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消える私と王子様 〜異世界から来た私は嫌われ令嬢と体をシェアしています。  作者: ねここ
第二章

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第二夫人



 ラファエルが公務に出て五日


 ユイカは夜の公園を散歩したいとアディに伝えた。アディは了承し、日付が変わる頃グリーンのエデル達と共に散歩に出かけた。


 ジャスミンの中にいた頃、ジャスミンとチェスターの恋が始まり、ラファエルの結婚が決まり、日中表に出る事をやめようと決めた。ジャスミンはもう一人でも大丈夫だったし、何よりチェスターとの時間を持たせてあげたかった。ジャスミンが初めて恋をして、初めて愛された幸せな時間を奪いたくなかった。


 それに、ラファエルにこれ以上会いたくなかった。会えば会うほど、話せば話すほど加速してゆく想いは出口がなかった。それに結婚してしまうラファエルを見たくなかった。心からのおめでとうは今でも言えない。


だから夜中の散歩が日課になった。ジャスミンが深い眠りについた頃公園に来ていた。考え思い浮かべるのはいつも彼のことだった。そしてあの夜、ラファエルが私に会いに来た。、、懐かしい思い出。でもあの時の切なさは今も感じている。



 ユイカは深呼吸をしながら公園の中を歩いていた。沢山の木々が植えてありそのお陰で空気が澄んでいる。それにとても静かで時々恋人同士が幸せそうに手を繋ぎ歩いている。


ユイカは恋人達を横目にエデルに話しかけた。


「エデル様、ジュリアナと出かけたりするのですか?」


 エデルはユイカの後ろを歩きながら答えた。


「そうですね、ジュリアナは自然が好きですから郊外が多いです」


 ユイカはこの世界の若者も元いた世界の若者のようにデートするんだと微笑ましく思った。


 「デートがある時はそちらを優先してくださいね。今が一番楽しい時ですから」


 エデルは参ったなぁと少し恥ずかしそうに頭を掻きながらユイカに頭を下げた。そんなエデルを可愛いと思う私は恐らく彼らよりも年上だ。彼らから見ると年上のお姉さんの様なのかしら?皆幸せになって欲しいわ。そんな事を考えながら進むと噴水があり綺麗にライトアップされている場所に出た。


 その噴水の近くにはベンチが設置してありユイカは腰掛けようとした。ふと見るとベンチの上に新聞が置いてあった。その新聞の表紙はラファエルと初めて見るどこかの国の姫だった。


 ああ、そうなんだ、、。


 ユイカはその表紙を見て心臓を貫かれた様な痛みを感じた。あの姫は第二夫人だ。ラファエル様は第二夫人を迎えるんだ。、、新聞から目を離し顔を上げるとユイカを心配する様な表情のエデルが目の前にいた。ユイカがその新聞を目にした事を気にしている。


「エデル様、大丈夫です」


 ユイカは笑顔を作りエデルに言った。そう言うしかない。それ以外言えるはずもない。ユイカは新聞をそのままにし読まなかった。読んでも読まなくても同じなら読まない方が良い。まるで新聞など気にしていません!と言うふりをし、漆黒の空に瞬くスピカを見つめた。


 第二夫人を迎えに行ったんだ。だからエレノアはあんなにピリピリしていたんだ。第二夫人を迎えることでも悲しいのにさらに他の女が現れたらエレノアだって、、辛いよね。ユイカは自分の指先を見つめた。ショックで指先が震えている。エデル達に気付かれない様に手を握った。


エレノアはどう思ったんだろう、、。エレノアはラファエル様を愛している。きっとエレノアにとってラファエル様は政略結婚ではない。だからエレノアは彼の近くにいた私達を殺そうとしたんだ。、、


 毒を盛られたこと思い出す。ラファエル様はエレノアに対し口では愛していると言っても心が伴っていない。それでも、愛されていなくても彼と共に生きるってどんな気分なんだろう。


 エレノアを思うと心が痛む。勝手な自分に嫌気が差す。


 ラファエル様の正妻で皆が認める皇后なのに、愛されていない現実はあまりにも辛く悲しい。彼がもしも第二夫人を愛したら?エレノアはどうするのだろう?そして私は、、。


 もしそうなったら私はここに居られない。そう考えると少し怖くなる。全てが夢の様に消え、ただ一人気持ちだけが止まったままなどとても辛い。泣いて行かないでと縋りたくなる。

 

 でも、そうはなりたくない。自分の最後のプライドは捨ててはダメだわ。

ラファエル様の心が私から離れたらその時は去ろう。その覚悟は常に持っていないと。


 私が突然消えることだってあるかもしれないし。


 あー、本当堂々巡りだ。悲しい、苦しい、辛い、寂しい、、ラファエル様、、会いたい。


 私はこれからこんなことがある度にどう乗り越えたら良いのだろう?



