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消える私と王子様 〜異世界から来た私は嫌われ令嬢と体をシェアしています。  作者: ねここ
第二章

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本体に戻る


「消える私と王子様」を読んで下さって本当にありがとうございます。


このお話から第二章が始まります。よろしくお願いします。



 バッシャーン


 なに?!

 

 なに??


 一体なんなの?


 ずぶ濡れ、、、


 ユイカは何が起きたのか分からず辺りを見回した。


、、、暗い。


 ここどこ?夜の海?

 

 街の灯りで自分がいる場所がわかった。浅瀬の海の中に居る。


 濡れて体に張り付く髪をみて驚いた。髪の色が黒い!


 もしかして私は私に戻れたの?


 濡れた手で顔を触るが分からない。水面に顔を映そうと思うが波があり映らない。


 海から上がらなきゃ。ユイカは重い身体を動かし砂浜を目指して歩き出した。


 まって、、ユイカは足を止めた。


 また誰かの身体に入り込んでしまったかもしれない。


 徐に目を閉じて誰かを呼んでみるが誰もいない。

 


 いや、それよりも、そもそもここはどこで、私はなぜこんな海に?


 ちょっとまって、私、どこにいたんだっけ?


 

 思い出したくない。


 思い出したくない、、


 あの人が、


 、、、、ラファエルが、、、、結婚してしまった。



「、、、思い出したくなかった、、なんで、こうなるの、、」


 ユイカは海の中で膝を突き両手で顔を覆い泣き始めた。


 ラファエルがエレノアと結婚してしまった。


 今いる世界が何処であろうとも、私はあの世界でラファエルの結婚式が始まる直前にラファエルに会い、さよならをした。


 あの世界は私が居なくても続いていて、、、、私は、、ジャスミンの中から消滅した。


ジャスミン、、ジャスミン!急に消えてごめん、、ジャスミン、、、ごめんね、、。



 ユイカは声が枯れるまで泣いた。



 、、、、海の中にずっといたせいか手や足がふやけ体温が下がった。ユイカは重い体を引きずるように海中を歩き、波に足元をすくわれながら、なんとか砂浜に上がった。


ハァハァ、、息が上がる!


 人魚姫も人間に変わって海から上がる時、こんな風に体が重く感じたのかな、、、。ユイカは呼吸を整えながら振り返り海を見つめた。あ、違う、愛しい王子様に逢える喜びでこんな事思わなかったよね、、。私とは真逆だわ。


 、、ふぅ、、。短く息を吐きユイカは辺りを見回した。



 ビルの灯りが見える。夜なのに地上の光で空が明るい。人工的な明るい夜空彼方に白く輝く星が見えた。


 スピカだ。


 あの星はあの人を思い出させる。どんな光にも負けない輝きがあるラファエル。

 ユイカは両手を伸ばし手の上にスピカを乗せ握った。ううん,違う、捕まえたいんじゃない。


 手を下ろし砂浜に座り込んだ。膝を立てて揃え両脚を両腕で抱えいわゆる体育座りをし、ぼんやりと周りを見ていた。ここは見覚えのある場所。住んでいたアパートの近くの海岸だ。


 私は元の世界に戻ってきたんだ。


 泣き腫らした目が痛い。髪から滴り落ちる海水が追い打ちをかけるように目に入る。最悪。


 濡れた身体が海風を受け冷えて震えてきた。寒く感じるが、海岸を歩く人を見ると半袖、、夏なんだ。


 夜遅いのか風が涼しい。


 ユイカはため息を吐いた。これからどうしよう。


 久しぶりに戻ってきたけど、、まだ私の住んでいたアパートはあるのかな、、、。


行く宛がないから行ってみようかな。ずぶ濡れの洋服はいつも着ていた普通のワンピース。サンダルも見覚えのある物。手足についた砂を払いユイカは住んでいたアパートに向かった。


 鍵は持っていないがいつも鍵を無くすから合鍵を隠している。

 

 秘密の鍵置き場に手を入れると鍵があった。一か八か。鍵穴に差し回す。


 カチャ


 開いた。あ、この香り、、私の家の香りだ。中に入ると何も変わっていなかった。


 テレビをつけるとユイカが異世界に消えた日の夜で、あの世界の十年間は十時間も満たないほどだった。


 夢を見ていたんだ、、きっと。


 ユイカは鏡の前に立って自分を見た。ユイカだ。


 あ!


 胸元に金のネックレスとそれに通されたパールの指輪があった。


 夢じゃない。


 夢では無かった。なぜ、夢じゃないの?


