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消える私と王子様 〜異世界から来た私は嫌われ令嬢と体をシェアしています。  作者: ねここ
第二章

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唯一愛する人



 ラファエルとユイカは来た道を戻り始めた。辺りは暗いが湖畔の小道もライトアップされており足元は明るい。


 歩きながら空を見上げるとスピカが見えた。



 ラファエルはユイカの手を握っている。その手は温かく、ずっと繋いでいたい。


 ユイカは隣を歩くラファエルを見つめた。ラファエルの存在感は一般人と違い、強いオーラと輝きがある。

 そんな人が手を繋いで歩いてくれるなんて。ジャスミンの中にいる時はチェスターを愛するジャスミンの意志を優先したくてラファエルに対し遠慮があった。けれど今、本体に戻ったがラファエルは結婚してしまった。


 エレノア、、ユイカの名前を言った時、様子がおかしかった。それにあの威圧的な態度と言い方。私がラファエルを好きだから責められても仕方がない、、、。だけど、、。


 ラファエル様はエレノアに私の事どういうのかな、、。ユイカはラファエルの横顔を見つめ静かに息を吐き、エレノアのことを聞こうかと迷った。先ほどの冷たい態度からするとエレノアの事を話したくないかもしれない。


 ラファエルから視線を外し湖の向こうに見えるレストランを見つめた。また、エレノアに会うかもしれない。やはりこのままうやむやにしたくない。ユイカは深呼吸し覚悟を決めてラファエルを見た。ラファエルはユイカの視線を感じユイカを見つめた。



「ラファエル様、先程はエレノア様に、、、」


 ユイカは勇気を出してエレノアの事を話し始めた。


 ラファエルは立ち止まりユイカを見つめた。エレノアがユイカを気にしている。絶対に手出しはさせない。ユイカをエレノアに会わすことはしないし、させない。

 

「ユイカ、エレノアのことは気にしないで良い」


 ラファエルはユイカを見つめ穏やかに言った。エレノアは美しい姫だが愛し合って結婚した訳ではない。ただ単純に適役だっただけだ。お互いに適役だったと思っていたがどんどんと私に執着するようになり、あの毒事件が起きた。それに異世界の男アダムの件も、、。証拠がないながらもエレノアには警告をした。けれどまた注意が必要だ。ユイカを狙う可能性も否定出来ない。


不安げな瞳で見つめるユイカにもう一度言った。


「ユイカ、心配しなくても良い」


「でも、エレノア様はラファエル様の妻です。」


 ユイカはそう言いながらも今もラファエルと手を繋いでいる。もう言い訳ができない。この手は離したく無い。


「ユイカ、この世界の王のほとんど全てが政略結婚なのだ。王子や姫は国の道具、国を拡げるため、安定させる為」


 ラファエルはユイカを見つめながら話をしている。結婚は政治だとジャスミンの時も聞いた。


「、、はい」


ユイカはラファエルの言葉に戸惑いながら短く答えた。政治のための結婚、どんな気持ちなんだろう?。ユイカはラファエルから視線を外し少しうつむくと顔の前に髪がサラサラと落ちてきた。さっきナイフで切らなくてよかった。結婚は政治だと言われても、どんな顔をしていいのかわからない。政治で結婚したエレノアの事をどう思っているの?髪の隙間からラファエルを見上げた。


ラファエルは戸惑うユイカの頬にそっと触れた。先程と違い拒否しない。ラファエルはまた幸せを感じた。


「私は自分の役割を演じているだけで、そこに感情はない」


 ラファエルは目を細め美しい黒髪に触りその髪をユイカの耳にかけた。これで顔がよく見える。


「えっと、どう理解すればいいのか、、」


 ユイカは自分の表情がラファエルに丸見えになり戸惑いながらラファエルを見つめた。心のどこかで期待をしている。感情がないって、、。

 

「、、ユイカ、わからない?私の妻が何人いようともそれは私が私の役割の中で行う行為であってそれ以上もそれ以下も無い、私にとってどうでも良い事なんだ」


 何人いても、愛している訳じゃ無い?はっきりと、、聞きたい。

 

「ラファエル様、私はラファエル様がおっしゃる意味がわからなくて、、、」


 ラファエルは目を細めまたユイカの頬を触り、もう片方の手はユイカの額にかかる髪を後ろに撫でつけながら言った。


「愛する人は一人だけだ」


 そう言って優しくユイカにキスをした。

ユイカは突然ラファエルにキスをされ驚いた。ラファエル様は今なんと言った?


 愛する人は一人だけ?!


