毒
ユイカはラファエルに対してトキメキすぎておかしくなりそうだったが、なんとか気持ちを落ち着け、エレノア姫が開催するティーパーティーで人間観察をすることにした。
先ほどダフニーとドリスはライバルのエレノアの前で失態を犯し、意気消沈している。
正直言ってザマァ、、と思ってしまう。ジャスミンのことを軽視した罰よ。それにジャスミンと彼女達は姉妹だが何かを共有した事がないので正直言ってどうでも良い。勝手に落ち込んでいなさい!
引き続き二人を観察していると羨ましそうにエレノアを見ている。二人はやはり普通の女の子なんだと思った。
それに比べてエレノア姫は堂々として微笑みを絶やさず優雅で美しい。
ラファエルとエレノアは本当に似合っている。
ラファエルはエレノアを愛しているのかしら、、。結婚はある意味で政治だと言ったラファエル、愛している人と買い物に行って他の女のネックレスを買う?
あの日のエレノアの顔、、忘れられない。
エレノア、、美しい姫にはトゲがあるのかもしれない。
ユイカはそんな事を考えながら窓から外を眺めていた。
空が青く少し高く感じた。もうすぐ秋。空が綺麗。、、最近感傷的な気持ちになる。
なんだろう。ユイカはそっと窓ガラスに手を置いて遠くを見つめていた。
急に息苦しくなり咳が出そうになり慌ててハンカチを当て咳をした。その時口にどろりとした不快な感覚を感じた。
なに?
ハンカチを見ると真っ赤に染まっている。
血、、、
結核!一瞬感染症を疑ったが違う、
これは?そういえば最近ずっと食欲がなかった、胃が痛い、、胃腸の粘膜がやられたんだわ。
何故?胃の粘膜がやられるものなんて食べた記憶が無い。、、まさか、、、、
よく聞くあれ、、毒?、、毒を盛られた?
落ち着いて、、兎に角誰にも悟られないように会場を出よう。
これが私を狙ったものなのか,それともラファエルを狙ったものなのか調べる必要がある。
今は誰が味方か敵かもわからない。
少しフラつくがここで倒れるわけにはいかない。万が一ラファエルを狙うものなら絶対に阻止しなければ。
ユイカははゆっくりと会場の出入り口に向かって歩き出した。
「ジャスミンどこへ行く?」
チェスターが気がつき呼び止めたが片手を上げ書類にサインするジェスチャーをしたらチェスターは頷いた。
会場を出てすぐに執務室に戻り着替え城を出て、街の闇病院に駆け込んだ。
一見普通の家に見えるその場所は訳ありの貴族や令嬢達が密かに通う闇病院だ。
ここは父であるホワイト男爵が以前ジャスミンを殴った際に口の中が切れて血が止まらなくなり、娘を殴ったと露縁するのが嫌で密かに連れてこられた場所だ。
「あんたこれは毒だ。知らず知らずに飲まされたんだな。胃の粘膜がやられている。」
体格の良い一見したら傭兵に見えるような医者がユイカを診察し言った。
「今すぐに死ぬわけじゃないんですね?」
ユイカは診察台から起き上がりながら聞いた。
「ああ、だけど吐血するほどやられているのは事実でこのままだったら死ぬぞ」
医者の男は何種類か薬草をすり潰しながらユイカに言った。
「最近貧血もあったのはこれが原因ですね」
ユイカは最近の気持ちの落ち込みや疲れやすさを思い出し言った。
「とにかく薬を出すがあんた気をつけろよ。」
「ありがとう先生」
ユイカはそのまま家に戻り少し休んだ。
考えたくないが、恐らくこの毒は城で飲むお茶に含まれている可能性がある。それ以外は自分が作っているから、、。でも、、
お茶はラファエルもチェスターも飲む、ターゲットが私なら私だけに入れる必要がある。
あ、もしかしてケーキ?!あの二人が口にしないで私だけが口にするもの、、それしかない。
ターゲットは私だ、、
ラファエルじゃなくて良かった。
ハハハ、わたしは自分が狙われているのに安心するなんて。
ジャスミン、この件は私が調べるわ。ユイカはジャスミンに言った。ユイカ、無理しないでね。ジャスミンはそう言って引っ込んだ。
翌日気分はあまり優れなかったが普通に出勤をした。まだ誰も来ていないし休憩しようと椅子に腰掛け目を瞑った。
この国のためにと行ってきた事が誰かの利益を邪魔して私を狙ったのかもしれない。狙われる要素は満載で正直言って犯人を探すのは難しいかもしれない。でもなぜ一気に殺さないんだろう。
ここのところ変わったことって、、。
頭が痛い。
「おはようジャスミン」
突然声をかけられてユイカは目を開けた。
「ラファエル様、おはようございます」
ユイカはラファエル見て笑顔で挨拶をした。しかしラファエルは表情を曇らせユイカを見つめた
「ジャスミン、顔色が悪い、体調が悪いのか?」
「いえ、ちょっと寝不足が続いて、、大丈夫です」
「昨日も知らないうちに居なくなっていた」
「仕事が山積みで」
「、、、。ジャスミン、体を壊してまでしてほしいことは無い。それだけは忘れないように」
「ありがとうございます。」
お昼は持参したスープを飲み、仕事を進めていた。万が一私が死んでしまってもわかるようにしておかなきゃ。
程なくメイドが現れお茶とケーキを持ってきた。ラファエルはエレノアと過ごすためいない。チェスターも大公爵家の用事がありいない。
「あなた、ケーキは好き?」
ユイカは笑顔で聞いた。
「はい好きです」
「よかったらこれ食べてみて」
ユイカはメイドにケーキを半分とりわけ渡した。
「ありがとうございます!」
「他の人にバレるといけないからここで食べて」
そう言ってメイドを見た。
「ありがとうございます!」
メイドはうれしそうに食べた。この子何も知らないのね。一度の摂取なら死なないでしょう。
「美味しかった?」
「はい!」
「このケーキはどこのなのかしら?」
「ジャスミン様のために作ったと聞いています。」
「そうなんだ!嬉しいわ、作った人呼んできてくれない?直接褒めてあげたいの」
「かしこまりました」
メイドは部屋を出て行った。
その間ユイカは残りのケーキを包み食べたように見せかけ、紅茶も捨てた。




