ラファエルの優しさ
ユイカは、自分の手を手握るラファエルに驚き、海で助けた時のラファエルを不意に思い出した。
本当は優しい人なのかもしれない、、、。
執務室の二つほど離れた部屋にラファエルはユイカを案内した。
ラファエルは戸惑うジャスミンをソファーに座らせ自分は向かいに腰を掛け、今にも泣きそうなジャスミンが落ち着くのを黙って待っていた。
「、、ラファエル様、すみません、失礼いたしました。」
ユイカは感情を抑えラファエルを見つめ言った。
「ジャスミン、言いたいことがあれば我慢しなくていい。」
ラファエルは穏やかな口調で言った。
意見を聞いてくれるの?ユイカはラファエルを見つめた。ラファエルは優しい眼差しでユイカを見つめている。
ユイカはその瞳を見て意を決し言った。
「、、ラファエル様、私は、、輸入に反対です」
ラファエルは想像と違う言葉に驚きを隠せなかった。
親のことを言うかと思っていたからだ。
「輸入?」
ラファエルは驚きを込めて聞き返した。
「はい、小麦の不作はこのゴールドバーグ周辺で他の地域はそこまで不作ではないと考えています。適切な量を超えて輸入をしてしまうと国内の小麦の価格が下がり最終的に小麦農家が減り輸入に頼らなければならない国になってしまいます。」
「この国は輸出を多く、輸入を少なくする健全な国を作らなければいけないと思っています。どうかもう一度考えて頂ければ、、」
ユイカはようやく思っていたことを口に出来た。
ジャスミンはそんな事を考えていたのか?ラファエルは正直驚いた。
ラファエルが懸念していた事をジャスミンも考えていたとは。
「ジャスミン、ジャスミンはどれくらい輸入すればいいと思う?」
ラファエルは驚きを抑え聞いた。
「、、今調べております、数日中に正確な数字が分かりますのでお待ちいただければ。」
ユイカはラファエルがユイカの意見に興味を持ってくれた事が嬉しかった。
「ジャスミン、お前はそんな事をいつの間に?」
ラファエルはジャスミンの印象がガラッと変わったのを感じた。この子の能力は侮れない。
「昨日、ゴールドバーグの小麦畑の経営者と話をし、現場みてまいりました。ゴールドバーグの帝都近郊の土は小麦栽培に適しておりません、違う作物を作った方が良いと提案したのですが、本日朝に他の小麦農家の人達が会いにきてくださって、、それで話しをしました」
ラファエルは昨日見かけたジャスミンの姿を思い出した。私はこの子を誤解していた。
「それで、輸入の話をした時に、正確な数字を調べると言ってくださり、それがわかったらラファエル様にお話しようと思っておりましたが、、こうして聞いてくださったので、、嬉しかったです」
ユイカはラファエルに微笑んだ。ラファエルは初めてジャスミンの笑顔を見た。
皇帝はこのジャスミンの能力を見抜いていたのか、、。
「わかった。ジャスミン、数日待とう」
ラファエルはジャスミンに言った。
実はラファエルは秘密裏にバーキン男爵を調べていた。
この国の輸入量が上がり続けている。
そこで利益を得ているバーキン男爵の財は増えるが、国として国力の低下につながる。
この件も即日対応出来るほどのコネがある事も怪しい。他国と通じている可能性も否定できない。
ジャスミンの調べている正確な数字を待って慎重に進めよう、、
ユイカは内心ラファエルに対し動揺していた。
全くジャスミンに興味なさそうなラファエルがあんな風に優しく話を聞いてくれるとは、、。
ふと妹達の事を思い出した。
「ラファエル様、、」
勇気を出してラファエルに声をかけた。
「なんだ?」
ラファエルは優しげな表情で返事をした。ユイカは驚いた。ラファエルはこんな表情出来るんだ。
「、、私の失態が、、妹達に迷惑をかけるとは考えても見ませんでした。私が不甲斐ないばかりに、、ラファエル様にも不快な思いをさせてしまい、、申し訳ありません」
ユイカ素直に謝った。
「、、気にするな」
ラファエルは言った。
ラファエルは腕を組んで何かを考えているように見えた。
ユイカにはいまいちラファエルのことがわからない。
あの日助けた時と、この城で見るラファエルは別人のように思える。
時々感情がないのかと思うほど本心がみえない。
でも、、話を聞いてくれた。
ラファエルはどんな人なんだろう、、




