ジャスミンに興味
「ジャスミン、私の執事を紹介する」
今日のラファエルは白の飾り気ないシャツにモスグリーンのハーフコート、ゆるっとした白いトラウザーにシューズを履いていた。
何を着ても似合う。チェスターは白いブラウスに水色のハーフコート、タイトなトラウザーにハーフブーツでこれまたカッコいい。
こんな麗しい二人に囲まれるジャスミンは自分が地味で可愛くないことが少しだけ恥ずかしく思えた。
今日も灰色のワンピースに茶色の編み上げブーツ。長い髪はお下げをして田舎の子丸出しだ。
でもオシャレするほどの顔ではないからこれで良い。
最近ジャスミンがジャスミンでいることが多くなりつつあった。ユイカはそんなジャスミンを見守っている。
「ラファエル様お呼びでしょうか」
部屋に入ってきた人はチャコールグレーのスーツを着た男性だ。髪は白髪混じり、眼光は鋭く見るからに頭が切れそうな初老の紳士だ。
「ジャスミン、私の執事のアディだ。」
ラファエルは笑顔でアディの背中に手を回し、トンっと叩きながら
「怖い顔してるけど優しいぞ」
と言って紹介してくれた。
「ジャスミン様、アディと申します。よろしくお願い申し上げます」
アディは一部の隙もないような真面目な顔でジャスミンに挨拶をした。ジャスミンもつられて真面目な表情で
「ジャスミンと申します。よろしくお願いします」
と挨拶するとチェスターが笑いながらラファエルに言った
「葬式のような堅苦しい挨拶だ!似てるぞこの二人」
「チェスター、アディはこんな感じだし、ジャスミンはこんな感じだし、面白いな。飽きないよ。きっと」
ラファエルも笑った。
アディは二人を見てこそっと
「ジャスミン様、あのおふたりには言われたくありませんね」と言って笑顔を見せてくれた。
「はい!」ジャスミンもつられて笑顔になった。
「ふむ、早速仲良くなったようだな」
ラファエルは二人を見て満足そうに言った。
「アディ、ジャスミンに城の中を案内してやってくれ」
ジャスミンは執務室と庭園以外この城のことを知らない。
良い機会だからアディに案内を頼んだ。
ラファエルはアディにジャスミンを預けてチェスターと執務室に残った。
「チェスター、ジャスミンとダウニー、ドリスはあまり仲良くないかもしれない。」
ラファエルはソファーに腰をかけ、背もたれにもたれながらチェスターに言った。
「どう言う事?」
チェスターは向かいに腰をかけラファエルと同じような姿勢で聞き返した。
「昨日、ジャスミンは、初めてケーキを食べた。生まれて初めて」
「嘘だろ?そんな令嬢いる?」
チェスターは驚いた。
「ダウニーとドリスはチョコレートケーキが好きなんだ。でもジャスミンは恐らく食べたことがないから何が好きか言えなかった」
ラファエルはジャスミンの嬉しそうな顔を思い出した。
「ジャスミンって、病気がちって聞いたよな、それでか?」
チェスターは背もたれから起き上がりラファエルに聞いた。
「考えてみて、病気がちな人がドナフィーにいくか?」
ラファエルは両手を組んで言った。
「、、たしかに。一体どう言う事だ?」
チェスターも急にジャスミンを心配するような不思議な気持ちになった。
「週末にホワイト男爵家と一緒に食事会がある。ジャスミンも参加するはずだから様子を見ようと思う」
ラファエルはチェスターに言った。
「なんだか、あの子,幸せであって欲しいとか思っちゃう子だな」
チェスターはジャスミンを放って置けない気がしている。
「、、同じ姉妹なのに全く違うからな、ちょっと注意してみようと思っている。この先我が国の宝になりうる人材だからな。」
ラファエルはジャスミンに興味を持ち始めた。
「同感だ!」
チェスターもジャスミンに興味を持ち始めた。




