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傲慢な男らと意固地な女  作者: 迷子のハッチ
第4章 王妃として
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第49話 辺境領群の問題(1)

 新婚早々に問題を抱えた来客に邪魔された。

 次の日(12月4日)は昼4時(午前9時)まで部屋から出れなかった。


 セリーヌが扉の前からビェスに来客の予定が在ると呼ばれて、やっとビェスから解放された。

 お腹もすいたし、ビェスに面会に来た人が大物(東の辺境領群の代表)で、ビェスもさすがに私の部屋に引きこもる事が出来なかった。


 彼が出て行った後は、ぐったりして動けない私をセリーヌたち侍女が甲斐甲斐しく世話をしてくれた。

 あられもない姿の私に顔を赤らめる事なくテキパキと体を拭き、お風呂に入れ、その間に汚れたシーツを替え、部屋を整え、お風呂の後は着替えさせ、食事を用意してくれた。

 お風呂に入る頃には、ビェスの残して行った跡(体に残るキスや諸々の痕跡)を治療できるぐらいは魔力が回復してきた。


 遅い朝食をゆっくりとまだ回復していない体力を振り絞り食べていると。ビェスから伝言が届いた。

 セリーヌが受け取ったカードぐらいの紙にビェスの字で書かれていたのは。


 『すまない、客人との話し合いがもうしばらく掛かる。昼食は客と話しながら取る事になった。ラーファには申し訳ないが、一人で昼食をお願いする。

 愛するラーファへ ビェスより

 追伸 客人との話が終わりしだい、君と相談したい事が出来た。君の部屋へ行く。』


 謝罪から始まる伝言だった。


 東の辺境領群の代表が客人だとセリーヌがビェスに言っていたけど、敵対している代表がパスト迄来るのは異例な事だろう。

 私への相談が必要とは、森ダンジョンに挟まれた辺境と言う事を考えれば、スタンビートが発生したのかもしれない。もしそうならケガ人が大勢出ているだろう。


 それとも疫病かもしれない。


 どちらにしても魔女として動くならビェスの許可が要るだろう。東の辺境へキーグに乗って駆け付けるのは無理だろうか?

 私が現地へ行けなくても薬があれば代理人に行って貰う事も出来る。でも、代理人などこのパストにはまだ居ない。


 せめて魔女薬だけでも用意しておきたい。マーヤの手助けを期待できるかな?

