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傲慢な男らと意固地な女  作者: 迷子のハッチ
第4章 王妃として
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第54話・1 魔女として動く(1)

 パストを拠点として魔女活動を始めるラーファ。

 今日はロールキャベツの気分だ。


 最初にキャベツの葉を一枚づつ剥がして茹でた後、取り出して置いて置く。

 みじん切りした野菜を炒めてお皿に取り置く。

 ひき肉を少量の塩と胡椒で良く捏ねて、粘りが出たら用意したお皿の野菜を混ぜて炒める。


 (ラーファはひき肉を作る時、ある程度の大きさにした肉をナイフで叩いて作る。ひき肉に玉ねぎやニンジン、チーズもいれてバターで炒め、ロールキャベツの具を作る by異論はあると思うラーファ)


 アツアツでは無く少し冷ました後、茹でて置いたキャベツの葉に包む。


 今回は、鍋に包んだキャベツをぎっしりと詰め込み、その上からシチューの汁を掛けていって弱火で煮て行く。


 (くず野菜とくず肉や骨から取っただし汁を入れ、シチューにする時は小麦粉を牛乳で球に成らない様に混ぜた物を鍋の中へ少しづつとかして行く by作り手で違いはあると思うラーファ)


 後は煮込めば良い。だし汁だけで茹でても美味しい。


 マーヤも好きなチーズ入りロールキャベツのシチュー、出来上がりです。神域の家でマーヤと寛いで夕食を始めます。


 結婚してマーヤと一緒に過ごす事が出来なくなったので、日を決めて神域へ行きマーヤと過ごす日を決めた。(もぎ取ったとも言う byラーファ)


 実家(神域の家)へ帰る事をビェスに承諾して貰った日。

 グダグダとビェスが私が実家(神域)へ帰るのを渋る。

 帰る(マーヤに会いに行く)のは承諾したけど、何時行くかはまだ決めて無いとごねる。


 ビェスが粘ってベッドの中まで次の日に行くのを反対したので、仕方なく日を伸ばした。

 しかも夜はだめだと粘りに粘ったので、私が折れた。


 夜じゃなくて昼、三日に一度、昼5時(午前10時)頃に行って、夜5時(午後10時)頃帰る事になった。


 私的に毎日ビェスと過ごすのが嫌じゃないけど、好きなんだけど、マーヤの顔が見れないのが辛い。

 二日おきに一日、のびのびと過ごせる日も欲しくて、ビェスには悪いけど絆されずに抵抗して、何とか承諾させた。妥協はしたけど、夜は寝るだけなので昼動ける方が色々出来るだろうと思っている。


 おかげでマーヤもすねる事なく平穏に過ごせている。

 と言っても入籍してからまだ5日(12月8日)しか過ぎていない。

 今日は神域で過ごす最初の日、マーヤとの変わらぬ一日が過ぎていった。


 夜に帰って来ると、既にビェスが部屋で寛いでいた。

 ビェスとの夜の語らいもお互いの事から世間の噂話を話す様になってきた。


 「ラーファの事が、噂になってるよ。」ビェスが、部屋にやって来た私に早々聞いた話だと話してくれた。

 「公開治療で使ったポーションが手や足を再生した噂で、君を”神の使いだ”と言い始める者が居たとか。」

 「魔女と名乗ったから怪しい他国の手先だとか色々あるよ。」

 「意図的に君の噂を流す者を何人か捕まえているけど、今の所小物ばかりだね。」


 ビェスの話は誰かが集めた、パスト市の噂話だ。不穏な話が在るのはビェスの敵が流しているのだろう。


 私の話が多いのは前に行った公開治療の話が広がったからだろう。

 ビェスが噂を気にしているのは、私の評判が今後の戦いを左右するからだろう。

 既に何件かの治療の依頼が打診されているそうだ。


 今、私はビェスと話し合った魔女薬の起業に向けて動いている。


 早急に手当したいのは魔女薬の作り手になる人材だ。こればかりは人手を掛けて探す訳にもいかない。この国に魔女は居ないので、魔力を持った人を探す前に魔力持ちを探す人材を探している。


