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第9話:根暗と言われていた私にも大切な友達が出来ました~シュミナ視点~

シュミナ視点です

よろしくお願いしますm(__)m

私の名前はシュミナ・ガーディアン。侯爵令嬢として生れた私には、9つ上の兄と2つ上の姉がいる。18歳と言う若さで、副騎士団長として活躍しているお兄様と、美しく聡明なお姉さま。



それに比べ、私は人見知りで容量も悪く、正直これと言って取り得が無い。ありがたい事にこんな私の事も、2人と同じ様に可愛がってくれる両親。さらに歳が離れている末っ子という事もあり、今は別々に暮らしているお兄様も、私の事を可愛がってくれる。


でも、お姉さまはどうやら私が気に食わない様だ。


「シュミナ、あなたはどうしてそんなに暗い性格なの!もう少し明るく出来ないものかしら?」


「あなたと一緒に居ると、私の評判まで下がってしまうわ。本当にあなたみたいなのが妹だなんて、恥ずかしいったらありゃしない!悪いけれど、あまり人目につく場所には参加しないでよ!」


それが口癖だった。


お姉さまの思いとは裏腹に、何とか私に友達をと願う両親に、何度もパーティーに参加させられた。


でもそのたびに、お姉さまから


「この子に近づくと根暗が移りますわよ!さあ、あっちでみんなでお茶をしましょう」


と言って、私から令嬢を遠ざけていく。他の令嬢たちも


「シュミナ様は暗くて嫌よね。いつも本ばかり読んでいるらしいし」


なんて話しているのを、何度か耳にした事がある。いつしか、外に出る事が嫌になってしまい、パーティーに参加しても、1人静かに座っている事が多くなった。もちろん、そんな私に話しかけてくる令嬢は居ないし、万が一私に近づこうとする令嬢が居ても、お姉さまが連れて行ってしまうのだ。


そんな時、私の9歳の誕生日パーティーが開かれることが決まった。どうやら、私に友達が出来る様にと、今回は令嬢のみ参加できるとの事。


「シュミナ、今度こそお前に友達が出来るといいな」


そう言って私の肩を叩くお父様。


「そうそう、今回はなぜかミューティング公爵家のミシェル嬢が来るようだ。一応招待状を出したのだが、まさか参加で返信が来るとは思わなかったよ」


苦笑いするお父様。


ミューティング公爵家のミシェル様と言えば、我が儘で傲慢な女の子と有名だ。以前、ミシェル様の誕生日パーティーを開いた時、虫の居所が悪かったミシェル様が癇癪を起こし、大変なことになったと聞いた事がある。


それ以来、ほとんどお茶会やパーティーなどには参加していないらしい。そんな令嬢が来るなんて、大丈夫かしら?正直不安しかない。



そんな中、迎えた誕生日。

いつもの様に、1人イスに座って時間が経つのを待つ。たとえ私の誕生日パーティーであっても、結局主役はお姉さまなのだ。


お姉さまが招待した令嬢たちに囲まれ、楽しそうに話しているのをひっそりと眺める。早くこの時間が過ぎてくれないかしら…


そう思っていた時、1人の少女が声を掛けて来た。


「初めまして。ミシェル・ミューティングと申します。今日はお招きいただき、ありがとうございました」


美しいストロベリーブロンドの髪に、クリっとした青色の瞳。はっきり言って美少女だ。それに今、ミシェル・ミューティングと言ったわよね。この子が、噂の我が儘で傲慢な公爵令嬢なの!


どうしよう、まさか声を掛けられるなんて。完全に頭がパニックになってしまい、どう返事をしていいかわからない。


「シュミナ様、どうかされましたか?」


少し不安そうな顔のミシェル様が、再び私に話しかけて来た。とにかく挨拶をしなきゃ!そう思い、急いでイスから立ち上がったのが良くなかった。そのまま、凄い勢いで机に足をぶつけてしまった。


私って、本当にどんくさいわね。自分でも嫌になるわ!恥ずかしすぎて、ジュワっと涙が込み上げてくる。


そんな私をミシェル様は心配して下さり、私の足を確認してくれた。


その時だった。

いつもの様にお姉さまが現れ、ミシェル様に声を掛ける。きっとミシェル様も、お姉さまの元に行くのね。でも、別にもう慣れているから平気よ。そう思っていたのだが…


なぜか私を庇う様に、お姉さまの前に立ったミシェル様。


さらに

「シャティ様、私はシュミナ様とお話をしたいので、せっかくですが遠慮させていただきますわ」


そう言って、私の手を引いて歩き出した。今までお姉さまの誘いを断って、私の側に居てくれた令嬢なんていなかった。この子は本当に我が儘で傲慢だと有名なミシェル様なの?私には、優しくて正義感の強い、素敵な女の子にしか見えない。


その後、ミシェル様が私の為に本をプレゼントしてくれた。私が本が好きだと知って、準備してくれたみたい。家族以外の人が、私の為に何かをしてくれるなんて初めてで、なんだか胸が熱くなった。


そんな優しいミシェル様、私に友達になって欲しいと言って来た。これは夢かしら?私もミシェル様とお友達になれたら、どんなに素敵だろう!でも私の暗い性格を知ったら、がっかりしないかしら?


