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消える私と王子様 〜異世界から来た私は嫌われ令嬢と体をシェアしています。  作者: ねここ
第二章

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エレノアの詮索



「え?エレノア様が?」


 ユイカは驚いた。なぜ?気にするほどの存在ではないのに、、でも,毒のことを思い出し無意識に胸元にある真珠の指輪を握りしめた。


「ああ、ラファエルが自分のタウンハウスに見知らぬ女を住まわせると聞けば気になるよ。まあ、ラファエルは気にもしていないけど」


 「え?ラファエル様は何に対して気にしていないの?」


ユイカはラファエルの真意を知りたいとチェスターに聞いた。


「エレノア様の事など気にしていない、ラファエルって人を顧みないし、そもそも誰に対しても興味がないっていうの?ユイカ以外」


 チェスターはジャスミンを抱きしめながらユイカに言った。ジャスミンもチェスターの言葉に頷いている。


「私以外ってなにそれ?、でもチェスター様やジャスミンに聞くなんて、、エレノア様は私の存在が不快だよね、、。どう言えば良いのかな、、」


 ユイカはチェスターの言葉に胸が高鳴った。私以外興味がないって、、本当?、、けれどエレノア。

あの人は結婚前でもラファエル様の近くにいた私達を殺そうとした。今は私の事が気になって仕方がなさそう。毒を盛られた過去を思い出すと関わりたくない。


 ラファエル様はエレノア様の事どう思っているんだろう?さっきの話を聞くと、ラファエル様はエレノアの事を愛していない?いえ、ラファエル様自身がおっしゃった言葉じゃないから勝手に解釈したらいけないわ。


 でもこのまま放っておいてチェスター様やジャスミンに迷惑をかけるわけにはいかない。なんらかの設定は必要よね、、。ジャスミンの頭の中にいましたとは言えないし、異世界から来たとも言えないし、。



「遠い国からきたジャスミンの友達で、カジノの件で手伝ってもらったとか、、」


 チェスターは深刻な顔で考え込むユイカに助言した。


「間違っていないけど、どこの国って聞かれたら私わからないわ。」


 ユイカは握りしめていた指輪から手を離し、腕を組み考えている。


「じゃあさ、極力会わなきゃ良いじゃん?」


 チェスターが指をパチンと鳴らし自信満々な面持ちで言った。


「チェスター様、冴えてますね、私もその意見賛成します」 

 

 ユイカもチェスターの妙案に喜びの笑顔を見せた。二人はニヤニヤと笑いながら握手をした。ジャスミンは楽しそうに二人を見ている。


「よし!それで行こう!」


「コンコン」


 ドアがノックされた。三人はビクっとしドアを見た。顔を見合わせ、チェスターが返事をした。


「はい、どなたで、、」


「エレノアですわ、入っても宜しくて?」


 うそ!なんでここに?三人の顔から笑顔が消え、顔面蒼白になった。ユイカはこめかみに手を当て考えた。

いや、待って、恐れる事なくない?私はラファエル様となんでも無いから会ってもやましくない、、はず。


 うん。ユイカはチェスターに頷いた。大丈夫、やましくないし、ジャスミンの友人で、ラファエル様とは仕事仲間だった。これは事実だから。


「どうぞ」


 チェスターが扉を開けると輝く様な笑顔でエレノアが入ってきた。ジャスミンをみてジャスミンに挨拶をし、ユイカを見た。一瞬真顔になったがすぐに笑顔になったエレノアを見て血の気が引く思いがした。今の真顔なに?!けれど挨拶をしなければ、、、ユイカはドレスを持ち上げ頭を下げた。


「私はゴールドバーグの皇后で、ラファエルの妻、エレノアです」


 エレノアは牽制するかのようにユイカの前に立ち突然挨拶をしてきた。


 「この国の皇后」と言えば誰もがラファエルの妻という事実がわかるのにわざわざ「ラファエルの妻」と付け足し言った。ジャスミンとチェスターはその言葉を聞き息をのんだ。エレノアはユイカを警戒している!


「私は、、ユイカと申します、、、」


 自己紹介を終えた瞬間、エレノアの瞳孔が開いた。なに?今の!!ユイカの体が緊張に包まれた。エレノアは何かを感じたような,気がついたような顔をした。それに、先程わざわざ妻と言った言葉にはユイカに対する警戒心と敵対心が剥き出しになっているように感じる。


「ユイカ、、珍しい名前ですね。」


 エレノアは微笑みながらユイカを見つめ言った。その微笑みの裏に何かがあると確信めいた直感があったが、今はそれどころではない。


 「エレノア様、ユイカは、、」ジャスミンがエレノアに声をかけようとした時、エレノアはジャスミンを見ずに言った。


 「今、この人と話していますのよ。」


 エレノアはジャスミンに牽制し穴が開くほどユイカを見ている。


「、、はい、、」


 ジャスミンは小さく返事をした。部屋を出てラファエル様を呼んでこよう。そう思うのだが、ユイカをそのままにもしておけない。どうしよう、、。ジャスミンはユイカを見た。


 ユイカはエレノアの視線に耐えていた。


 なんなの?この人見た目と性格のギャップが怖い!!ユイカはエレノアから目を逸らし足元を見つめた。体の前で重ねられている手の指先が微かに震えている。この人は私達を殺そうとした人だとわかるほど強い視線をユイカに向けている。