 、、、いや、、、忘れよう、忘れよう。


こんな事ありえないし、、これはきっと前から持っていた物だと、、思おう。


ユイカはシャワーを浴び着替え、コーヒを入れ椅子に腰掛けた。


ふぅ、、


 、、ジャスミン、チェスター様と上手くやってるかな。


あ、ダメダメ、あれは夢だった。


 忘れよう、


、、、ラファエル様はなぜ指輪を私に、、、、。あ、ダメ,。忘れなきゃ。


 忘れなきゃ。


 ユイカは手に持っていたコーヒーカップをテーブルに置き、両手で顔を覆った。


忘れられるはずがない、ジャスミンを、、チェスターを、、ラファエルを忘れられるはずが無い。


一緒に過ごした日々、、、忘れられる訳がない。



ユイカはベランダに出て夜空を見つめた。スピカが見える。



ジャスミン、どうかチェスター様と幸せになって、、。

いつも一緒にいて喜びも悲しみも分かち合った大切なジャスミン。


私の夢はジャスミンの結婚式に行って、ジャスミンに頑張ったねって、幸せになってねって、、抱きしめてあげたかった。ごめんね、、。チェスター様なら誰よりもあなたを大切にしてくれる。どうか幸せに、、、。


ユイカは声を堪え泣いた。一人で泣く事がこんなに寂しいとは、、ジャスミン、、。


ベランダの手すりを強く握りしめその上に頭を乗せ俯いた。心を落ち着かせよう。

ユイカはそのまま片手で首のネックレスと指輪に触れた。


池に落ちた夜、、ラファエルはこれをくれた。、、、


、、ラファエル様、、


あの日,ラファエルはエレノアと結婚した。私はあの人が好きだから、、すごく悲しかった。

目の前に立っていたラファエルは光り輝いて見えた。本当に素敵で、、美しくて、、でも、、私の恋人では無いと、、エレノアのものだと思うとつらくて苦しくて、、、、けれど、ラファエルがエレノアを愛しているのなら幸せになって欲しいとラファエルの幸せを心から願った。



 ラファエルとは生きる世界も生き方も全然違った。

それに何人も妻を娶れるなど、、全くわかんない。


 だけど、、確実にわかることは、、,私はラファエルが好きだってこと。



 どうして、、結婚する直前に私に会いたいと言ったの?エレノアがいるのに、、どうして?


 なぜ私を呼び出したの?


 何を、、言おうとしたの?


 でも、私は、、聞きたく無かった。今更何を聞いてもラファエルは結婚する。


 いえ、、違う。もう、結婚したんだ。


 今更ユイカに戻ってもどうしようも出来ないじゃない。


 ラファエル、、なんで結婚しちゃったの?、、、あの人、エレノアは私達を殺そうとしたんです。


、、そんな事,,言えない,言えなかった。そもそも証拠も無かったし、何よりエレノアのこと、、ラファエルは、エレノアのこと、、好きだから、、


 二人はとても似合っていたもの、、、。そんな二人の幸せを壊すなど、出来ないよ。


毒を盛られたジャスミンのことは心配だけど,チェスターと結婚するからラファエルの件は自分の誤解だったとエレノア自身わかったはずだから二度と手出しはしないと思う。



ユイカは顔を上げもう一度スピカを見つめた。


 、、、。私、戻りたい。


ラファエルが結婚して幸せでも良い。


その姿を見て、、辛くてもいい。


あの世界に、、、戻りたい。



 近くにいられなくていいから、同じ時空で同じ時を過ごしたい、



 そしてジャスミンに会いたい。


 神様、、、お願いあの世界に戻りたい。 私はあの世界に戻りたい!



ユイカはスピカを見つめ呟いた。掴みたいんじゃない。


赤い星、アルクトゥルスを見つめ言った。私はあなたのように追いかけたい。


あの人を、、ラファエルを追いかけたい。


遠い異世界だから追いかけるのは無理だと言われても、


私は追いかけたい。どんなに時間がかかっても、、


私があの世界を諦めないかぎり。




 



「消える私と王子様」を読んで下さって本当にありがとうございます。


第二章が始まりました。この章は大人の恋愛のお話になっております。婚外恋愛の抵抗がある方にはお勧め致しませんが、物語の構成上お許しいただけたらありがたいです。


第二章も「消える私と王子様」をどうぞ宜しくお願いいたします。


ありがとうございます。


ねここ


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