ユイカの恋心
「あの、、」ユイカはラファエルに声をかけた。
ラファエルはバルコニーの手すりにもたれ気持ちよさそうに風を受けていた。
金色の髪が風に揺れラファエルの美しく品のある顔が全開になり、あまりのかっこよさにユイカは見惚れていた。
カッコいい。私はこの冷たいのか優しいのかよくわからない王子、ラファエルが好きかも、、
ユイカは自分の恋心に気がついた。
「、、あの、ラファエル様、、」ユイカが声をかけようとした時ラファエルは髪を片手でかき上げながら言った。
「ジャスミン、ダフニーとドリス、どちらが私に合うと思う?」
ラファエルはどこか試すように質問をしてきた。
「、、妹達のこと、よくわかりませんが、政治的な意図が無いのであれば良いと思う方で良いのではないでしょうか?」
ああ,そうだった。ラファエルはあの二人のどちらかを妻にするんだ、、、。
ユイカはテンションが下がった。
「あの日、最初に世話をしてくれた口の聞けない使用人は死んだと聞いたが、ジャスミンは知っているか?」
ラファエルは突如ユイカに聞いてきた。、、死んだことになっていたんだ。あれは私。
ユイカは泣きそうになった。気にしてくれてたんだ。
「ラファエル様、実は私は使用人の事あまりわからなくて、、。」
ラファエルはジャスミンがわからないと言う事も理解できた。
家族と距離があればわからないだろう。
でも、どうして泣きそうな顔をしている?
「ありがとう、気にするな」
ラファエルはジャスミンにバルコニーから見える景色を見せ、静かに語り始めた。
「ジャスミン、私はこの国を確固たる国にしたい。ジャスミンの協力が必要なのだ。手伝ってくれるか?」
「もちろんです。ラファエル様、お役に立てるよう頑張ります!」
先程と打って変わって目を輝かせるジャスミンを見てラファエルは安心した。彼女は笑っている方がいい。
「そろそろ戻ろう」
ラファエルはユイカに手を差し伸べてエスコートしようと、甘くとろけるような優しい眼差しでユイカを見て微笑んだ。
本当にラファエルは素敵な王子様。食事会で居心地が悪そうだと気がつき助けてくれる。王子様はやはり王子様なんだ。
でも。私は王子様にとって姫でも恋人でもなく、国のために働く仲間だから優しくしてくれている。
「ラファエル様、私は王子様のエスコートはいりません。どうせ手を出してくださるなら、共に戦おうという握手が嬉しいです」
ユイカは驚くラファエルに笑顔で言った。
「それもそうだな。ジャスミンは私の片腕で、大切な仲間だ。」
ラファエルはユイカの手を握り二人は固く握手をかわした。
これでいいんだ。ユイカはジャスミンではない。恋をしてもダメなんだ。
「失礼致しました」二人はそれぞれ自分の席に戻った。
「ジャスミン、ラファエルの片腕となって大きな功績を立ててくれているな、嬉しいよ」
皇帝が言った。
「ジャスミン,私の目に狂いはなかったと喜んでおります」
皇后も言った。
「あり、、」ユイカがお礼を言おうと思った時に、父親のバーニーが言った。
「この子は妹達と違い何の取り柄もありませんで、でもこうしてお役に立てるなら親として嬉しく思います」
「私も母親として、心配もありますが、ジャスミン、ご迷惑をおかけしないよう頑張るのですよ」
二人はそんな事を言って親のふりをした。
ジャスミンのことに興味すらないくせに。ユイカは笑顔だが膝の上に手は悔しくてドレスを握りしめていた。
皇帝と皇后はその言葉を聞いて驚いた。ジャスミンが答えようとした時に言葉をかぶせ、ジャスミンに話をさせないその態度があまりにも自然だったからだ。ラファエルは笑顔が消え二人に言った。
「そんなご謙遜を、ジャスミンはこの国を私と共に引っ張ってゆく素晴らしい人材です。取り柄がないなんて謙遜も過ぎると嫌味に聞こえますね。ホワイト男爵」
そう言って二人を厳しい表情で見つめている。
ラファエル様、、ありがとうございます。ユイカはその言葉をを聞いて体の力が抜けた。
「ラ,ラファエル様にそう言っていただけると、、」
バーニー男爵は表情を硬らせ汗を拭きながら妻をみて見て、二人はぎこちなく笑顔を返した。
ダフニーとドリスもぎこちなく微笑んでいた。
ジャスミンはこんな環境にいたんだな、、ラファエルがジャスミンが一人で生活をしている理由がわかった。
皇帝も皇后もにこやかに微笑んでいるが、この家族はジャスミンを排除して生きてきたことがわかり、
聡明なジャスミンが社交界に出てこなかった理由もわかった。
その日の晩餐会は見えなかった部分が見えラファエルにとって収穫ある夜だった。




