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8杯目 それぞれの振り返り

 初デート(?)を終え、帰宅した僕は、今日一日を振り返って悶えていた。と言うのも、大きな勘違いをして根明さんを名前で呼んでしまったからで。今までの人生で、女性を名前呼びなどしたことが無かった。いや、あったか。


 それは思い出したくもない過去。簡潔にまとめるならば、男子なら分かってくれるだろうが、自分に優しくしてくれた女子に『好き』と言う気持ちを抱いてしまう。そんなありきたりな話。これはよく聞く話だけど、僕は全然ありきたりではなかったが……


 と、嫌な思い出を思い出してしまった僕は、自室で呟く。


「もう恋愛なんて、2度とごめんだ……」


 そんな時だった。突然僕の携帯が鳴る。


「なんだ?」

『なんだってなんですか! 可愛い幼馴染が電話してきてるって言うのに!』

「はいはい。かわいいね」

『センパイの癖に……』

「で、要件は何?」

『あぁ! センパイ、あの人の事好きになったんですか?』

「え、お前もしかしてだけど来てたのか?」

『そんなことはいいので、答えてください』

「なる訳ないだろ……愛理がいちばん知ってるでしょ……()()()についても……』

『それは……そうですけど……』

()()()()()()()()()()()()()()()()()()


 その後、色々と喚く愛理の話を右耳から左耳に流して、電話を終えた。


 その後僕は、今日色々と嫌な思い出を思い出していたので、そのまま眠りについた。


◇◇◇


「陰雄! 早くこっち来いよ!」

「待って! 今行くから!」


 これは……夢……なのか? なんで高校時代の夢なんか……


 そう思っても、夢が終わることはなく。どんどん進んでいく、高校時代の嫌な思い出達。


「陰雄っ! 今日の昼休み、話したいことあるの……」

「どうしたの? 有咲」

「とりあえず、昼休みに体育館裏に来て……」

「分かった」


 出来ることなら、行くなって止めたい。行ってもいいことなんて無い。過去を変える能力なんてものがあれば、真っ先にこの過去をぶち壊すだろう。


 なんて事を考えている間も夢は進んでいく。

 気づけば昼休みに……僕は……と言うと……

 体育館裏に向かっていた。鼻歌スキップ混じりで……

 体育館裏に着いた頃、全ての元凶が待っていた。学内一可愛い姫川 有咲(ひめかわ ありさ)だ。


「陰雄! 来てくれてありがとう!」

「大丈夫だよ! 有咲! それで、話って?」

「実は……私、陰雄の事が好きなのっ……」

「……えっ!? 本当なの?」

「……うん! 本当に大好きなの! だから付き合って欲しい……!」

「……嬉しい! 僕もずっと有咲が好きだった……!」

「……本当!? 嬉しい! これからよろしくね!」

「……うん! こちらこそよろしくね!」


 あーあ。始まっちゃった。絶望へのカウントダウン……

 この後どんなことが起こるかも知らずに、喜んでるんだよなこの時の僕は……


 ここで、僕は目を覚ました。まあ、1番見たくないところを、見なくて済んだのはいいのだが、嫌な夢には変わりない。目を覚ました僕は、汗でびしょびしょだった。


◇◇◇

〜陽華side〜


 デート(!)を終えた私は、部屋で根暗くんに名前を呼ばれたことに対する、嬉しさからベッドの上で転がっていた。


「また名前で読んでくれないかな……」


 でも、なんで名前で呼んだんだろう? 分からないなぁ。それに……二度と恋愛することはない……かぁ。


 何があったか気になるけど、聞かれたくなさそうにしてたし……無理に聞いて嫌われたくないし……どうしたらいいんだろう。


 そんなことを考えていると、1件の着信が。


「もしもし?」

『陽! で、どうだったの?』

「んー……まあ、服は褒めて貰えたよ」

『なるほど』

「あとは、私がお金払おうとしたら、払ってくれたの。ありがたいけど複雑で。その後店の外でどっか誘ってくれないかなって、つーんてしてたら名前呼ばれた……」

『名前かぁ。初々しいね』

「でもさ……彼、もう二度と恋なんてしないって言ってたんだよね……」

『うーん……それは過去に何かあった感じかもね……』

「だよね……でも、聞いて欲しくなさそうなんだよね……」

『なるほどね。無理には聞かない方がいいかも……』

「だよね……」

『うん』


その後、朱里と少し話した。彼に幼馴染の後輩がいること。その子とは割と仲が良さそうなこと。今日一日の彼がとてもかっこよかったこと。一通り話終えると、朱里はもうお腹いっぱいと言い電話を終えた。


「幼馴染かぁ。会ってみたいな……」


 そう思いつつ、眠りについたのだった。



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