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傲慢な男らと意固地な女  作者: 迷子のハッチ
第2章 巨悪
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第28話 ルボネ王宮歓迎式典の前

 ルボネ王宮で歓迎式典が開かれるそうです、用意のため部屋へ入ります。

 エスコートは王宮に入っても奥の本殿まで続いた。


 ラーファは本殿の中へとエスコートされ、入り口のホールで王様から「歓迎会で会おう。」と言われ、やっとエスコートから解放された。

 解放され、またもや手にキスをされゾゾッとなって動けないラーファ。


 侍女と思しき集団が寄って来て、更に奥のベッドの在る部屋へと連れてこられた。先頭になって侍女を率いてラーファを此の部屋へ案内した王宮本殿の侍女頭でイスクラと名乗る女性から、この部屋がラーファに用意された部屋で、歓迎会まで寛いで欲しいそうだ。

 又着替えも無ければ用意が在るとの事だ。歓迎会に出るのなら正式な服装が必要だが、ラーファにはスクマーン衣装ぐらいしか用意が無い。


 オウミ国風の正装で良いのか侍女頭に聞こうとして、侍女の中に危機察知に無反応な者が数名いる事が分かった。イスクラ当人からして無色だ、仕事だと割り切った職業的な無関心かと最初は思ったが、どうも違う、あまりにもラーファに対して反応が無いのだ。

 他の侍女が敵意やねたましさなどの負の感情を表すくすんだ赤い色をしているのに、無色で感情が無いような危機察知に引っ掛からない女達だ。


 使い魔の笑猫を密かに召喚した。いざと成れば笑い猫の闇隠ダークハイドに隠れられるし、何か侍女が行おうとしたら分与した麻痺ハラライズで麻痺させる事にした。

 問題は無色の侍女が5人もラーファの周りにいることだ。


 罠に気が付いたのは、体がくらくらしてそのまま立って居られなくなってからだ。部屋には香油が焚かれていて甘い香りがしていたから気が付かなかった。一緒に焚かれていたのは麻薬だ。オウミ国の貴族の間に流行っていた物と同じものの様だ。


 ラーファが用意されている椅子に崩れ落ちる様に座ると、イスクラがラーファに近寄って来た。周りの侍女らは麻薬に耐性があるのかラーファみたいに立てない様な事はないようだ。


 「ダキエの姫様いかが成されましたか?」


 そう言いながら服の隠しから首輪を取り出した。出た!!

 ダキエの首輪に間違いが無い、一度見れば見間違えるような事は二度とないような黄金色に輝く細身の首輪。


 「ストーン


 麻薬でくらくらする頭で撃ったためか狙いが外れて、首輪を持った腕をかすめただけだった。でもイスクラに首輪を落させる事は出来ました。ラーファは椅子から崩れ落ちる様にして、首輪に覆いかぶさった。

 そのまま首輪を手に持って、笑い猫の闇隠ダークハイドへ転がり込んだ。すぐさま笑い猫に命令して部屋から離れさせた。方向はどうでも良くて、此処から一時でも早く逃げ出したかった。


 麻薬の影響が続いていたので、魔女の薬で解毒薬を飲み治療する。それでも体はガタガタと震え手に掴んでいる首輪が上下に大きく動いて止まらない。

 薬が効いて来て頭が少しは考えられる様になってくると、ラーファが危機一髪の状態から逃れた事が分って来た。大きく息を吸うとやっと落ち着いてきた。


 落ち着いて考えられる様に成ると、怒りが沸いてきた。いくら何でも訪問したその日のまだ昼にもなっていない時から仕掛けてくるか! どうかしている。これではラーファは罠に招かれて、嬉々として飛び込むようなお馬鹿さんですか?

 しかし、冷静になって考えると、これは都合が良い。ラーファはル・ボネン国に滞在中に行方を眩ます予定でした。それが王宮に入ってから行方がしれないとなっても問題がありません。それどころかル・ボネン国が隠したと、だれでもが思う状況です。


 このまま人目の無い森の中まで移動して、神域経由でカカリ村へ帰りましょう。ラーファの足取りがル・ボネン国の王宮に入ったまま消えれば、ラーファの行方を知る者は誰か? の問いに答えられるのは、本人を除けばだれもがル・ボネン国の王様だと思うでしょう。


