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第56話:作戦開始だ~ユーグラテス視点~

王宮に戻ると、早速通信機を隠す事にした。有難い事に、比較的小さいため隠しやすい。そうだな、通信は基本的にベッドで行うのなら、ベッドの近くが理想的だ。という事で、ベッドとマットレスの間に隠す事にした。


ちなみに、通信が入る日が事前に分かるよう、通信機に備え付けられている小さなライトが赤く光る様になっている。赤く光ったら、その日の夜中に通信が入るらしい。逆にこちらから連絡がある時は、通信予約ボタンを押しておくと、夜中通信してきてくれるらしい。


物凄く便利な道具だ。そして、僕が依頼をしてから数日後、ついに1回目の通信連絡が入った。男性に言われた通り、夜中布団をすっぽりとかぶって、通信が入るのを待つ。しばらく待っていると、来た!小さな画面に男性が映った。


“ユーグラテス様、聞こえますか?”


「はい、聞こえます」


“早速本題に入らせていただきますね。色々と調べたところ、やはりあなたにはスパイが付いている様です。それもスパイ一家で知られるガーディアン家のスパイの様です。さらに、ミシェル嬢もあなたの事を随分と警戒しています。とにかく、彼女の警戒をまず解くことが大切です。警戒を解いてから動き始めましょう。とりあえず、1年生の間は様子を見ましょう。とにかく、彼女から距離をとってください”


「そんな、ミシェル嬢と距離をとるなんて…」


“大丈夫ですよ、彼らは学院を卒業するまでは、結婚しませんから。とにかく、焦らずにゆっくり行きましょう。その間に、スタンディーフォン令息をどう抹殺するか、考えておきますよ。ただ、令息だけ抹殺しても、ミシェル嬢の父親が居る限り、娘を匿う可能性がありますね。そのため、令息を抹殺した後、すぐにミューティング公爵も抹殺する方向で行きましょう”


確かにレオが居なくなっても公爵が居る限り、ミシェル嬢と結婚する事は厳しいだろう。ナイスアイデアだ!


「わかりました、その作戦でお願いします!」


こうして僕は、出来るだけミシェル嬢に絡まないようにした。本当は話しかけたいのをぐっと我慢した。


ああ、せっかくミシェル嬢が王宮に来ているのに、話しかけられないなんて…

でも、もう少し我慢すれば、ミシェル嬢は僕のものだ!もう少しの辛抱だ!そう自分に言い聞かせ、ミシェル嬢と距離をとる。


そんな辛い日々を必死に過ごしているうちに、学年末を迎えようとしていた。そう、もうすぐ1年生が終わるのだ。さらに学年末には1ヶ月ちょっとの休みまである。その期間、ミシェル嬢に会う事は出来ない。悶々とした気分のまま歩いていると、レオとジルが話している姿が目に入った。


「レオ、お前学年末休みに、ミューティング公爵家の領地に行くんだろう?」


「ああ、そうだよ。お前もシュミナ嬢連れて、領地に行くって聞いたぞ」


「まあな、せっかく領地でゆっくりできるんだ。お互い楽しもうぜ!」


何だって?僕がこんなに苦しい思いをしているのに、レオはミシェル嬢と一緒に、領地に行くだって!ふざけるな!


我慢できなくなった僕は、早速通信機で連絡を取った。


“どうしましたか?ユーグラテス様”


「レオとミシェル嬢が、学期末休みを利用して、2人で彼女の家の領地に行くみたいなんだ!ねえ、僕はいつまで我慢すればいいの?もう限界だよ!」


“領地ですか!なるほど、わかりました。そろそろ動き出しましょうか。領地ならば、きっと警護も手薄になるでしょうし”


「それならお願いがあるんだ!どうせなら、ミシェル嬢が見ている前で、レオを始末してくれないかな?」


”そのような事をしたら、彼女が深く傷つきますよ。よろしいのですか?”


「ああ、構わない」


レオが自分の目の前で命を落とす姿をみたら、どんなに悲しむだろうか。その顔を想像しただけで、ゾクゾクする。ただ、領地でレオが命を落としたら、すぐにミシェル嬢の悲しむ顔が見られないな。


まあ、そこは仕方ないか。


“かしこまりました。では、その様に手配いたしましょう”


これでレオもいなくなる。次はミューティング公爵だな。ミシェル嬢、婚約者と父親が、ほぼ同タイミングでいなくなったら、一体どんな顔をするだろうか。せっかくだから、彼女の母親も一緒に葬ったら、さらにミシェル嬢は悲しむぞ!


レオが片付いたら、一度相談してみよう。


そう思っていたのだが…


「何だって!失敗しただと!」


“はい、雇った奴らがへまをしたようです。ただ、幸いいくら捜査しても、ここまで追跡する事は出来ませんので、ご安心ください”


「ふざけないでよ!失敗したってなんだよ!」


“ユーグラテス様、落ち着いてください!まだ後2年あります。焦らずに行きましょう。ただ、今回の事で、さすがに向こうも警戒している様ですので、しばらくは様子見が宜しいかと”


確かに厳重警戒をされている中、ヘタに動くのは危険だ。でも…


“ユーグラテス様、楽しみは最後に取っておくのもよろしいかと”


「わかった。とにかく引き続き頼む」


こいつの言う通り、後2年ある。元々時間をかけてゆっくり手に入れる作戦だったんだ。焦る必要は無いか。それに、来週には新学期も始まる。久しぶりにミシェル嬢に会えるんだ。もう遠慮するのは止めよう。有難い事に、義姉上に会いに王宮にも頻繁にやって来る。


義姉上は口うるさくて大嫌いだが、ミシェル嬢と仲良くなったことだけは褒めてあげよう。早く来週にならないかな。

次回、レオ視点です!

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