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消える私と王子様 〜異世界から来た私は嫌われ令嬢と体をシェアしています。  作者: ねここ
第一章

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20/107

はじめてのケーキ



ラファエルはダウニーとドリス、そしてジャスミンの事を考えていた。


 ダウニーとドリスは愛情たっぷりに育てられた令嬢で、特有の可愛らしさと甘え上手なところがありそれが男心をくすぐる。


 王室の王は妻を五人娶れる。正妻は公爵家、もしくは他国の王家が普通だ。


 二人はその事を理解している。けれど後継者を産めば立場が変わることもわかっている。


 令嬢や姫はそんな教育を受けて可愛らしい性格と残忍さを持っている。


 けれどジャスミンは時々一人だけ違う世界の人間のような雰囲気と考えを持って生きているように思える時がある。


 ラファエルはカフスのボタンを紋章が彫ってあるものに取り替え、白いブラウスにネイビーのコートにタイトな黒のトラウザーにハーフブーツを履き首には白のクラベットをつけ完璧な王子になりお茶会に行った。



 その頃ジャスミンは膨大な資料を読み漁り分類していた。


 全て国に必要な政策の草案だが、メチャクチャな内容も多々あり読んでいて笑ってしまった。


 ねえ、ユイカどう思う?ジャスミンはユイカに話しかけた。


 男の浮気は不問、妻の浮気は離縁、鞭打ち。完全な男性社会だ。同じ人間なのに馬鹿馬鹿しい。


 そもそもこの案誰が考えたの?驚いちゃうね。ユイカが言った。


 名前が書いてある。ユイカこの人要注意人物ね


ジャスミンは楽しみながら書類をまとめた。


 黙々とする作業は楽しい。内容を読み分類に分け、言葉が足りないところはユイカに相談し付け足し見やすい書類を作り直した。


「あれ?ジャスミン、まだいたの?」


 ラファエルが戻ってきた。うわ、王子様している。頭の中のユイカは思った。髪を後ろに結んでいるがそれをほどきながらこちらを見ている。ああ、ラファエルはやっぱりかっこいい。


「おかえりなさいませ。仕事は今終わりました。」


 ジャスミンはそう言いながら三分の一になった資料をラファエルに見せた。


 ラファエルは驚いた表情で書類に視線を移し、


「まさか全部終わったのか?」


 書類を確認しながら聞いてきた。


「はい。分類し,言葉が足りないところは付け足しました。付け足した部分は色を変えてありますので必要なければ線を引いてくださいませ」


 ジャスミンはラファエルに頭を下げた。



「ジャスミン、ケーキは好き?」


 突然ラファエルが言った。ラファエルはソファーに腰掛けながらジャスミンを見ている。


「ケーキ、、実はあまり食べたことがなくてよくわかりません。」


 ジャスミンは恥ずかしくなり下を向いて言った。

 

「あまり食べたことがない?」


 ラファエルはジャスミンの言う意味がわからない。


「、、殆ど家から出なかったので食べる機会がなくて、、。」


 ジャスミンの声が少し小さくなった。


「ダウニーやドリスは出かけた時に買って来てくれなかったのか?」


 どうしよう、、ユイカ、どう答えよう。


 ジャスミン、思うように言えば良いよ。ユイカはジャスミンに言った。

 

「、、病気で、、、。」


 ジャスミンは呟いた。


「、、ちょっと待って」


 ラファエルはドアの方にゆきメイドに声をかけて戻ってきた。


「ジャスミンこちらのソファーにどうぞ」


 ラファエルはまたソファーに腰掛けジャスミン向かいに座るように言った。


「はい」


 ラファエルは居心地悪そうな顔をして腰掛けるジャスミンをみて


「ジャスミン、居心地悪そうだな」


 と顔にかかる髪を後ろに梳かしながら笑顔で聞いた。うわぁラファエル様の笑顔、、眩しい。ジャスミンはユイカに言った。うん、本当に目の保養だわ。ユイカも同意した。


「はい、王子様の目の前に座るのは緊張しますから」ジャスミンはラファエルに答えた。


「じゃあ隣でも良いぞ?」え?そんなこと言うの??ユイカは頭の中でラファエルも少し変わったと思った。


「もっと緊張しますからこちらで結構です」


 ジャスミンはもう一度座り直し恥ずかしそうにラファエルに言った。


「今のは冗談だ」


 ラファエルはクスっと笑いながら長い足を組んで言った。


「存じております」


ジャスミンは真面目な顔をして言った。ジャスミン,そこは笑う所!!ユイカは頭の中で叫んだ。


「面白くなかった?」ラファエルは両手を組み首を傾げながらジャスミンに言った。


「はい。」ジャスミンは真っ赤になって下を向いてしまった。


「そうか。」


 ラファエルは髪をかき上げながら天井を見つめ言った。


 何か、、気まずいわね。ユイカはハラハラして二人を見ている。


 ジャスミンは緊張している。

 

「失礼します」


 メイドが入ってきた。ああ良いタイミング!!ユイカはメイドを誉めた。


「ここに置いてくれ」


 ラファエルがメイドに声をかけると、ジャスミンの目の前に色とりどりのケーキと紅茶が用意された。


 うわー!すごく綺麗!ジャスミンは驚きラファエルの顔を見た。


「ふーん、そんな顔も出来るんだ」


 ラファエルは少し満足そうな表情をしてジャスミンに言った。


「ラファエル様、これは?」ジャスミンは勇気を出してラファエルに聞いた。


「、、ケーキだよ、初めて見たの?」ラファエルはキョトンとしてジャスミンに聞いた。


「、、、初めてではありませんがとても綺麗で、、」ジャスミンは初めてケーキを見た。


「ジャスミン、食べて良いぞ」ラファエルは優しい瞳を向け言った。


「、、、、本当ですか?、、」


 ジャスミンは目の前の美しいケーキを見つめていた。


 初めて食べるケーキだ。


 でも流石に食べたことがないとは言えなかった。


 ジャスミンは一つ一つをみてどんな味がするのだろうと考えていた。ピンクはイチゴ、薄いクリーム色はバターケーキ、茶色はチョコ、黄色はバナナ、紫?、、紫、、、ピンとこない。なんだろう?


 ジャスミンは紫色のケーキを見つめ、口元に片手を当て考えていた。


「アハハハ!ジャスミン、お前は面白いな!」


 急にラファエルが大笑いを始めた。ジャスミンはケーキを見つめ嬉しそうな顔をして上を向いたり下を向いたりしていたからだ。


「いかがされましたか?」


 ジャスミンはケーキを見つめながら聞いた。紫、、


「葡萄?」


 ジャスミンは紫色のケーキは葡萄だと思った。


「ラファエル様、この紫色は葡萄ですか?」


「、、、食べて見たら?」


 ラファエルは真剣な顔をしてケーキを見つめていた理由が味の想像だったことがわかり微笑んだ。


「でも、初めて食べるケーキですから」


「初めて?」ラファエルは怪訝な顔しジャスミンに聞いた。


 あ、しまった、、


「いえ、初めてお城で食べると言う意味です。」


 ジャスミンは慌てて否定した。


「、、全部食べて良いんだ」


 ラファエルは優しく微笑みながらジャスミンに言った。


 ユイカはジャスミンが自信を取り戻しつつあると感じていた。

 

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