そう思ってつい


「私はお姉さまの様に華やかじゃないし、私と一緒に居ても、いい事はないですよ」


と、言ってしまった。


そんな私に、お姉さまより私の方がいいと言ってくれたミシェル様。その言葉を聞いた時、胸の奥が熱くなった。私もミシェル様と友達になりたい!素直にそう思った。


その後はミシェル様と沢山おしゃべりをして、来週家に遊びに来てくれる約束も取り付けた。


パーティーが終わった後、ミシェル様に頂いた本を抱きしめ、両親が待つ部屋へと向かった。


「おや、シュミナ。随分嬉しそうだね。何かいいことがあったのかい?」


私の様子を見て、嬉しそうに聞いてくれるお父様。


「実は今日、友達が出来たのよ。この本もその子から貰ったの。そうそう、来週家に遊びに来る事になったのだけれど、いいでしょう?」


嬉しくて、一気に両親に話した。


「まあ、よかったわね、シュミナ!もちろんいいわよ!それで、なんて言う令嬢なの?」


お母様が嬉しそうに聞いて来る。


「ミシェル・ミューティング様よ。今日話してみたのだけれど、とても優しくて、良い人だったわ!全然傲慢で我が儘じゃなかったのよ」


私の言葉に、一瞬戸惑った表情をしたお父様とお母様。


「ふん!あんたみたいな根暗と友達になりたいだなんて、あの子ちょっと変わっているのではなくって?大体、私の誘いを断ったのよ!頭おかしいんじゃないの!」


物凄く不機嫌な顔でやって来たお姉さま。


「お姉さま、ミシェル様の悪口を言うのは止めてください!」


「はっ!シュミナのくせに、私に口答えする気!」


初めて反論する私に、顔を真っ赤にして怒るお姉さま。でも、ミシェル様の事を悪く言われるのは、どうしても許せないのだ!


「止めなさい、シャティ!今のはあなたが悪いわ!そもそも、公爵令嬢に向かって、頭がおかしいなんて、絶対言っちゃダメよ!」


お母様に注意され、不貞腐れて出て行くお姉さま。


「シュミナ、あなたが初めて出来た友達ですもの。私たちは歓迎するわ!ミシェル嬢に会えるのが楽しみね」


そう言って微笑んでくれたお母様。きっと、両親もミシェル様の事を気に入ってくれるわ。



そして、ミシェル様が来る日になった。


今日はミシェル様とお菓子を作る約束をしたので、厨房へと連れて来た。どうやら、ミシェル様は料理について何も知らない様だったので、まず材料から説明した。


私のやる事を、必死になってマネするミシェル様。小麦粉が美しい髪に付いてもお構いなしで、お菓子を作っている。


そして完成したカップケーキ。大した料理じゃないのに、ミシェル様はこれでもかと言うくらい、私を褒めてくれた。


もっとミシェル様と仲良くなりたい、そんな思いから、呼び捨てで呼んで欲しいとお願いした。ちょっと図々しかったかしら?と心配になったが、快く了承してくれただけでなく、自分の事も呼び捨てにして欲しいと言ってくれた。


両親もすっかりミシェルを気に入り


「本当に噂とは当てにならないものだね。あんな素敵な令嬢を、我が儘で傲慢というなんて!」


そう言って、怒っていた。


次はミシェルの家に遊びに行く予定だ。今まで、人に会うのが嫌だった!いつも暗くてつまらない子と言われてきた。正直、一生友達なんて出来ないと思っていたし、1人でも平気だと思っていた。


でもミシェルに出会えて、友達ってなんて素敵なんだろう、もっとミシェルと一緒に居たと思えるようになった。


それに、ミシェルが私の事を色々と褒めてくれるので、少しだけ自分に自信が持てるようにもなった。


ミシェル、私と友達になってくれてありがとう。あなたと出会えて、本当に良かったわ。これから、楽しい事や嬉しい事はもちろん、悲しい事や辛い事も、一緒に乗り越えていこうね。あなたとなら、何でも乗り越えられる気がするわ。


シュミナは実はとても可愛らしい女の子ですが、姉からいつもバカにされていた為、完全に自信を無くしていました。


ただシュミナの姉は華やかなだけで、シュミナが思っているほど頭は良くありません。正直シュミナの方がずっと賢いです。


そんなシュミナは、きっとミシェルの一番の理解者になってくれる事と思います(*'▽')

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