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【第2章完結】お酒の力を借りまして〜隠れイケメン陰キャの俺がお酒の力を借り、大学一の美人な酒豪彼女ができました〜  作者: 小鳥遊NEØ
3章瓶 僕達のすれ違い

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28杯目 ちょっと変わった店長さん

「君が……根暗陰雄くん……ねぇ?」

「は、はい」


 真夏の夕方、エアコンが壊れているのか、蒸し蒸しとした狭い事務所の中。俺は何処か含みのある言い方をする、黒髪にサラッとした長い髪、モデルと見間違う程に綺麗で大人の魅力を秘めた女性の前に座っていた。


 何故だっけ? 確か…………

 今日は、朱里さんに紹介してもらったバイト先に面接に来たはずなんだが…………


 朱里さんに事務所に案内されるなり、不気味な笑みを浮かべる店長と書かれた名札をつける女性から暫く見られる。すると、突然口を開き言う。


「えー、まずは来てくれてありがとう。店長の月見里 咲(やまなし さき)よ。簡単な面接からしていくわね」

「お、お願いします」

「ではまず、履歴書もらえますか?」


 俺はそう言われ、履歴書を手渡す。店長さんは履歴書を受け取ると、ざっと見て一言。その間俺は、人生で味わった事のないほどの緊張感を覚えた。履歴書を見る店長さんの顔が、不気味な笑みを浮かべたままだったから…………


「へぇ〜、君が……根暗陰雄くん……ねぇ?」

「は、はい」

「そんなに怯えなくていいのよ? なんでそんなに怯えてるのかしら?」

「そ、その、大変失礼だとは思いますが、その不気味な笑みを浮かべてるのが、なんと言うか……ちょっと怖くて……」


 俺がそう言うと店長さんは、驚いたような顔をして言う。


「おっと、これは失礼。えっと改めまして、店長の月見里です。よろしくね。では、初めに幾つか質問していくわね?」

「はい。よろしくお願いします」


 普通の顔に戻った店長さんは、やっと面接へと入って行ってくれたのだと思った。今この時までは……


「ではまず、彼女はいるの?」

「……えっ?」

「えっと、彼女はいるのかしら?」


 おかしい。何回聞いても彼女はいるかどうか聞かれてる気がする。彼女のいるいないと、バイトの面接がどう関係あるのか、と戸惑いながらも答える。


「……い、いえ。いないです……けど」

「なるほどね。では次に、歳上は何歳までいける?」

「……へ?」


 意味のわからない質問に、思わずフリーズしてしまう。

 そんな俺に店長さんは、追い打ちをかける。


「何歳までなの? 後、私の事抱け…………」

「店長! 何言ってるんですか!」

「……げっ! 神村……」


 店長のヤバい発言を遮るように、朱里さんが事務所のドアを開け入ってくる。二人の会話を見て、戸惑う俺に朱里さんは言う。


(かげ)ごめん。店長こう言う事言って面接に来た子を困らせるんだよ……だから従業員が増えないって事に気づかないのかね……」

「俺は大丈夫……! 少しびっくりしただけだから……!」

「ありがとう、陰。ほら、店長も謝って!」

「むぅ。根暗くん、ごめんね?」


 朱里さんに言われるがまま、店長さんは俺に謝る。これじゃどっちが店長なのか……と思う。


 そんなこんなで、形だけの面接は終わり今日は帰ることに。シフトは、平日は大学前の午前6時から午前9時まで。休日は、午前9時から午後5時までもしくは、午後5時から午後10時までと言った風になるらしい。


 俺は、初めてのバイトに少しの不安を抱えつつも、家までの数分間の道のりを歩いた。




 ────陰雄が帰宅した後のコンビニ。


()()〜! ちょっといいか?」

「なんですかー? 店長ー」

「新しくバイトの子が入った。姫川と同い年の男の子だ。トレーニング頼んでいいか?」


 店長である月見里に言われ、少し不機嫌な顔をしながら姫川は言う。


「なんで私が……」

「大丈夫だ。その子超絶イケメンだったぞ」


 月見里の言葉を聞いた姫川は、すぐさま顔色を変えて一言。


「それなら早く言ってくださいよー! 引き受けます!」

「ああ頼んだ」


 こうして、陰雄の知らない所で仕事を教えてくれる人が決まったのだった。


 ────だがそれは、陰雄にとって最悪な人物であることを、まだ誰も知らなかった。

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