなのだ。


「、、わかった。すまないなアディ。ユイカの所に行く」



 ラファエルは急いでユイカの部屋の前に行った。眠っているユイカを起こさない様にそっと部屋のドアを開け静かに入った。



 ユイカの看病をしていたパトリシアは急に背後現れたラファエルに驚いた。


「ラ、ラファエル様、申し訳ありません、ユイカ様が風邪を、、」


 パトリシアは驚きと申し訳なさで半泣きになりタオルを手に持ったままラファエルに謝った。


「パトリシアのせいじゃない、ユイカはどうだ?」


 ラファエルは熱で上気したユイカの顔を見て額に手を当てた


「はい、今さっきお休みになりました。まだお熱があり、タオルを取り替えようと、、」


 パトリシアは頭を下げて下がった。


  ラファエルはユイカの手を取りキスをした。

 今日街でユイカを見かけた時、ユイカは驚いた顔でこちらを見ていた。


 きっとユイカは察したのだ。


 そんな夜にでも会いにきてしまう私をユイカはどう思うのだろう、、熱を出して寝込んでいるユイカを抱きしめたい。


 だけどさっきまで違う女を抱いていた私に、ユイカを抱きしめる資格はない。


 愛していない女には何でも出来るのに、愛した人に何故何も出来なくなるのだろう?ラファエルはユイカの手を握り自分の頬にあてた。


 ユイカ、、会いたかった。ずっとユイカの事を想っていた。


 ラファエルはもう一度ユイカの手にキスをした。


明日の朝は第二夫人と朝食を取らなければならない、ギリギリの時間までユイカのそばにいたい。


 ユイカ、側にいて手を握ることを許してくれ。


 ラファエルはベットの脇に置いてある椅子に腰掛けユイカの手を握って一夜を過ごし、明方に城に戻っていった。

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