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消える私と王子様 〜異世界から来た私は嫌われ令嬢と体をシェアしています。  作者: ねここ
第二章

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愛するふり



「ユイカ、私は明日から公務で一週間帰ってこれない。」


 ラファエルは執務室のソファーに腰掛けてお茶を飲んでいるユイカに言った。


「はい、気をつけて行ってきて下さいね。」


 一週間会えないんだ、、。ユイカはラファエルがデスクで書類に目を通す様子を見ながら言った。


ラファエル様、明日から一週間居ないのにここに一日いたけど大丈夫なのかな、、。


「ユイカ、何?」


 ラファエルが突然手を止めユイカの方を見つめ言った。


「え?何?って何?」


 ユイカもラファエルに聞いた。私何か邪魔してしまったかな?


「ユイカが私の顔を見つめ何か考えているようだったから聞いた」


 ラファエルは顔を上げてユイカに言った。ラファエル様、そんな事を気にしてくださったの?嬉しい。


「ラファエル様、今日仕事でしょ?お城に居なくて、、いいの?」


 ユイカは遠慮がちに首を傾けながらラファエルに聞いた。

ラファエルはそんなことか、、という表情でペンを置きユイカに言った


「昨日のことが夢かもしれないと思うといてもたっても居られなくて。」


 夢だったらと思うと怖くなりすぐにユイカに会いたかった。

もうあんな思いはしたく無い。


「それに、明日から出かけるから,ユイカに会いたくて、、」


 ラファエルは少し言いづらそうに言った。その様子を見ながらユイカは何かあるのかもしれないと思った。何かあるの?と聞きたい言葉を飲み込み、違うことを言って気持ちを誤魔化した。


「ラファエル様、ありがとうございます。でも、、生活のペース崩さないでね。私はラファエル様に無理して欲しくありません」


 これも本音だ。


 その言葉を聞きラファエルは立ち上がりユイカの隣に腰掛けた。


「ラファエル様?」


 ユイカは急にラファエルが隣に来たことを不思議に思った。


「、、ユイカ、私が皇帝として責務を果たす時、ユイカに事前に話した方がいいのか、それとも言わない方がいいのか私にはわからない。例え心が伴っていなくともその時間はユイカ以外の人間を愛したフリをしなければならない、だけど、何度も言う、私が愛しているのはユイカだけだ」


 ラファエルは辛そうな顔をしてユイカに聞いた。


 ラファエルの言葉を聞きやっぱり何かあるんだとわかった。だけどそれを問いただして聞いてもそれを止めることはできない。それなら何も知らないで見ないで聞かないでいた方がマシなのかも知れない。


「うん、そうですね、、えっと、知らないで過ごせるなら知りたく無い、、かな。知ってしまうと、、諦めたくなる、、かも、、でも知ることになると思うけど、、、、わかりません」


  どう答えれば正解なんだろう、、どう答えたらお互い辛く無いの?

ユイカはラファエルを見つめた。


「わかった、ユイカ、私は誰かを愛したふりをする時も全てユイカを想う、ユイカだけを想う。信じて。」


 ラファエルはユイカを抱き寄せ言った。ラファエル様、正直に言えばそんなの一つも嬉しく無い。私を思ってくれる気持ちだけが嬉しくて、それだけで生きれたら良いのに、、。愛したふりさえして欲しく無いと言ったらもう行き詰まってしまう。


 自分を愛してくれたことが幸せだったのに、もう既に欲が出ている。尽きることのない欲。恋は始まったばかりなのにもう苦しい、、。気持ちは行ったり来たりで常に波立っている。


 だけど、、自分が選んだことだから、この立場を受け止めなきゃいけない。


「ラファエル様、私は私が選んだことを人のせいにしませんから、ね。」


 ユイカもラファエルを抱きしめた。自分が選んだんだから。


 ラファエル様は両手に沢山の物を抱えている。私がこんな事で我儘を言ったらダメ、その両手にある物を影で支えられるように自立しなきゃいけないわ。


ユイカは自分のすべき事をしようと決めた。恋愛にどっぷり浸かったら苦しみしかないわ。自分自身を立たせないと!




「コンコン」


「、、ラファエル様、そろそろ」


アディがラファエルを呼びに来た。


 ラファエルは城に戻るんだと思った瞬間胸が苦しくなった。やはり頭で理解していても現実は苦しいわ。ユイカは悟られないように笑顔でラファエルを見た。顔は笑顔でも心の中は嫉妬の炎で焼かれているみたいに苦しい。


 でもわかっている。これを乗り越えなきゃいけないって。


 ラファエルはユイカを見つめ両手で頬に触れた。

愛おしい。本当は公務など行きたくない。ユイカのいない城など帰りたくない。けれど自分を優先してしまったらもっとユイカを苦しめる事になる。今は、我慢するしかない。



ユイカは直近で見るラファエルに心を奪われていた。ラファエルの瞳は輝きその奥にある激しい燃える様な情熱のこもった眼差しを向けられると全てがどうでも良くなりそうに思える。でもそれをしてはいけない。心のブレーキをかけた。


「愛しているユイカ」


 ラファエルは呟きユイカに優しくキスをした。唇を離し見つめ合いもう一度長いキスをした。


 ユイカは何も言わずラファエルに微笑んだ。本当は私も愛していますと言いたい。でも、今何か言ったら泣いてしまいそう、だからごめんなさい。こんな弱い私を許してください。


 今度は自分からラファエルにキスをしもう一度笑顔を向けた。そしてラファエルが何かを言う前にそっと離れ、静かに部屋を出て行った。

 

 

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