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傲慢な男らと意固地な女  作者: 迷子のハッチ
第4章 王妃として
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第51話・1 公開治療(1)

 辺境領群で発生した疾病の治療を公開でする事になったラーファは治療に専念する。

 私は公開治療のため魔女の何時もの服へ着替えた。と言ってもワンピースの上から魔女の白いマントを羽織るだけで済む。


 セリーヌからは辺境領群の領事館の場所をパストの地図を見ながら説明して貰った。場所はパストの中央、王宮に近いパレードした通りの近くに在った。

 使い魔を召喚して早速見に行かせた。病体を診察する必要があるので魔力も多い8級の迷宮毛長灰色狼を使い魔として差し向けた。


 場所はパレードした通りを逆に走って行けば良かったので直ぐに見つかった。まだビェスからの使者は着いて無いようなので、勝手に中に入って患者を探させてもらう。

 患者5人は全て男性で、客間と思しき大部屋に全員纏まってベッドに寝ていた。


 ビェスが言ったように全員大ケガをしている。使い魔に調べさせると、ケガ以外に毒が体内に入って高熱や痛みが酷そうな患者もいる。

 5人共重体だが、其の内の3人は特に容態が悪化していて早急な対応をしないと命にかかわりそうだ。


 患者の様態が分かったので、使い魔はそのまま患者の側で見張って貰う事にした。

 何かあれば知らせて来るだろうし、患者の魔力受容体を調べるのは直接私が見ないと分からない。


 それに、広場に展示してある空ポーションを持って来て貰わなければポーションが作れ無い。


 セリーヌが「公開治療の部屋の事でお聞きしたい事がある。」と、侍従長がやって来ていると知らせて来た。


 グレバート侍従長がビェスから聞いたのだろう、公開治療を行う部屋の件で応接室迄やって来ているらしい。

 セリーヌから知らせを受けて応接室へ出向くと律儀に自己紹介から始めた。


 「初めましてダキエの姫様、王宮の儀典と王宮の運営を陛下より言い付かっておりますグレバート子爵と申します。」

 「ダキエの姫様に置かれましては、私目に気軽にお声をお掛け下さいますよう、お願い申し上げます。」


 初めて挨拶するので仕方ないけど、時間がもったいない気がする。


 「初めまして、グレバート子爵殿 名をダキエの聖樹の変により失いました 魔女とでも呼んでいただければと思います」

 と、彼のお辞儀に合わせて礼を返しながら声を掛けた。


 「滅相も無い 陛下よりダキエの姫様とお呼びするようにお伺いしております。」

 「ダキエの姫様 如何か私目をグレバートと呼び捨てでお願い申し上げます。」


 あ、これ呼び捨てしないと何時までも水掛け論になりそうだ。しかもダキエの姫呼びは王宮の人たちには知れ渡っている様だ。

 あきらめるしかないようね。時間も無いし、公開治療へ向けて動かないと。


 「分かりました 以後は”グレバート”と呼びますね」


 「ははっ。」再びお辞儀をした後、私が「どうぞおかけください」と言うまで頭を上げなかった。


 やっと座ってくれたので、此処へ来た用件を聞く事にする。


 「では、グレバート ビェスから公開治療の件は聞いていると思います」

 「ビェスは治療する部屋はあなたに任せると言っていました」


 ビェスに対して、陛下だとか仰せだとかは言わない。今後とも私とビェスについては対等な関係を広く皆にも知らせて行く。


 「はい 陛下のご下命により治療に適した部屋をご用意しますので、ダキエの姫様のご要望を御聞きするために、まかり越しました。」


 どうにも堅っ苦しくて話がし難くてたまりません。早めに私をサポートする魔女か侍女の集団を作って、意思の疎通をしやすくしなければ。

 しばらくは我慢です。


 「要望と言っても公開で治療する以上患者と見学人が入れる大きさが必要です」

 「それから 患者が5名、重体だと聞いています ベッドが必要ですから、用意してください」


