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後悔

作者: 直貴

 ある寒い冬の日、学校の友達と些細な事で感情的になり口論をしてしまった。原因は友達にあり、自分は悪くないと勝手な考えをしていた。その日は何も解決せず、険悪な雰囲気を残したまま家に帰った。家ではそのことが頭から離れず、思春期の未熟な心が大きく乱れていた。

 次の日の朝、外は雨が降っていた。気が向かなかったが、学校に行く支度を済ませ、家を出た。雨粒で揺れる水溜りの水面を見ながら小さな歩幅で歩いた。交差点まで行くと、サイレンを鳴らしながら救急車がジェット機のような速さで走ってきた。目の前を横切るまで救急車に気づかず、もしあと一歩前に出ていたらもう一台救急車を呼ぶ羽目になっていただろう。冷えた肝に手を当て、再び歩き出した。雨は少し強くなっていた。

 学校に着いた。自分たちの教室は3階にある。階段を登ろうとしたが、一歩踏み出したところで足が止まった。そのまましばらく考えた後、3階に行く前にト イレに行くことにした。トイレに入ると、センサーライトの明かりがパッとついた。一番奥の小便器で用を足した後に手を洗っていると、使用中だった個室の鍵が空き1人の少年が出てきた。それは昨日喧嘩をした友 達であった。その場でこっちを見ながら「ごめん。」と言ってきた。しかし、自分はこれを空謝りに感じ、まだ納得がいっていないのもあって、濡れた冷たい手を力強く拭き、無言のまま強く地面を蹴りながらトイレを出て行った。丁度9時のチャイムが鳴り、急いで教室に入った。この日、友達とはクラスが違うのもあって互いを目にすることはなかった。授業内容は全く頭に入っていなかった。

 チャイムが鳴って授業が終わり、家に帰った。テレビの電源を入れ、いつもの夕方のニュース番組を見た。その一つに信じ難い内容のニュースがあった。それを見た後彼は膝を抱えしばらく俯いたままだった。

テレビのアナウンサー「今日の午前8時頃、走行中の自動車に登校中の少年がはねられる事故がありました。少年はその場で…

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