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消える私と王子様 〜異世界から来た私は嫌われ令嬢と体をシェアしています。  作者: ねここ
第一章

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抱きしめて



 ジャスミンは静養を続けようやく普通に歩けるようになった。


 静養地は広大な土地に白い美しい屋敷が建てられており、入口の門をくぐると邸宅のエントランスに続く道が二つある。馬車が通れる道と、人が歩ける細い道が整備されておりその左右には趣向の違う庭園がある。


邸宅の裏側には小高い丘があり、そこには色とりどりの花が植えられ花畑になっている。邸宅の窓から見るとまるで花のカーテンがあるように見えとても素敵だ。


 ここではさまざまな花が栽培されており、時々城に飾られることもある。


 ジャスミンとユイカはその花畑がお気に入りで時間があるとそこに出かけた。今日もユイカは青い空と美しい花を眺め穏やかな時間を過ごしていた。


 仕事は少しずつ続けている。有能な人材が助けてくれカジノも順調に進んでいる。



 

 そして、、ラファエルとエレノアの結婚が決まった。


 三ヶ月後に行われる。


 ユイカはエレノアに対し複雑な思いはある。だけど今更証拠もない事は言いたくない。


 それにラファエルがエレノアを愛している限り、例え殺されても毒を盛られたなど言えない。


 それが正しいのか正しくないのかわからないが、ラファエルの幸せを願う気持ちはあの童話と同じ。今なら少しだけ人魚姫の気持ちがわかるような気がした。ラファエルが幸せならば、、、。


何も言わない事が、ユイカが唯一ラファエルの為に出来ること。ジャスミンはそんな気持ちを理解してくれた。

 私の恋心は胸の奥にしまって幸せを願おう。



 

 数日後、ユイカはそろそろ帝都に戻っても良いかローマン医師に聞いた。


「あと一週間滞在して戻りましょう、体力もつけなければならないですから散歩を沢山して下さいね」


ローマン医師は順調に回復しているユイカに言った。


「ありがとうございます!頑張ります」


 ユイカは嬉しくなった。ようやく、、ようやく戻れる、約一月ここに居た。


 

 1番の気がかりはラファエル様を怒らせたままで静養地に来てしまった事。


 まず、謝りたい。

 

 ユイカは今日も散歩しながら花畑に行き、寝転んで広い青空を見ていた。


 この世界と元いた世界は何が違うのだろう。私はどうなるんだろう、、。


「わからない!、全然わからない。」


 ユイカは空に向かって叫んだ。

 

「何がわからないんだ?」


 、、、この声は、ユイカは起き上がり声がした方を見るとラファエルがユイカを見つめていた。


「ラファエル様?!」


 ユイカは慌てて立ち上がり、ラファエルに挨拶をした。


「こんにちは、、ラファエル様、、お久しぶりでございます。」


久しぶりに会うラファエルは少し髪が伸びており、柔らかい髪がラファエルの肌に映えその髪の隙間から見える首のラインがとてもセクシーにみえた。胸元のボタンも開けられているせいか、色気が半端ない。


「久しぶりだな」


 ラファエルは短く答えた。、、まだ怒っているのかもしれない、謝らなきゃ。


「ラファエル様、ご心配をおかけし、本当に申し訳ありませんでした。」


 ユイカはラファエルにもう一度頭を下げた。


「心配?何を言っている?」


 ラファエルは少し低い声で言った。


「そうですよね、心配なんてしないですよね、それくらい、、、わかっていますよ」

ユイカは心配などしていないと言う態度のラファエルに拗ねた言い方で返事をした。本当なんなの、、わけわかんない。


 ラファエルは時々ジャスミンが違う人に感じることがあるが、今日もそう感じている。


 このジャスミンは私が気になっているジャスミンだ。


ラファエルは突然ジャスミンを抱きしめた。


「な、何?ラファエル様?これは挨拶?」


 ユイカはさっきのラファエルの言い方と行動がチグハグで訳が分からなくなった。

一体なんのハグなの?


 ラファエルは答えない

 

「ラファエル様、、」


 ユイカはどうしていいのか分からずラファエルの名前を呼んだ。


「私はジャスミンに頼って欲しい。けれどそんなに頼りないのか?」


 ラファエルが口を開いた。


 どうしよう、、嬉しい、ラファエル様はそんなことを考えてくれて居たんだ、、。あんな言い方したのに、、実際は心配してくれていた。ラファエル様、、このままずっと強く抱きしめていて欲しい、だけど


「そんな事はありません、ラファエル様は頼りになる方で、誰よりも信頼しています」


 ユイカはラファエルに抱きしめられながら本心を言った。


「ではなぜこんなになるまで、、」


 ラファエルは抱きしめたら折れそうなほど弱々しく感じるジャスミンがこのまま死んでしまうのではないかと不安になった。

 

「、、、」


言えるわけがない、あなたの婚約者に毒を盛られていたかもしれないなんて、、。こんなになるまで苦しめられたなど、、。何一つラファエルに言えない。


 ラファエルは黙っているユイカを抱きしめ続けた。


 泣きそう、嬉しくて、幸せで、苦しくて、悲しくて。ラファエル様が好き。


 だけど、私はジャスミンでもない、実体のない人間だ。


 だから、、何一つ言えなし、、ユイカがラファエル様を抱きしめ返すことは、、、出来ない。

 

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