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消える私と王子様 〜異世界から来た私は嫌われ令嬢と体をシェアしています。  作者: ねここ
第二章

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本妻の権利

 

 「エレノア、明日ユイカを連れて会いにくる」ラファエルは食事をしながらエレノアに言った。

「ラファエル様、私はあの子に会いたくありません」エレノアはフォークとナイフを置き不服だと言わんばかりにラファエルから顔を背け言った。


「なぜ?」ラファエルはそんなエレノアの行動に顔色一つ変えず食事を続けながら聞いた。エレノアはラファエルが自分の行動も咎める事なく淡々と食事を続ける様子を見て頭に血が上った。「ラファエル様はあの子を愛しておいでですか?でも、本妻は私です!」エレノアはテーブルの上に両手を置き身を乗り出し嫉妬の感情をむき出しにし言った。


「それで?」ラファエルはそんなエレノアの態度にも反応することもなくワインを一口飲みエレノアに聞いた。エレノアはラファエルが自分に冷たく接すれば接するほどユイカが憎らしくて仕方がない。「私が会いたくないと言えば何年経とうとも第三夫人のあの子は私に会うことは出来ません!ここでは私が上です。私の意見が尊重されるのです。ラファエル様だって二ヶ月も面会を先延ばしにしたではありませんか!私だって先延ばしに致しますわ。」


 二ヶ月前、エレノアはラファエルからユイカを妻にするとだけ報告を受けた。異議を唱えることも意見を言うことも一切できずラファエルはそれ以来会いにすら来なかった。


 一方でラファエルはエレノアにユイカを妻にすると報告した時エレノアは無言だったがその表情は嫉妬と怒りが入り混じり醜く歪んでいた。自分にすら隠すことなくこんな表情を見せるエレノアにユイカを会わすわけにはいかない。エレノアは自分の思い通りいかないと何をするかわからない。過去にユイカとジャスミンは毒殺されかけたのだから。少し時間を置こうと考え二ヶ月様子を見ていた。しかしエレノアは何一つ変わることなかった。それどころかメイドを買収し様々な手を使いユイカを排除しようとしていたが全てアディに阻まれた。ユイカを殺そうとするならば即座にエレノアを拘束するが、嫌がらせ程度だった為中々それに至らずアディも苦労している。幸いなことに全て事前に処理していた為ユイカは気がついていない。ユイカには安心して私の側にいて欲しい。だけどエレノアをどうにかしなければユイカがここで安全に暮らすことはもう不可能なのかも知れない。ラファエルは自分勝手な理論を言うエレノアに対しほとほと嫌気が差した。


「ここではエレノアが上?その理論だと私がエレノアより上だ。私はお前に会いたくない。だから会わないと言って良いんだな?わかった」ラファエルは立ち上がり部屋を出ようとした。エレノアはまさかラファエルがもう自分には会わないと言って出てゆくとは思わず慌てて立ち上がり去ろうとするラファエルに動揺し震える手でしがみつき叫んだ。「ラファエル様!行かないで!愛しているんです!あの子を認めたくありません、あなたを渡したくありません!」エレノアは髪を振り乱し半狂乱しラファエルの服を掴んで叫んでいる。その様子を見ていたアディは近衛兵に合図を送ろうとしたが、ラファエルは小さく首を振った。アディは黙って二人を見つめた。


 エレノアは焦っていた。昔は自室で泣き叫ぶと側近達が邪魔な人間を排除してくれた。この城に来てジャスミンを見た時、ラファエルがジャスミンを可愛がっていると思い込み、いつものように泣き叫ぶと邪魔なジャスミンを殺そうとしてくれたが失敗し、それがラファエルに露見し側近達が目の前で殺された。それ以来泣き叫んでも誰も動いてくれない。だから自分で動くしか無いのだ。だけど全て上手くいかない。ラファエルの気持ちはどんどん離れてゆく。それでもラファエルをユイカに渡したく無い。エレノアはラファエルに縋りつき言った。「ラファエル様の本妻は,皇后は私!あんな卑しい女が妻になるなど認めません!!」


 髪を振り乱し腰の辺りに腕を回し跪いて縋り付くエレノアを冷めた目でみつめラファエルは言った。

「エレノア、はっきり言おう、お前が私にそうすればそうするほど私はエレノアが嫌になるんだ。」それを聞いたエレノアが顔を赤く歪め叫んだ。「嫌です!ラファエル様をあんな子に渡しません!本妻は私!絶対に受け入れません!」


 エレノアは頑なにユイカを拒んだ。何も持っていない女にラファエルを取られるなんてプライドが許さない。誰かに依頼してでもあの女を排除しなくては!


