戻りました!
そこに立っている女性は初めてみる女性だった。
肩下まである黒髪に、黒い瞳、黒いノースリーブの膝丈のワンピースにハイヒールを履き真っ赤なストールを首に巻き、全身ずぶ濡れの女性。
少し恥ずかしそうにジャスミンを見つめ
「ジャスミン、結婚おめでとう。よかったね」
と言って笑った。
「ユイカ!あなたはユイカですか?!」
ジャスミンは両手でドレスを握りしめ、涙をポロポロとこぼしながら聞いた。
「初めまして。これがユイカの本体です。」
濡れた髪を耳にかけながら照れ臭そうに微笑んだ。
「ユイカ!ユイカ!会いたかった!ユイカに会いたかった!ユイカが居てくれたから!!」
ジャスミンはずぶ濡れのユイカに抱きつき号泣した。
ユイカは優しくジャスミンを抱きしめ
「私のジャスミン、幸せになってね」と言った。
そしてジャスミンを抱きしめながらチェスターを見て言った。
「チェスター様、ジャスミンをお願いします。」
「ユイカ、、君が、、ユイカなんだ、、、」
チェスターは立ち止まり瞳を潤ませ言葉に詰まりながらユイカに言った。
「、、ユイカ、、」
この声、ずっと聞きたかった私の名前を呼ぶこの声、、
ユイカは声の方を見つめた。
ラファエルは突然現れたユイカを見つめていた。
この人がユイカ。
名前を呼ばれてこちらを見つめるユイカを見つめ、何も言えなくなった。
言葉が出ないほど、会いたかった。
「、、ラファエル様、初めまして、ユイカです。」
ユイカはジャスミンの肩越しにラファエルに挨拶をした。
ラファエルは何も答えられないほど、ユイカに釘付けになった。
初めてみるユイカは美しい女性だった。
濡れて艶めく黒髪と全ての光を吸収して輝く黒い瞳,しなやかに伸びる手足と、どこか神秘的な雰囲気はこの世界の人間には無い独特の美しさがありラファエルはその魅力に惹き込まれた。
「、、ラファエル様も驚き過ぎて声無くしちゃったのかな?」
ユイカは首を傾けてラファエルに微笑んだ。
その微笑みをみてラファエルはジャスミンを抱きしめるユイカに近づいた。
「ラファエル様、ジャスミンを抱きしめている方は?」
突然エレノアが声をかけた。
ラファエルは我にかえりエレノアの方を向き、
「ジャスミンの友達で、仕事を手伝ってもらったことがある人だ」
そう言ってユイカを見た。ユイカはラファエルとエレノアに軽く会釈をし、
「ジャスミン、折角のドレスが濡れてしまうわ」
そう言ってチェスターを呼びジャスミンを預けた。
、、ラファエルとエレノア、、これ以上ここに居たくない、、。
ユイカはそのまま扉の方に歩き出し教会を出て行こうとした。
「ユイカ!行かないで!そばにいて」
ジャスミンは歩き出すユイカのストールを掴んだ。
「きゃあ!ジャスミン、殺す気?!」
ユイカは笑いながら立ち止まり、寂しそうな顔でストールを引っ張るジャスミンの手を握りチェスターに言った。
「公爵様、私に小さなアパート、、じゃなくて以前ジャスミンが住んでいた様な所貸していただけませんか?来たばかりで家がなくて」
ユイカは握っていた手をそっと離し、ジャスミンの頭をポンポンと優しく叩きながらチェスターにジャスミンを渡した。
「俺の家に住みなよ。ジャスミンも喜ぶし」
チェスターはジャスミンをユイカから受け取り、抱きしめながらユイカに提案した。ジャスミンも頷いている。
「私のタウンハウスにユイカは住むといい」
突然ラファエルがユイカに言った。
「い、いえ、皇帝のタウンハウスだなんて!」
ユイカは慌てて言ったがラファエルはユイカの返事も聞かずアディを呼び準備するよう指示をした。チェスターとジャスミンは二人の気持ちを知っている。だから二人はラファエルの提案を聞き顔を見合わせ微笑んだ。
一方でユイカは、ラファエルの提案を聞き平静を装いながらも心の中はざわついていた。嬉しいような不安な様な、、様々な気持ちが絡み合い落ち着かない。離れたところで探るようにこちらを見つめるエレノアの視線も気になった。嫉妬の対象にされたら厄介だわ、、。ラファエル様は何を思って住めと仰るの?
目の前にいるラファエルはポーカーフェイスで何を考えているのかわからない。はぁ、、小さくため息を吐き、ラファエルから視線を外し海水に濡れたワンピースの裾を絞りながら考えた。、、どうしよう、良いのかな、、、、。タウンハウスにラファエル様が来る訳じゃないし、お言葉に甘えても大丈夫だよね、、。ユイカは顔を上げラファエルを見た。
ラファエルは何も言わずに頷いた。
「、、ラファエル様、ありがとうございます。ジャスミン、チェスター様またね!」
ユイカはジャスミンの頬にキスをして待機していたアディと共に移動した。




