ユイカは特別な人
食事が終わり紅茶を飲みながら先ほどラファエルが読んでいた新聞が気になった。
「ラファエル様、先ほど何を読まれていましたか?新聞?」
上品に紅茶を飲みユイカを見つめるラファエルに聞いた。
「ああ、」
ラファエルは首を傾げ興味あるの?と言っているようにユイカを見つめた。
「いえ、新聞を読んでいるラファエル様の興味ってどこのあるのかなと思っただけです。」
ラファエルはカップを置いて微笑んだ。
「興味はユイカしかない」
ユイカは一気に顔が赤くなった。
「もう、ラファエル様真面目な話ですよ」
「ふふ、興味か、本当に無いんだ。新聞は世の中の流れを知っておくため。あるのは義務と責務だけ。」
ユイカはその言葉を聞いた時、ラファエルが背負う物の重さを改めて感じた。
どうすればそれを少しでも軽く出来るのだろう、、、でも、それは私の役目ではない。
ユイカは黙ってしまった。
「ユイカ?どうした?」
ラファエルが急に黙ったユイカを心配そうに覗き込んだ。
ユイカは徐に立ち上がりラファエルを抱きしめた。
「ラファエル様,私は何も出来ないけど、、こうしてあなたを抱きしめてあげることが出来ます」
ラファエルはユイカの行動に驚きながらも胸に身体を預け目を閉じ、されるがままユイカに頭を撫でられた。不思議なことに気持ちが落ち着く。それに、安心もできる。
自分に安心できる場所など無いと思っていたが、ここにあった。
ユイカだけが私の唯一の興味で安心できる場所。
ラファエルは顔を上げ立ち上がり目の前で優しく微笑むユイカに言った。
「ユイカ、私の側にいて欲しい、、、妻がいる私がユイカに、、勝手な事を言っているのはわかっている。この先も私は妻を娶らなければならない、その度にユイカを傷つけてしまう事も、、わかっている。」
ラファエルはユイカに跪き両手を握りしめ自分の額をそっと乗せ言った。
「勝手な事を言っていると責めても良い、だけど私はユイカを手放すことが出来ない、ユイカを諦めることが出来ない、ましてや誰かに渡すなど絶対に出来ない、、」
ユイカは黙って目の前で跪くラファエルの頭にキスをした。ラファエル様,ありがとうございます。その言葉だけで十分幸せです。ユイカはラファエルの本音を知り瞳の奥が熱くなった。う、、泣きそう、、。唇をキュッと結び少し俯き涙を我慢した。
ラファエルは立ち上がり瞳を潤ませ俯くユイカを抱きしめた。
「ユイカ、ユイカ、、心から愛している」
「ラファエル様、私も愛しています」
ラファエルはユイカの気持ちに感謝した。ユイカを愛人のような形にしてしまう事はチェスターやジャスミンは悲しむ、ユイカのことを考え私に諦めろと言うだろう。だけど、どんな形でも私にとってユイカは唯一愛する人。
諦められない。
ラファエルはユイカを連れて執務室にいった。
「ユイカ、今からユイカを守ってくれる騎士と、サポートしてくれる人間を紹介する」
ラファエルがそう言うと部屋に騎士が五名入ってきた。
「あ!グリーンのエデル様?!」
ユイカが言うとエデルは驚きユイカを見つめた。
「あ、、初めまして、、う,噂で、、」
ユイカが取り繕うとするとラファエルが言った。
「ユイカはお前を知っている、因みにジュリアナも知ってるぞ」
エデルは驚いてユイカを見つめる。
「えっと、いつか、エレノア様がいらした時にパーティがあって、家に帰ろうとしたらジュリアナに捕まっちゃって、、二人で仕事してたけど貴方達パーティにゆく予定だと知って、、送り出したの、、私です。」
「え?ジャスミン様じゃ、、」
エデルは動揺している。
「ジャスミンの頭の中に住んで、、いたの」
ユイカはためらいながらエデルを見つめ言った。こんな事信じられないよね,,。
「、、、、、そうだったんですね、、思い当たることあったので、、そうだったんですね。」
エデルはようやく謎が解けたと言わんばかりに何度も頷き納得してくれた。その様子を見てユイカは安心しラファエルを見た。ラファエルはユイカに微笑みかけ自分の方に引き寄せ抱きしめながら言った。
「エデル、ユイカは私の大切な人だ。命をかけて守ってくれ」
ラファエルはエデルに命令した。エデルは姿勢を正し胸に手を当て言った。
「はいラファエル様、勿論です。命ををかけてお守り致します」
「、、あの、、命かけるとジュリアナが悲しむのでそれはやめてね」
ユイカはエデルなら本当に命かけそうだと思い慌てて言った。自分の為に誰かが死ぬなど嫌だ。
「いいえ、ジュリアナは私が職務を全うしなかったら許さないでしょう」
ユイカはジュリアナを思い出して笑った。彼女なら確かにエデルに怒りそう。そんな男だと思わなかったって!
「ウフフ、確かに!でも私の為に死ぬのはダメです。お互い生きてこそですからね」
そう言ってユイカはラファエルに話しかけた。
「ラファエル様、私にグリーンを、国の重要人物を守るための騎士を、。そんな事しても良いのでしょうか?」
ラファエルは、心配し手をそっと握るユイカを見つめ言った。
「信用できる人間をユイカの側に置きたいんだ。アディもユイカに付ける」
「いいえ,いいえ、いけません、私には、、アディ様はずっとラファエル様を、、」
アディ様まで私に?!ユイカはラファエルの手を握り首を横に振った。
「アディ、ユイカはああ言うが?」
ラファエルはそんなユイカを優しく見つめながらアディに聞いた。
「私もラファエル様の宝を守りたいですから、それこそラファエル様の信頼の証だとおもっております。」
アディもユイカを見つめ微笑んだ。ユイカは再び瞳を潤ませラファエルを見て、エデル、アディに頭を下げて言った。
「皆さん、すみません,私は皆さんに何もお返しできなくて、、どう感謝して良いのかわからなくて、、本当に、、ありがとうございます」
ユイカはラファエルの腕からすり抜け、アディとエデルの前に立ち頭を下げ改めて感謝をした。ラファエルはそんなユイカの態度に心惹かれた。やはりユイカは人の気持ちに寄り添える人間。私の愛する人は人としても素晴らしくこの先も周りから愛されるだろう。
「ユイカ様、よろしくお願いします」
二人もユイカに頭を下げてラファエルの方を向き胸に手を当てユイカを守ることを誓った。
ラファエルは自分のいない間もユイカを守ってくれる人間が出来た事に安心した。