 魔力をある程度持って居れば、カカリ村での経験から3年から5年で魔女薬を作れる人材が育つと見ている。

 問題は魔力をある程度持っている人を探せる人材だが、すでに数人見つけている。


 探したのは侍女たちの中からで、私がなんとなく魔力持ちかもしれないと思った侍女数人を調べたところ二人見つかった。


 セリーヌとカトリシアだ。セリーヌは初めて出会った時から魔力持ちだろうと思っていた。カトリシアは魔石の購入でトマーノ商会との連絡係をしている。

 カトリシアと打ち合わせをしている内にひょっとしたらと気が付いた。


 魔力を持っているか調べるには、私が直接見る必要があるけど、身近な侍女の中に二人も居たので意外と多いかもしれないと思っている。


 次に、必要な材料の魔石購入と魔女薬を作る場所はトマーノ商会とゴドウィンの領地にする事になった。


 ゴドウィンとは話し合いが出来たので、金貨2千枚を渡してある。小さな漁村だけど魔女薬の製造工房を建てるだけの余裕はあるので、敷地を確保して貰っている。


 生憎ゴドウィンは私から金貨をもらうと家族を迎えにキク・カクタン国へ行ってしまった。

 帰って来るのは新年が明けてからだろう。

 残った部下が、私が渡した資金を使って迎える家族の住む住居を作っている最中だ。


 トマーノ商会は無事辺境領群から魔石を購入して帰って来た。私は彼が購入した魔石を買えるだけ買っている。

 トマーノは王妃御用商人として順調な船出を果たし、私も彼を有能な商人だと信用している。


 実はゴドウィンやトマーノへの支払いの資金はビェスから貰った。金貨2万枚だ。


 これは公開治療の治療費としてビェスが私へ支払う金額だそうだ。ただし内容は手形になっている。

 手形は魔紙にビェスの魔印象が押された魔紋に書かれた支払い手形だ。


 魔紋に支払いを約束する内容などを書いてある。

 1枚に付き金貨百枚の約束手形で、200枚貰った。(ビェスが腱鞘炎にならないと良いのだけど byラーファ)


 ビェスは近い将来この約束手形が、金貨の代わりに高額取引用の紙のお金として使われると考えている。


 偽造できない王様の魔紋に書かれた金額なので、信用はこれ以上望めない程高いと思う。

 魔紙は魔術の付加がされた紙なので耐久性が高く、魔紋も百万年は消えない事から普通の硬貨よりも長く使える。


 ビェスの言う通り、紙のお金として使えると思う。

 弱点は信用の担保がビェスが王である事だと言う所だ。


 王が変われば手形は次の王が保証しないと無効になってしまう。

 そう考えれば、王様の交代はこの紙幣の回収新規再発行と言う王様には悪魔の時期となりかねない。


 ビェスからパストの噂話を聞きながら、あれこれ考えていたらビェスから質問が来た。


 「魔女薬を作る商会を立ち上げると言っていたけど、作り手は見つかったのかい?」


 「今の所二人見つけたわ、セリーヌとカトリシアよ」


 「どうやって見つけたんだ?」見つけた方法が分からないので、不思議そうにしている。


 「魔力視で見ると魔力が多い人は魔力が体から出てるのが見えるのよ」


 「魔力視?」

 「そんなスキル持ちがこの国に居るなんてラーファ以外で聞いた事が無いよ。」


 「あら、ビェスも魔力視持ちの一人よ」


 「え! 俺もかい?」


 「金剛身が使えるでしょう?」


 ビェスが「えっ!」と言う顔をしたので、自覚が無いようだ。


 「ビェスは自覚が無いようだけど、鍛錬時には金剛身を使って体の動きを強くしているよ」

 「それの目の強化版が魔力視なの」


 「魔力視か! それって何が出来るの?」


 「最初は魔力が見えるのよ、使い魔とかね」


 「使い魔か!」


 「そうよ、最初は魔力が見える位だけど、其の内魔力の扱いに慣れてくれば魔力を扱えるようになるわ」

 「魔女薬を作る段階までには4,5年かかると思うけど、他にも使い道があるの」


 魔女見習い程度の修業を終えれば魔女薬の初級傷薬などが作れるようになる。

 それまでは私が作るから、数年は初級から上級回復薬辺りを主に作る積りだ。

 それ以外の薬は時間が無いので作る事は諦めた。


 今は見つけた二人以外に魔力を持った人が居ないか探す事と、二人の修業をどうするかだ。


 「使い魔が見えれば私がいけない遠隔地でも、使い魔に使う薬の選択をさせられるわ」

 「使い魔は私と繋がっているから、パストから私が使い魔を使って診察する事も出来るの」

 「使い魔が見える魔力視の人に、使う薬を使用してもらえば治療出ると思う」


 使い魔だけの診断では大雑把な事しか分からないけど、治療の指針は出せると思う。


 「魔女の薬を使うのかい?」ビェスが察して魔女薬を使った治療の事だと分かった様だ。


 「そうよ、元々魔女の薬を作ったのは、最悪魔女が行くまで延命できるようにしたかったからなの」


 「そうなんだ、今後は遠い場所だと二人の内の誰かを派遣すれば、治療に目途が立つね。」


 「問題は魔力視持ちを増やしていく事ね」

 「今の所、侍女の2人だけだけど、二人共魔力視は元より金剛身も経験が無いのよ」


 「もっと探す? それとも二人の訓練を先にする?」


 「セリーヌとカトリシアの訓練を先にする積りよ」


 次回は、パストでの商会の立ち上げ準備です。

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