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傲慢な男らと意固地な女  作者: 迷子のハッチ
第4章 王妃として
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第59話・6 ビーザの戦い(6)

 投石器から撃ち出された石弾によりビーザ砦に被害が出始めていた。

 私が到着した時、ビーサ砦と出城のデーストゥラ城(右)とスィニートゥラ城(左)へ3台の投石器が動いていた。

 後ろに在る投石器を組み立てている場所では、次の投石器の組み立てが進んでいた。


 キーグの姿が見えたのだろう、投石器の周りから兵士らが逃げ出しているのが分かった。

 今なら投石器の攻撃が止まっているので邪魔されずに降りれるだろう。


 見た所西門の一部に被害が出ているけど、ビーサ砦の中までは被害が出てなさそうだ。

 城館横の飛行場へ着陸する。


 着陸した私たちに駆け寄って来たのはシルベスト陸尉だった。

 東門が一番早くキーグを見つけられるので、トラント将軍へ報告ついでに飛行場へ来たのかもしれない。


 キーグから降りて侍女の二人を降ろしていると近寄って来て話しかけて来た。


 「ダキエの姫様と侍女様たち、お待ち申してました。」

 「トラント将軍より、部屋へ来て欲しいと申し使っております。」


 トラント将軍はどうやら早く会いたいようですね。

 カトリシアとニコレッタを顔合わせする必要もありますし、直ぐに行きましょう。


 私が乗る鞍だけ残して二人が座っていた竜具を外す。

 投石器の石弾が飛行場迄届くとは思わないけど、念の為キーグは神域へ帰す。


 二人を連れて城館の4階まで行くと、トラント将軍が出迎えてくれた。


 「お待ちしてました。」待ち遠しかったと貴族の礼で迎えてくれた。


 こちらも軽く礼を返して状況を聞いた。


 「待ちかねていたようですが、状況は?」


 トラント将軍は私たちを部屋の中へ案内しながら教えてくれた。

 それによると、投石器の被害が大きいのは両出城で被弾によってスィニートゥラ城(左)の中央に在る物見の塔に被害が出たそうだ。

 今の所ケガ人は居ても死んだ人はいないそうだ。


 ただ石弾によってグラス陸尉が腕を折る負傷をして南の連隊宿舎で寝ているそうだ。

 今は同じ連隊の陸尉が大隊毎交代してスィニートゥラ城(左)の守備に付いている。


 「トラント将軍、私はこの後パストへ帰らなければなりません」

 「ですが、カトリシアとニコレッタを治療要員として残して行きます」

 「負傷者の治療に当たって貰いますが、私がパストを離れられるように成り次第迎えにきます」

 「それまで二人をトラント将軍に預けますので、宜しくお願いします」


 私の提案はすぐさま了承された。トラント将軍も侍女の誰かが残って治療に当たるのだろうと思っていたようだ。

 二人共残るとは思っても居なかった様だが、治療員が多いほど早く対処できるので大歓迎だった。


 二人は前に私が泊まった2階の客室に二人で泊まる事になった。

 責任者はトラント将軍で臨時の配下として治療員として働く事になった。

 カトリシアが代表で魔女薬の管理と保管をする事になり、後で私が二人の部屋に行って神域から魔女薬を渡す事にした。


 今日から泊まる部屋へ行くため、二人はブリンカー陸尉に案内されて出て行った。

 私はトラント将軍にこの後私がする事を話した。


 「私は飛竜で今攻撃している投石器を燃やす積りです」

 「ですが、材料が在る限り投石器を作るでしょう」

 「集積地に在る投石器の資材も燃やした方が良いでしょうか?」


 「はい! 今回は徹底的にやってください。」

 「投石器は被害が積み重なって長くやられると厄介です。」

 「今のうちに潰せるものは潰してください。」


 「投石器を壊して回ると、キリアム侯爵は逃げ出しませんか?」


 「投石器が燃やされても、兵士が残っていてダキエの姫様がパストへ帰って居れば問題無く居座るでしょう。」

 「彼らに後は無いのですから。」

 「キリアム侯爵は領地から根こそぎ兵士を集めて此処へ着ましたが、再び領内から兵士と木材やローブを徴発する命令を出したと聞いています。」

 「それらが着くなら、まだ攻撃できると思っているでしょう。」


 しばらく間をおいて、再び話し出した。


 「それに引き上げてもキリアム侯爵は終わりです。」

 「領内は此度の徴発で怨嗟の声が満ち満ちています。」

 「引き上げれば兵士が離反するだけでなく襲って来るでしょう。」

 「彼らには此の戦で勝つしか、生き延びる事が出来無いのです。」


 と言う事で私はトラント将軍に別れを告げ、カトリシアたちの部屋を訪れた。


 「カトリシアに此の魔女薬を託します」

 「私は数日は此処へ来れないと思います、その間東西南北の連隊宿舎と城館を回って治療に専念しててください」

 「できるだけ早く交代の人を連れてきます」

 「ニコレッタもカトリシアの手伝いをしながら治療の仕方を覚えて下さい」

 「くれぐれもケガをしないように移動は馬車などを使って移動してください」

 「お願いしますね」


 「「はい!」」二人は元気に返事をした、彼女たちに任せて大丈夫だろう。


 飛行場まで引き返してきた。

 神域からキーグを呼び、パストへ帰る前に投石器を襲撃する事を伝えた。


 「KYAAAOOOOOOO!!」


 神域から出て来て私が攻撃する事を告げると雄たけびを上げ、『頑張るね!!』と念話が来た。


 張り切っている様だ。

 キーグに乗って飛び上がると、最初は西門の対岸にある投石器を攻撃する。


 『わが身より沸き立ちし火炎に漲る熱よ、凝縮して満ちれば爆炎と成る』

 「火球(ファイアーボール)!」


 「ドッン!!! ドドドドドドドドオンーーーー!!!」


 投石器の周辺が火球に包まれ、次の瞬間弾けた!!


 燃え上がる火炎を避け、左に捻りながら上昇して奥で組み立て中の投石器と資材を攻撃する。

 その後はデーストゥラ城(右)とスィニートゥラ城(左)の二つの出城を攻撃している投石器と尾根の向こう側で組み立て中の物を資材毎燃やし尽くした。


 投石器は見えるだけ全て燃えている。


 私が見逃してる投石器や材料は有るだろうけど、組み立て終わったか最中の投石器は全部 燃やしたと思う。

 奥の資材置き場も見たが、投石器用の資材は見当たらなかった。

 恐らく3ヶ所の組み立て場所へ全て運んだのだと思う。


 燃え上がる幾筋もの黒煙を後ろにパストへと帰る事にした。


 投石器は見える限り潰しました。

 次回は、キリアム侯爵側の軍議の様子とパスト市での色々です。

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