 ユイカはベンチに寝転んで星を眺めた。


 スピカは先程と変わりなく強い光を放ち輝いている。そして赤い星、アルクトゥルスも。


スピカ、、麦の穂。仕事で初めて彼が優しさを見せてくれた。思い出の麦。

 暗い夜空に白く輝くあの星はラファエル様だと思った。そして近くに光る赤い星アルクトゥルスあれは私。


 今見ているこの光は過去の光、今見える星はもう無いのかもしれない。


 自分の世界とここもそんな遠さなのかな、、、


 ユイカは目を瞑った。




  、、、、遠くで雨の音が聞こえる。


 うーん、目が覚めるとベットの上にいた。あれ?私公園で、、、、。


「パトリシア?」ユイカはベットから起き上がりパトリシアを呼んだ。「はい,ユイカ様」パトリシアはユイカの前に現れた。


「私、どうやってここに?」ユイカはパトリシアに聞いた。確か公園のベンチで寝転んだ気がする。

不可解な表情を浮かべるユイカを見てパトリシアはクスクスと笑い、言った。「エデル様がお連れになりました」


 うそー!!ユイカは頭を抱えた。私寝ちゃったの?!「ああ、やっちゃった。」頭を抱え反省するユイカを見つめパトリシアは楽しそうに言った。「エデル様はラファエル様に見られたら殺されるとおっしゃって」ユイカは頭を抱えながら聞いた。「何故?」「ユイカ様に触れ抱き抱えるなんてラファエル様が嫉妬なさいます」


 なにそれ?ユイカは手を左右に振り否定した。「ナイナイ、そこまで無いでしょ?それよりもエデル様に謝らなきゃ」ユイカは起き身支度を整え部屋を出た。


 アディの姿が見えない。どうしたのかな?


キョロキョロするユイカをみてパトリシアは言った。「ユイカ様、アディ様はお城に出かけました」


 あ、そっか。もうそろそろラファエル様が戻って来るからかな、、。ユイカは新聞を思い出し少しテンションが下がった。今日はなにをしよう、、雨だし、、だけど雨だから出かけたくなった。


「パトリシア,花を買いたいの、出かける用意してもらえる?」


 ユイカの指示を聞き、パトリシアはドレスルームからワンピースを数点持ってきた。


「今日のような雨の日には、、やさしいアイボリー、元気なオレンジ、しっとりペールブルー、いかがでしょうか?」


 ユイカはアイボリーのワンピースを選んだ。優しい色、癒される。


 パトリシアはユイカを着替えさせ、髪をセットし始めた。今日は髪を下ろし片方だけ耳の後ろまで編み込んで細いアイボリーと水色のリボンを二つ重ねつけた。可愛らしさの中に上品さもありユイカは気に入った。


 支度が終わり白い傘を持ってユイカはパトリシアとエデル達と出かけた。


「エデル様、昨夜は失礼しました。」ユイカはエデルに謝った。


 エデルは笑いながら言った。「ラファエル様に見られたらと思い早々に戻りました」


 ユイカはパトリシアが傘を持つと言ったが自分で持ち、片手で雨を触りながら言った。「私結構どこでも寝てしまうの、なかなか図太いんです」エデルは笑いながら言った。「外だけは勘弁して下さい。」ユイカは恥ずかしくなりエデルに頭を下げた。



「あ、ユイカ様こちらです」


 パトリシアがユイカに声をかけて花屋に案内してくれた。大通りに面した路面店で沢山の色とりどりの花が軒先にもあり見ているだけで楽しくなった。ユイカはさまざまな種類の花を見ながら手に取り選んでいた。雨のお陰で花は瑞々しく輝きどれも美しく見える。


「あ!」


 突然エデル達が整列し敬礼している。ユイカは何が起きたのかと思いエデル達の視線の先を見た。帝国の紋章が入った馬車が何台も連なって来た。


 ユイカはその中の一台にラファエルを見た。ラファエルも驚いた顔をしてユイカを見ていた。


 ラファエルの隣にあの新聞の女性がいた。


 ユイカはまた心臓を貫かれたような痛みを感じた。だけど、みんながいる時にはダメ,我慢。悲しい顔は見せたらダメ。ユイカは一瞬俯きすぐに顔を上げ笑顔を作り言った。


「パトリシア、この花を買いましょう」


 ユイカは泣きそうな顔をしているパトリシアの頭をポンポンとして微笑んだ。


 

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