第36話・2 海賊船長の話(2)
ラーファを誘拐したゴドウィンを手引きした人物が分かります。
テントが作る日陰で、ゴドウィンが話を一通り話終わる。今日も暑く乾いた一日に成りそうだ。
彼が自己紹介や簡単な地理と歴史を話してくれる間に、船の上で話し合いの椅子だけだった場所に、テーブルが用意された。ラーファの使役する土ゴーレムを椅子からテーブルの端に移動させた。
向かい合う椅子に座るゴドウィン。アーシャとシーリーンがジュースや焼いた小麦のお菓子をテーブルに並べた。
土ゴーレムには、食べる機能など無いので形だけだ。ゴドウィンは喋り疲れたのか、出された端から飲み食いしていた。
飲み食いし終わったゴドウィンが、チラッと上空の太陽に照らされ白く光るキーグを見て、ラーファに向き直った。
「自己紹介と簡単なこの国の事は話終わった。」
「イスラーファ様、そろそろ何を知りたいのか教えてくれ。」
「そうですね、私を手籠めにしようと襲って来た男は誰ですか?」
ゴドウィンはそんな事も知らないのかと顔を顰め、頭を掻きながら教えてくれた。
「ルクデス・サルワと名乗る男がキク・カクタン国の全てを持っている男だった。」
「他の国の王とは意味が違うけど、王と言う言い方が最も近い。」
どこかで聞いた名前ですね? そうだ! 船の中で思い出したビェスから聞いた名前ですね。
「ルクデス? それはビチェンパスト国と戦って死んだ王では?」
「ああ、その孫だ、名前は同じだし、性格も似てるそうだ。」
だいたいの事は聞けました。それでは、一番疑問に思っていた、馬車のラーファを襲撃して攫った出来事を説明して貰いましょう。
「私の事は何処でどのようにして知ったのですか?」
「北のキクの御位からの使いでアーノン・ススミと名乗る男が、抱けば不老長寿を授け、神の子を産むキクの御位の娘がオウミ国に居ると、魅了の大きな物を探す対価として知らせて来た。」
そうだったんですね、アーノン・ススミですか。確か、首輪と手錠を3国へ送った、聖樹島の商人でしたね。
「オウミ国での襲撃も彼の手引きですか?」
「そうだ何処からかあなたの事を調べて来て、我らに街道を南下している事を教えてくれた。」
「俺は、オウミ国の黒の海沿岸に在る漁村生まれだ。」
「イスラーファ様を攫った辺りは俺の故郷の近くでも在り、土地勘も在るから、襲いやすかったんだ。」
アーノン・ススミは敵認定のトップになりました。ただし彼も誰かの手先の様ですね。裏に潜むのはダキエが滅んだ原因、聖樹が燃えた事に絡む者共かもしれません。
彼を是非とも捕まえて、その背後に居る者を喋って貰わないと。他にも、エルゲネス国の闇魔術師も何か知っているかもしれませんね。
「彼の行方を知っていますか?」
「中の海の国々を回ると言っていた。」
そうですか、中の海の国々ね。ビチェンパスト国にこの後行く事にしましょう。では、いよいよ今宮殿で争っている事の背景を喋って貰いましょう。
「ゴドウィン、次は宮殿の争乱について背景から説明してほしい」
「ああ分かった。」
そう言うと、少し考えを纏める様に黙考しゆっくりと話し始めた。
「先ず今争っているのは、ルクデスの息子らだ。」
「30人ぐらいいるそうだが、それぞれに味方する者を引き連れ宮殿に在る御位をわがものにしようと争っている。」
「御位とは、王宮に在る5層の建物ですね」カークレイ様の推測は大当たりでしたね。
「そうだ、最上階に在る御位に座り、全ての臣下にかしずかれて新たな御位の主だと宣言すればその地位は死ぬまで安泰だ。」
御位に座れば勝ちだなんて、簡単すぎですね? 何か裏がありそうです。
「それなら早い者勝ちじゃあ無いの? なぜ争いが起きて居るのか分からないわ?」
「御位に生きて座れるのは、御位が判断する。」
「前の時は王の息子が20人挑戦して死んだと聞いている。」
「神が御位に座るにふさわしい人物か、選んでいるそうだ。」
「資格がない人が座るとどうなるの?」
「単純に死ぬらしいと聞いたけど、噂位しか知らん。」
座ると生きるか死ぬかを御位が判断する仕組みはどうなっているのかな?
「へぇー、おっかない椅子ね、御位って何を見て判断してるのかな?」
「しらん!」
御位を調べれば分かるでしょう。それより争いの原因が分からないわ。
「じゃあ、何で先を争っているの? 順番に挑戦したい人から座れば良いじゃない」
「先に選ばれたら嫌だからじゃないかな?」
ふーんなんだか、ばかばかしい話ですね。
それにしても座ると判別するとか魔道具っぽいような?
そうだわ、嘘判別の魔道具の様な気がするわ、嘘を言うと殺しちゃう魔道具とかかしら。
次回は、御位に隠された秘密です。




