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傲慢な男らと意固地な女  作者: 迷子のハッチ
第2章 巨悪
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第21話 薬師ギルド議員

 薬師ギルドの評議員を探ります。

 使い魔に夜になってギルドから人がいなくなる真夜中、名簿を盗み見させた。


 帰って来た使い魔が描く名簿の中身を、用意した紙へそのまま写し出させる。紙の上に映し出された、文字や数字に、あちらこちらに入れられた注意書き。

 魔力に反応するインクを描かれた紙全体に塗ってある。インクが魔力に反応して、紙の上に描かれた物と寸分違わぬ物が現れる。紙の上の反応しなかったインクを洗い流し、残ったインクを定着させる。


 こうして写し取った紙を乾燥させ、束ねると薬師ギルド会員名簿の写しが出来上がった。


 現時点で現役の薬師会員は322名。これは町の薬屋さんから貴族を訪問して治療を行う魔女まで含まれている。


 問題の薬師ギルド議員の3人は直ぐ分かった。

 議員と書き込まれているし、カカリ村の魔女への告発の件が日付まで書かれていた。彼らのボスは一代爵の騎士爵位を持つガネット・クラインで中町流東堀町に屋敷がある。又、下町流中堀町に下屋敷が在り、普段は下屋敷で診療所を開設している。


 ガネットと並ぶ派閥の実力者が2人、一人はディスペット・ゲランダス。もう一人がマーネイド・ホーレス、共に中町流中堀町に診療所の上階が自宅の建物を持っている薬師だ。


 3人の名前と住所がわかったので、いよいよお仕置きの開始です。先ず最初に、彼らの罪の暴露から始め。世間から後ろ指をさされ、公職から身を引くならそこまでで止めますが。しぶとく生き残るためにあがく様ですと、物理的に潰す事も考慮する必要がありますね。


 先ずはガネットの下屋敷から調べて行きましょう。


 下町流中堀町にある彼の下屋敷の近くまで行きます。召喚した使い魔を下屋敷に忍び込ませ、調べて行きます。


 あらま、書斎と思しき部屋に彼ら3人が集まっています。彼らが何を話しているのか、聞きましょう。


 「ちいぃ、ゴビーの奴、ビビッて逃げるとは使えない奴ですね。」


 これはディスペットのようです。細身で背の高い3人の中では一番若い46才。ゴビーとは言いがかりをつけて来た破落戸ごろつきのボスの事かしら。


 「うるさいな! 少しは次の手を考えろよ。」


 こっちはマーネイドですね。がっちりした体格で最も背が高い50才。


 「あの魔女め、魔法を使うとは油断しとったわ。」


 最後がガネットね。この下屋敷の持ち主で、派閥のボス、54才。こうしてみると、どいつもこいつもグズの集まりね。


 「しかし、魔法は対抗手段が無いとこっちがられかねんぞ。」


 マーネイドは慎重派かな。


 「金を積んで誘拐の専門家を雇うってのはどうだ?」


 ディスペットは誘拐の専門家みたいなヤバイのを良く知ってるな。


 「ディス、幾ら金がかかると思ってるんじゃ、金貨で50枚は最低かかるんだぞ。」


 ガネットが立ち上がって、ディスペットを睨む。金貨50枚って大金だけど頼む当てがあるみたいだ、裏の繋がりって怖いな。


 「ガネットさん、落ち着いて、魔法への対抗手段は他にも在るから。」


 「ネイ、どうするんだ?」


 「いや、ガネットさん、誰も正面から行こうってわけじゃなくて裏から手を回せばって事ですよ。」


 「うん? 裏って」


 「ゴビーのボスに話をもっていくんですよ。」


 「ゴビーのボス? 偽薬サギの方か?」


 ガネットが何やら不穏な言葉を漏らしました。


 「奴らも、あの魔女のせいで偽薬を使った仕事がやりにくくなってると聞いてます。」


 とんだ所で繋がりが在る様ですね、薬師ギルドと偽薬詐欺集団、どんな利害関係があるのかしら?


 「繋ぎを取って奴らに魔女を襲わせるんですよ。」


 「繋ぎを取るって、西堀筋の塒は毎回変えると聞いているし、何時もの取引は十日先だぞ。」


 取引ってなんでしょう?


 「繋ぎを取る方法は幾つか在ります、任せて貰えば行き帰りの一人の時に襲わせますよ。」


 「だが、魔女の魔法で又やられるんじゃないか?」


 「奴らは人数も多いし、闇討ちなら防ぎようが無いでしょう。」


 「それだと、奴らに魔女を取られるんじゃないか?」


 「なぁに、本物も、偽物も、薬は薬、こっちで無ければ旨く使えませんって。」


 「それに奴らも、出来の良い偽物は手放せないでしょう。」


 これは、大事に成りそうです、偽薬を作っているとはあきれ果てた男らです。


 「良し、ネイお前に任せる魔女をここ、儂の下屋敷に連れて来るんじゃ。」


 「ディス手伝ってくれるか?」


 「手伝うって、ネイ、何を手伝うんだ?」


 「手分けして、知ってる奴を片っ端から当たって、奴らにボスの居所を聞くんだよ。」


 「私は、繋ぎをやっている酒場の亭主を当たるから。」


 彼らの話し合いは終わりましたが、彼らの罪を暴くだけでは収まらなくなってきました。話は偽薬詐欺の集団や謎の誘拐の専門家まで出て来ています。


 使い魔だけでは見張るにしても限界があります。ここはマーネイドを監視する事にして尾行させ、行動先の偽薬詐欺団を突き止めます。


 やがて探し出した偽薬詐欺団のボス、名前は分かりませんが臭いは使い魔が覚えた。幸い彼らは帳簿を付けていたので、それを元にこの偽薬詐欺団のリストを作りました。


 使い魔が覚えて来た顔を紙にコピーした物で、これにラーファが知りえた情報を書き加えた物です。


 彼らが襲って来たのは、ガネットの下屋敷で話を聞いてから5日後でした。


 次回は、新たな犯罪者集団、偽薬詐欺団の出現と襲われるラーファ。 

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