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ラファエルと再会



 ジャスミンは父と母、そして美しい妹たちと一緒に城に来ていた。


 妹たちが入場すると一気に注目を浴び、堂々としている二人に感心をした。


 その日二人はピンクと水色の色違いの華やかなレースのドレスを着ており、ゆるく結い上げた髪が可愛らしくもあり大人っぽくもありみるものを魅了していた。


 それに比べてジャスミンは地味な深緑のシンプルなドレスでチョコレートブラウンの髪はおろされてあの可憐な妹にこんな地味な姉がいたとは誰も想像していなかった。


 ユイカは頭の中でジャスミンを見守っている。本物のジャスミンは今必死で戦っている。


 あの日、七歳のジャスミンに初めて話しかけた時のことを思い出していた。


 ジャスミンは泣きながら言った。


「私だって愛されたい、私だって、、前を向きたい」


「ジャスミン、あなたは悪くない、愛されるべき子供だよ。私はジャスミンを助けにきたんだよ。私はユイカ」


「、、ユイカ?私の頭の中にいるの?ユイカは神さまなの?」


「そうだね、今のジャスミンにとって一番の友達なりたい、、異世界の人だよ。」


 ジャスミン、今からが反撃の時。私がついているわ。



 


 皇帝,皇后、ラファエルの前に家族全員が立った。


 ユイカはラファエルを見た。ラファエルは微笑みを浮かべながらホワイト男爵一家を見つめている。その姿は気高く美しく、あの日死にそうだったラファエルとは全く違っていた。


 、、元気になったのね。



 皇帝達の前で、両親がまず挨拶をし、二人の妹も可愛らしくけれど上品に挨拶をしていた。忘れられているかと思ったがようやく両親がジャスミンを紹介した。


 ジャスミンは静かに皇帝と皇后前に進み、挨拶をし、ラファエルにも挨拶をした。


「皇帝陛下、皇后陛下、お初にお目にかかります、ジャスミン・ホワイトでございます」


 ジャスミンは地味だが、非の打ち所がない優雅な動作と穏やか声のトーンで挨拶をした。


 そこに知性と奥行きを感じた皇帝はジャスミンに聞いた


「この可憐な令嬢二人に、お姉様がいたとは、何故今まで来なかったのですか?」


ジャスミンは少しだけ間を置いて話し出した。


「皇帝陛下、私は体が弱くこのような華やかな場所に参加する機会がありませんでした。ただ、今日は優しい両親と妹に支えてもらいながらご挨拶に参りました。」


 ジャスミンは優雅に微笑みドレスを持ちげ挨拶をし、ラファエル方を見て同じように挨拶をし下がった。


 ラファエルはチラッとジャスミンを見たが特に何か感じているような雰囲気は無かった。


 ユイカは感心をした。本物のジャスミンはとても優雅で堂々として素敵な女性だった。


 パーティーが始まりダフニーとドリスはラファエルの元に行き共に過ごしていた。両親は様々な貴族と社交活動をしている。


 ジャスミンは壁にもたれパーティーを眺めていた。ジャスミン、なにを考えているの?ユイカは声をかけた。


「ユイカ、緊張して、、疲れちゃった、、ごめん」


 突然ジャスミンは引っ込んでユイカが表に出てきた。ジャスミン!私作法知らないんだけど!!


 、、ジャスミンは出てこない。仕方がない大人しく過ごそう。ユイカはラファエルの姿を探した。


 ラファエルはとても目立っているからすぐに見つけられた。


 黒いジャケットに金の刺繍が履いた正装をしており正真正銘の王子だった。


 あの日、突然ラファエルと別れてしまったけど、私の存在なんて覚えていないんだな、、当たり前だけど寂しく思った。


 黒のジャケットに金色の髪は反則、かっこよすぎ。


 ユイカは誰からも声をかけられることなくパーティーを過ごす中で会場の美品の一つが気になっていた。


 会場にはさまざまな美品が飾られているがその中の一つだけ木で作ったカラクリ箱が置いてる。


 懐かしい、元の世界の祖母の家にあってよく遊んでいた。こちらの世界でもそんな技術と遊びがあるんだ、、


 ユイカはカラクリ箱の前に立ち構造を想像していた。


「ジャスミンはこれが気になるのですか?」先ほど挨拶した皇后が話しかけてきた。


「あ、皇后様」見よう見まねではドレスを持ち上げ挨拶をし、また箱に視線を移し言った。


「はい、こちらの会場の美品はどれも素晴らしく楽しんでおりましたが、何故かこの箱が気になりまして」


「どうして気になったのですか?」


 皇后は笑顔をユイカに向けて聞いてきた。


「、、ほかの美品は陶器や彫刻、、何故か木工はこの箱だけ、、」


「ジャスミン、触ってみたいですか?」


皇后は穏やかな口調でまるで小さな子供に言うような優しさを込めてユイカに聞いた。


「、、よろしいのでしょうか?」


 遠慮がちに皇后を見つめ聞いた。


 皇后はそっと箱を取り、ユイカに渡した。


「ありがとうございます」


 早速カラクリ箱を触り始め、数分後解体してしまった。



 皇后に視線を向けると、驚きの表情でユイカを見つめている。


「、、ジャスミン、話があります。少しだけ時間をいただいても?」


 皇后は口調は穏やかだが、目を輝かせてジャスミンに言った。


「はい。大丈夫です。」


 皇后はユイカ連れて会場を出て別室に移動した。


 

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