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消える私と王子様 〜異世界から来た私は嫌われ令嬢と体をシェアしています。  作者: ねここ
第一章

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ユイカとラファエル

「ユイカ」


 深夜の公園で不意に名前を呼ばれユイカは驚きながら顔を上げた。


 この時間,この場所にふさわしくない格好をした美しい王子様が立っている。その顔に笑顔はなく遥彼方を見つめるような瞳でこちらを見ている。


「ラファエル様?なんでここに?いや、それよりもめちゃくちゃ目立ってます、、その格好」


 なぜ?どうしてあなたがここにいるの?ユイカは動揺をしラファエルの視線から目を背けたが極力平静を装った。


「ユイカ、今日は接待があって、終わってそのまま来たから、、」


ラファエルは普段と違いどことなく弱々しく力のない声で言った。


 、、、、、「ラファエル様は私に会いにきたのでしょうか?」


ユイカもラファエルの言葉を聞き声が震えた。まさか、、私に会いにここまで?


ラファエルはフッと笑いユイカに近づき


「ユイカ以外、誰に会いにここに来るんだ?」


 そう言って目の前に立った。その声はどこか切なさを感じさせ心に響く声色だった。


 ユイカはラファエルを見上げ月を背景に立つラファエルの美しさに目が釘付けになった。そしてラファエルの言葉に幸せを感じ震える心を偽ることが出来ないと思った。


 胸が締め付けられ何か答えようと思うが声が出ない。

お互い言葉を発することなく静かに見つめ合った。まるで時が止まってしまったような気がした。このまま永遠に、、時間が止まればいいのに、、。憂を含んだ瞳でこちらを見つめるラファエルの全てを、心に刻みたいと瞬きもせず見つめていた。


しかしユイカは我に帰った。こんな見つめられても実際私は見つめられていないのだ。

これが現実。私は私では無い。ユイカは息を飲み一旦視線を外した。


そしてもう一度ラファエルを見つめ、自分の気持ちを隠すように真珠の指輪を握りしめ言った。


「ラファエル様、月が綺麗ですね、、この月が満月になったらエレノア様と、、、」


「ユイカ、なぜ私に会ってくれなかった?」


 ラファエルはユイカの言葉を遮るように言った。


「会えないですよ、だって、ラファエル様は忙しい方ですし、エレノア様との結婚を控えてる大事な時に、、会える訳、、ないじゃないですか、」


ユイカはラファエルの言葉を聞き、感情を抑えることが出来ず少し苛立ちながら語尾を強め言った。


その言葉を聞いたラファエルは突然ユイカを抱きしめた。


「ラファエル様、やめて、ユイカはジャスミンじゃない、ユイカを抱きしめたいならジャスミンを抱きしめないで下さい。私は私として存在したい、、、」


ユイカは自分自身でどうにも出来ない現実を初めて呪った。なぜこんな苦しい想いをしなければならないの?抱きしめて欲しい、、でも自分の体じゃ無い、、それでも抱きしめるラファエルに涙を堪え体を震わせながら言った。


 「ユイカ,私は、、ユイカに会いたかった。ユイカと話がしたかった、どんなに忙しくてもその時間を作るように努力したかった、、だけどユイカは私と会ってくれない。私はどうすればいい?」


「ユイカに会うな、抱きしめるな、私がエレノアの夫になるから?ユイカは私の前から居なくなるかもしれないのに、、」


 ラファエルはそう言って涙を堪え震えるユイカを強く抱きしめた。


ユイカはラファエルの言葉を聞き、体の力がふっと消えラファエルの腕の中で崩れ落ちそうになった。

ラファエルはそんなユイカを強く掴み自分の方に引き寄せた。


ユイカはラファエルの言葉に、行動に胸が締め付けられた。眩暈がしそうなほど苦しく、全てがどうでも良くなる程の幸せを感じた。この先どうなるのかわからない。だからもう、これ以上望む事は出来ない。


ラファエル様、大好き、、愛しています。


ユイカは溢れる感情を堪え息をのみ、ラファエルの腕の中でラファエルを見上げた。ラファエルは潤んだ瞳でユイカを見つめている。


ユイカはそっとラファエルの頬に手を当てた。指先が微かに震えた。ラファエルは驚いた表情をし瞬きもせずユイカを見つめている。ユイカは短くため息を吐きラファエルを見つめ溢れる涙をそのままにし、静かに、穏やかな口調でラファエルに話しかけた。


「、、、ラファエル様、私がいた世界に童話があって、ラファエル様はその童話の主人公の王子様に似ているんです。私が大好きな物語、人魚姫。」


「いつか、内容教えてあげます、私の王子様。」


ジャスミン、、ごめん、


 ユイカはラファエルにキスをして公園から去って行った。


 

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