 「見学される方は何人を予定されてますでしょうか?」とグレバート子爵。


 「ビェスから見学は5,6名だと聞きましたが確定ではありません」

 「ビェスが4つの領に知らせると言っていましたから、ビェスに聞く方が正確な人数が分かると思います」


 「治療の補助に何人必要でございますか?」


 「患者を5人、治療室へ運び込むのに人が必要です」

 「治療は私一人で十分ですが、パレードの広場に飾ってある空ポーションを使います」

 「それから、公開治療する部屋以外に私の控室を用意してください」

 「空ポーションは事前に控室へ持ち込んでください」


 ここまでは用意してもらうだけですが、グレバートさんの意見を聞いておきたい事が一つあります。


 「患者の治療の用意が出来る前に、控室で見学する人へ挨拶と説明をした方が理解しやすいと思います」

 「グレバートはどう思いますか?」


 儀典長だと自己紹介で言ってたので、この辺は詳しいはず。彼の意見が聞きたい。


 「見学に見えられる方々は領事殿か副領事辺りでしょうから 事前の挨拶と説明がいただければ十分な対応だと思います。」


 まったく顔色を変えず、きまじめな顔で私を見て、淡々と答えてきました。

 領事以上の身分の貴族だと更に儀式的な何かをするのかしら?

 なんだか肩が凝りそうで嫌だなぁ と思ってしまった。


 私が言った事を書き込んだ紙を確かめながら、打ち合わせの後グレバート侍従長さんは私が部屋を出るまで部屋から動かなかった。


 彼に一緒に連れて行ってほしかったのだけど、後でご連絡しますと譲らなかった。

 部屋を先に見て確認したかったけど、彼だと無理そうだ。


 今回は5人の内四肢の欠損した3人にはポーションを、残りの2人には上級回復薬を使う予定だ。

 ポーション3つで金貨18000枚。

 上級回復薬は一つ金貨1枚だから金貨2枚になる。


 薬と治療費は誰に請求すればよいのだろう?

 上級回復薬は作って無いので、マーヤの作り置きから拝借しよう。


 部屋で(神域に行って必要な物を取って来た)用意が出来るまで待って居ると、セリーヌが公開治療室の準備が出来たと知らせて来た。

 急ぎ足で部屋へ行きたいけど、王宮内はゆったりとした歩き方で歩くからじれったくなる。


 セリーヌに案内されて入った部屋は治療用の部屋の横に面した控室だった。患者が連れてこられている部屋は扉一つ向こうに在るそうだ。

 こんな急な公開治療や急患を無理して連れて来るような事に加担している自分自身が嫌になる。


 ビェスが空ポーションを持って部屋に入って来た。後ろには護衛以外に8人の偉そうな態度をした男らがぞろぞろと付いて来ている。


 「ダキエの姫、空ポーションを持って来たよ。」ビェスが名前ではなくダキエの姫で呼びます。名前で呼ばれないとなんだか他人行儀で堅っ苦しく感じます。


 「ありがとうビェス」ととりあえず椅子から立ち上がり、空ポーションを受け取って横の机に置いた。

 ビェスの後ろからついて入ってきた人たちは今日の公開治療の見学者たちだった。

 エバンギヌス子爵だろう顔色の青い人もいたし、他にも海千山千の人たちが8人も挨拶をしてきたが私は「魔女です」としか名乗らなかった。


 彼らに今日の公開治療の方法を説明していきます。


 「今日は、3名の四肢欠損者には、私がこの空ポーションから患者に合わせたポーションを作り、そのポーションを使って治療します。」

 「残りの患者には容態を見ながら魔女薬を使用する予定です。」


 「魔女薬ですか?」 エバンギヌス子爵と思われる見た目が山賊の男が不満そうに言った。


 「そうです、ポーションは四肢の欠損か老衰に対処するぐらいしか使い所が見つかりません」

 「それ以外の疾患でしたら、回復薬を使う方がより最適な方法です」


 「何故ポーションを使わんのか!」とエバンギヌス子爵が怒鳴った。


 「だまれエバン!」とビェスが私の前に出て来てエバンと対峙した。


 次回は、エバンギヌス子爵との対決です。

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