 マーヤはマーヤで今色々忙しいらしいし、薬の作成はビェスが相談に来る前に神域で始めよう。


 食事の途中だけど、伝言を読んだ以上手を打つ必要がある。


 「セリーヌ 相談があります」


 「はい、ダキエの姫様 何用でございましょうか?」


 「魔石が大量に必要となりそうです」

 「初級の10級と9級の魔石ですが、手に入れられませんか?」


 「魔石ですか? 確か王宮の灯り用に数十個ぐらいでしたらあると存じますが、如何ほど必要でございますか?」


 「そうですね、千個単位でどちらの級の魔石も欲しいですね」


 「千個! はっはい ガザレ商会のトマーノ殿なら揃えてくれると思います」


 「セリーヌは私の御用商人の事を知っているのね」


 「はい トマーノ殿から侍女頭として挨拶を受けております」


 「それなら話は早いわ、ガザレ商会に10級と9級の魔石を千個づつ用意してほしいと言付けてください」


 「畏まりました」お辞儀をして下がりかけたセリーヌに言葉を追加した。


 「それから ガザレ商会には今後も魔石を常に用意してほしいと合わせて言付けしてください」


 「はい? 常にでございますか?」


 「そうよ 魔女の薬を作るのに必要になるの」と言ってから魔女薬の事は秘密にした方が良い事を思い出した。


 「この事は内密にしてくださいね」


 それからセリーヌに腕輪の空間収納から出したお金の入った袋を渡した。


 「この金貨で魔石を買って、余る分は買えるだけ魔石を買って欲しいと伝えてね」


 オウミ金貨10枚が入った小分け用の袋だから魔石の買い付けにちょうど良いだろう。

 オウミでは10級の魔石が金貨1枚なら1000個以上買えたし、金貨5枚も在れば9級の魔石も1000個は買えるだろう。


 受け取ったセリーヌは戸惑ったように言って来た。


 「ダキエの姫様 お金は陛下より妃殿下の当分の費えとして既に金貨3千枚が用意されております」

 「ですからこのお金はお返しします」と小袋毎返してこようとしたので、「待って」と止めた。


 「あのね、魔女薬の作成に関わる費用については今後事業化する予定なの」

 「その時のためにお金の収支は記録しておきたいの」


 「申し訳ありません、事業化とはダキエの姫様が起業されるのですか?」


 「そうよ、魔女薬の作成と販売を目的とした商会を立ち上げます」

 「ビェスと話し合う必要がありますが、この国に必要な事ですからビェスも反対は無いでしょう」

 「魔女薬の前にしなければならない事が色々ありますが、今は緊急に魔女薬が必要となりそうなの」


 「それは陛下のご要望でございますか?」セリーヌが私が緊急だと言った事を受けて慌てだした。


 「まだそうだとは決まっていませんが、東の辺境領群で何事か起こっているようです」

 「私に相談したいとありましたので、魔女の力が必要だと判断しました」


 「畏まりました、このお金で買えるだけの魔石を買わせます」と言って、お金の袋毎侍女の一人カトリシアへ渡し、「話は聞きましたね、ガザレ商会を呼びなさい」と言いつけていた。


 其の内魔女薬の大量生産を行う事になるでしょうけど、今回は私が作る事で対処しましょう。

 朝食の途中でしたが、少し魔力が回復してきたので、自分へ回復魔術を行使してビェスが散々翻弄してくれたおかげで尽きた体力を回復させた。


 朝の名残は気怠い気分だけとなり、食欲も出来てたので残りの朝食もきれいに全部食べた。


 食後の飲み物にコーヒーが出たけど、ビェスが好きな飲み物の様です。

 私には苦すぎて馴染めません。


 食後一人にして貰い、神域で魔女薬を作った。

 あまり魔石の在庫は無かったので、初級の回復薬だけを作った。

 もし辺境領群で流行性の病が流行っている場合。回復薬なら魔女以外の薬師に渡して使わせる事を考える時、使い勝手が良いと思う。


 10級の魔石4つ(銅貨40枚)で魔女の初級回復薬が1つ、傷薬なら10個作れる。9級を使えば1個(銅貨50枚)で初級回復薬が1つ作れる。


 魔石の魔力だけを使って魔女薬が作れるのなら魔力の抜けた魔石に魔力を再充填してやれば魔石が耐えられるだけ使えるが。

 魔女薬は魔石を液体化させ回復魔術を付与して作るため新しい魔石が常に必要となる。


 昼7前に部屋へ帰り、セリーヌから昼食の声が掛かるのを待った。

 客間の食堂で一人寂しく、いいえビェスが居ないのは寂しいけど、ゆっくりと食べれるのはありがたい。

 昼食は事前に、私がビェスのように多くは食べれないので、食前酒や一の皿などを止めて、昨日食べきれなかったブイヤベース(海鮮鍋)を作って貰った。


 食後には果物のイチゴが出たのは嬉しかった。それに昼は紅茶が出た。

 このお茶は麦茶より断然香りが良い。朝飲んだ香りが強く飲むと刺激的すぎるコーヒーより紅茶の方が好きだと思った。


 昼食後も神域へ入り、昼10時(午後3時)前に神域から戻り、ビェスを待った。

 昼食時にも伝言の追加があり、昼10時(午後3時)に部屋へ行くと書いて在った。


 昼食の前後は神域へ行くので部屋に一人にして貰った。私が移動する都度必ず侍女が付き従う、私が一人で動けるのは私の部屋だけの様だ。

 私が部屋(実際は神域)に籠っている間、セリーヌたちも交代で食事を摂っているだろう。


 ビェスの話し合いは難航しているのか思っていた(昼10時)より遅く、昼12時(午後5時)まで部屋にやって来なかった。


 次回は、辺境領群への森ダンジョンの呪い(毒、ケガ、病気)に関わる事になります。

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