 本当に?!ユイカは驚き目を見開いた。あ、涙が出そう、、。ユイカはジャスミンの中にいる時からずっと我慢していたラファエルへの想いが涙と共に溢れ出した。ラファエルはユイカの涙に触れもう一度愛を込めキスをした。


 泣き始めたユイカをラファエルはやさしく抱きしめた。


 ラファエル様は愛しているって言ってくれたの?私も愛している、だけど、こんな立場でラファエル様を愛しても良いの?それにこの世界の人間じゃない、また消えてしまうかもしれない。そんな人間を愛してもラファエル様にとって得るものはない。


「ラファエル様、私はこの世界の人間ではありません。またいつかここから去らなきゃいけない日が来るかもしれません。もしそうなったら、、だから私じゃない方が、、幸せに、なれると思います、、」


 ユイカは言葉に詰まりながらラファエルに言った。そんな人間を愛してもなんの利益もない。それならエレノアを選んだほうがラファエルはきっと幸せになれる。


「だめだ、ユイカ、ユイカしか愛せないしどこにも行かせたく無い」


 ラファエルはユイカを強く抱きしめた。


「、、私がいるせいでラファエル様にご迷惑をかけたく無い」


 ユイカは涙を拭いながら言った。


「ユイカ、私はあなたに何もあげられない、唯一あげられるのは私の心だけだ。だから逃げないで、、」


 ラファエルはユイカを真っ直ぐに見て言った。


「ラファエル様は私に心を下さるのですか?私だけを愛していると」


 ユイカもラファエルを真っ直ぐに見つめ聞いた。


「ユイカ以外私の心を動かせる人はいない。ユイカ、、愛しています」


 ラファエルはユイカの顔にかかるサイドの髪を持ち上げキスをし、ユイカを見つめた。


 ユイカはラファエルの愛の告白に身体が熱くなったが、元の世界に戻った時のことを不意に思い出した。会いたくて恋しくて、、あの日々がよみがえり不安になった。怖い、もうラファエル様と会えなくなる事が怖いと感じている。私を愛してくれる彼の手を離したくない。


「ラファエル様、お願い、強く抱きしめて下さい。」


ラファエルはユイカを強く抱きしめ、探し続けた人が腕の中にいる事に幸せを感じた。ユイカだけは誰にも手出しはさせない。エレノアであろうとも、いつかの毒の様な暗殺からも必ず守ってみせる。



 ラファエルはレストランに戻り待機させていた馬車にユイカをのせ、アディと一緒にタウンハウスに戻る様に言った。戻る前にユイカはジャスミンにメッセージを書き、改めてゆっくり会おうと約束した。


 ラファエルはユイカを馬車に乗せたあとレストランに戻ろうとしたが、振り返り座席に腰掛けるユイカをもう一度見て突然馬車に乗り込んだ。驚いてラファエルを見上げるユイカにキスをし身を翻し馬車を降りレストランに入っていった。


 ユイカはまさかアディのいる前でそんな事をするとは思っていなかったので顔が真っ赤になり目の前に腰をかけているアディを見ることが出来なかった。


 アディはラファエルの行動の意味を理解した。


 誰も愛さないラファエル様が唯一愛するユイカ様を全ての悪意から守れと命令されたのだ。


 アディはユイカを守るため準備を始めた。


 顔を真っ赤にして時々こちらを見るユイカに親しみを感じアディは話しかけた。


「ユイカ様、ラファエル様がユイカ様を連れ出してしまわれてお腹がおすきでしょう?」


 ますます顔が赤くなっているユイカを見てラファエル様の気持ちを理解できる気がした。ユイカ様は姫や令嬢と違って自分の感情に素直で裏表がなく心が自由だからだ。


「お気遣いありがとうございます。今日は色々とありすぎて、、まだ頭の中がぼーっとしてしまって、」


 ユイカはアディがユイカの事をどう思っているのか心配になった。馬車の座席を手で撫でながらアディを見た。ずっと支えてきたラファエルを誘惑したとか、、怒っていないのかな?


「ユイカ様、ジャスミン様の中にいた頃、麦の輸入の事、流行病の事、カジノの事、ユイカ様の功績は計り知れません。それよりなにより、ユイカ様は瀕死になったラファエル様を助けて下さった命の恩人です。」


 ユイカはアディがユイカの気持ちを察したことに驚いた。


「ありがとうございます。そう言っていただけると少しは気が楽になります。」


 ユイカはアディに申し訳なさそうに微笑んで胸元の指輪を触った。


「ユイカ様、タウンハウスに戻ったら食事にしましょう、ユイカ様の好きなケーキもありますよ」


アディはユイカにウィンクをし、ユイカの緊張感をほぐした。


「うふふ、アディ様、お世話になります」


 ユイカはようやく輝く様な笑顔でアディを見た。

 

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