「ふーん、ユイカというのですね。あなたは。」


 エレノアの口調が変わった。エレノアはゆっくりとユイカの周りを一周回り、また目の前に立った。


ユイカは息をのんだ。


 「ラファエル様のタウンハウスに住むと聞いたけど、どこの出身で身分は?私の夫だとご存じなのかしら?」


 エレノアは下を向くユイカに言った。ユイカはどう答えれば良いのかわからなくなった。どんな答えを言ってもこの人は私を問い詰める!どうしよう!!ユイカは一旦冷静になろうと、両手を握りしめ目を閉じた。


 その様子を見ていたジャスミンはチェスターの手を握り、チェスターはユイカを庇おうとした。


「エレノア様、、」チェスターが声をかけようとした時ドアが開きラファエルが現れた。


「エレノア!なぜここにいる?」


 ラファエルは状況を見て顔色を変え、ユイカを庇う様にエレノアの目の前に立ち,ユイカを自分の背後に引っ張った。


「この方がラファエル様のタウンハウスにお住まいだと伺って、、」


 エレノアは真顔でラファエルを見つめ言った。


ユイカは突然現れ庇ってくれたラファエルを見て泣きそうになった。エレノアは私を警戒している。あの日毒で死にそうになった事、忘れられない。ラファエル様を手に入れても満足しないの?ユイカは両手を握り唇を噛んだ。


 ラファエルは眉間に皺を寄せエレノアに言った。


「エレノア、一度だけ忠告しておく。彼女に聞きたいことがあるのなら私に聞け。」


 ラファエルはドアを開けエレノアを見た。エレノアは何も言わずに部屋から出て行った。ラファエルは振り向き一連のやり取りを見て戸惑うチェスターとジャスミンに「ユイカを連れて行く、改めてまた。」と言い、唖然としているユイカの手を握り部屋を出た。


「あの、、ラファエル様?」


 ユイカは突然ラファエルに手を握られ部屋から連れ出され混乱していた。エレノアに忠告と言う言葉を使った?それにとても冷たかったし、部屋から追い出した。


 そして、、何より私を庇ってくれた。なぜ?、、心拍数が上がる。ラファエルの言葉に、行動に喜びを感じている。握られた手が熱い。先ほどまでの緊張がときめきに変わった。


 ラファエルは黙ったまま会場を出て湖畔を歩き出した。手はしっかりと握られている。会場にいた貴族達は驚いた様子で二人を見ていたがラファエルは全く気に留めずどんどん歩き出した。



 湖畔を歩いて行くラファエルに引っ張られ、ユイカは半歩後ろを歩いていたが突然ラファエルが立ち止まり振り返った。ユイカは止まりきれずラファエルにぶつかった。慌てて顔をあげ離れようとした時、ラファエルのコートのボタンにユイカの髪が絡まった。


「いた!」


 ユイカはラファエルから離れようとした時に髪を引っ張られ声を上げた。昔、海で助けた時もこんな事あった。懐かしい。ラファエル様は覚えているかな?ユイカは微笑みを浮かべラファエルに聞いた。


「うふふ、ラファエル様、私が次にする行動はご存じですか?」


 ボタンにからまった髪を指差しユイカは言った。


 ラファエルはやっと笑ったユイカに目を細め言った。


「ナイフで髪を切る」


 そう言ってユイカを抱きしめた。あの日、ボタンに絡まった自分の髪をユイカは平然と切った。この世界の令嬢は絶対にそんな事をしない。だから驚き聞いた。髪は大事じゃないのかと。そしたらユイカは髪より大切なものがあると言った。今ならユイカの言った言葉の意味がわかる。だけど、、。


「こうすれば切らなくて良い」


 ラファエルはユイカを強く抱きしめた。


「うふふ、ラファエル様、ずっとこうしていられませんよ?」


 ユイカは瞳をきらりと輝かせ、試すような口調でラファエルに言った。ラファエルはそんなユイカの髪を触り耳元で囁くように言った。


「美しい髪を切らせたく無い」


 ラファエルの低いセクシーな声にユイカは体が溶けそうになった。もう周りが見えないほどラファエルに心を掴まれてしまった、、。認めよう、私はこの人が好きで、この状況に幸せを感じている。


「じゃあ、ゆっくりと絡まった髪をほどきましょう」


 そう言ってユイカはラファエルのボタンに絡まった髪をほどき始めた。


 ラファエルは幸せそうにその様子見つめている。時々ユイカがラファエルを見て


「もう少しお待ちください」と言って微笑む。


 ラファエルは頷きユイカを見つめる。


 五回ほど繰り返したのち、髪はほどけた。


 

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