「エレノア、私はエレノアが嫌いでは無かった、だけどジャスミンを暗黙の了解で殺そうとしたことがわかり、あの日からずっとお前を許せなかった。だがそれも確証がないと目を瞑り結婚した。その間違った選択で私は大切なものを失った」ラファエルはジャスミン達が毒で苦しんでいた姿を思い出し抑えていた怒りが湧き上がってきた。そして結婚の選択をし、ユイカを失った苦しい日々を思い出した。

 


「ジャスミン、、あの子のことは謝ります。だから!」エレノアはラファエルを強く抱きしめ言った。「謝る?そんな必要はない。そうされても過去は消せないし、もう私がエレノアを愛することはないのだから。」ラファエルは感情を殺し静かに言った。「嫌よ!ラファエル様!あなたは私を優先する義務があるのよ?あんな子よりも大切にする義務が。ラファエル様があの子を私より大切にするならどんな手を使ってでも排除します!」エレノアは怒りで震えながらラファエルに言った。その振動がエレノアに後ろから抱きしめられているラファエルにも伝わる。


「義務、だからこうして義務を全うする為ユイカをエレノアに会わせると言ったが、ユイカを排除だと?」ラファエルは怒気をはらんだ低い声で言った。エレノアはラファエルの怒りに対しお構いなく話を続けた。「ええ、本妻は第三夫人ごときに会わないとお伝えしたのです。第三夫人は私に逆らうことができません。私はあの子に会いたくありませんもの。だからラファエル様が私に対する義務を怠ったらいつでも排除できるようにしますわ。あ、すでに夜を共にしておりませんからあの子を排除しなければなりませんわね?」エレノアは笑いながら言った。


 「不毛な会話だな。もう良い。ユイカを排除する?聞いていて気分が悪い。一度国に帰ってゆっくりすると良い。手配しておく」ラファエルは縋りつきながら醜く笑うエレノアの手首を掴みふり払いその勢いで倒れたエレノア気にすることなく部屋を出て行った。


 エレノアはラファエルの言葉を聞き頭の中が真っ白になった。

今、国に帰れと言った?ラファエルに、、国に帰れと言われた?!エレノアばラファエルの言葉に動揺した。「嫌です!!帰りたくありません!!ラファエル様行かないで!!」エレノアは取り乱し震え感覚がない手足をなんとか動かし、床を這いながらラファエルを追いかけようとした。しかしすぐに近衛兵が現れ目の前に立ちはだかりラファエルを追いかけることが出来ない。「退きなさい!!私は皇后よ!!」エレノアは目の前に立つ近衛兵を押しのけようと暴れ出したが怒りのあまり頭に血が上り貧血を起こし倒れた。


 エレノアのメイド達はまさかこんなことになるとは思いもよらず倒れているエレノアを見て怖くなった。皇帝に暴言を吐き第三夫人を排除すると言ったエレノアは恐らくもうここに戻ってこれないだろう。それでも皇帝に縋りつき追いかけようとするエレノアは尋常じゃない。メイド達は自分が巻き込まれないように誰一人倒れているエレノアの近くに行かなかった。


 程なくしエレノアは目を覚ました。周りに誰一人いなかったがそんなことは気にならない。そんなことよりも先ほどラファエルに言われた言葉を思いだしまた半狂乱になった。国に戻れと言うのは言い換えたらもう帰ってこなくても良い、離婚宣告のようなものだ。エレノアは全てはユイカが現れたせいだと思った。あの子が現れたせいで!許せない!本妻は私なのに!国に帰ったらここには戻れないかもしれない。それならあの子がラファエル様にふさわしく無い証拠を見せればいい。それが出来ないのならあの子を殺す。二人が幸せになることだけは命に変えても阻止してやるわ!


 エレノアはナイフを手に部屋を出て行った。

 

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