 笑い猫が「ニャー」と魔法スキルで泣いた。


 どうやら王宮に作られて在る庭園の木立の中まで移動して来た様だ。笑い猫の闇隠ダークハイドから出て、笑い猫を戻す。直ぐ神域へ移動しようとして、門の監視に警告を受けた。


 『首輪は許可無き神力を持つので入れない、首輪を神域へ入れるには許可が必要』


 神域に首輪を持ち込みたいラーファは、直ぐに念話で返答した。


 『首輪を神域に持ち込む許可を出しますので、神域に持ち込ませて欲しい』


 頭に響く念話に返答をすると、今度はすんなりと神域へ入れた。マーヤは魔女学園に既に行っていて神域には居なかった。

 マーヤが昼食で移動するまで少し時間が有るので、首輪を錬金倉庫へ入れて、隣の首輪と並べた。これで2つに成った、ダキエから持ち出されたのは5つの内3つ、残りはオウミ国に在る1つのみ。


 さほど待つ事無くマーヤが昼食で移動する様だ、ラーファは念話でマーヤに飛竜舎へ寄る様に頼んだ。


 『マーヤ、神域に居るよ、ル・ボネン国から出て来たの』

 『ラーファ! 早かったのね、まだしばらくはル・ボネン国に居て、彼方此方見て回るのかと思っていたわ』

 『それが、あの王が王宮に入った途端、仕掛けて来たから逃げ出したの』


 念話でもため息がマーヤに伝わった様で、マーヤも早い帰還に驚いている。


 『ラーファは今日はゆっくり休む? それともカカリ村でカークレイ爺様たちに挨拶する?』

 『いや、挨拶は無しで、直ぐに飛竜舎からワイバーンのピースィで王都迄帰る事にするわ』

 『なんだか、とっても疲れているようね』

 『そりゃあまぁね、部屋に案内されたら部屋の中に麻薬が焚きこまれていて、侍女に洗脳された人が5人も居て首輪を持って襲ってくれば疲れもするわよ』


 ほんと危機一髪だったんだから、まだ半刻(1時間)しか立って居ない。今頃は大騒ぎの最中か、密かに闇魔術師が動き回っているか、でしょうね。


 一つの疑問が今回の件で解決したと思う。神聖同盟がラーファとマーヤを希望の神子と何故呼んでいるのか? どうやら、王の子をラーファ達に産んで欲しいのだろう。生まれる子が希望する対象なのでしょう。そうでなければあんな結婚式に見立てた歓迎式典など執り行わないだろう。

 いったいエルフの子が生まれる事に何か意味が有るのだろうか? それとも、長命な人族が生まれるとでも思っているのかな? 可能性があるとか?


 今考え込んでも仕方が無い、彼らと結婚する事は絶対無いと断言できる。


 『大変だったんだね、それではラーファはこれからどうするの?』

 『王都でビチェンパスト国の商人に渡りを付けて9月に船に乗るのは変わらないけど、王都に帰ったらしばらくは神域に引っ込んでいる事にする』

 『マーヤは大歓迎だよ』


 マーヤに学園の飛竜舎まで行ってもらい、其処で神域から出た。マーヤを抱き上げ頬ずりをするとマーヤの柔らかい体がピッタリとラーファにくっつく。ラーファの一番の癒しはマーヤね。

 マーヤの手を借りて、ワイバーンのピースィに鞍を付け王都へと飛び立った。手を振るマーヤに手を振り返す。さぁ王都へ行こう、しばらくは神域での隠遁生活に成るだろう。


 ビチェンパスト国の商船団は6月中頃貿易港ウラーシュコの町を訪れる。そのまま入国の手続きが終われば王都へと移動して来るので、既に王都へ着いて居る頃だろう。王都に着いたら彼らと話し合う必要がある。

 船に乗せてもらうにはお金以外に魔女として働く必要があるかもしれない。王都での公開治療は続けた方が良いのかもしれない。


 後は、ミン(ジャスミン)に会って学園の事を話し合う必要がある。今回の犯罪組織の騒動には巻き込まれていないのは確認しているので、元気にしているだろう。アリスの妊娠を知らせてアリスの事を頼まなければならない件もある。


 勿論王様が何か言ってくるのは間違いないだろうし、巻き込まれると女性官吏として働かされるかもしれない。彼らには捕まらない様にしなければ。


 ラーファは9月まで休まらない日々が続きそうだ。


 王都の日々はこれでお終いです。次回から閑話を挟んでプロローグの続き南の国が始まります。

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