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第50話:レオと一緒に領地に来ました

翌日、早速領地に向かう為準備を整えた。今回はレオと私、ルシアナとエレナ、チャチャに加え、レオの専属執事も一緒に向かう事になっている。


本当はお父様も来たかったようだが、仕事の都合でどうしても来られない様だ。幸い領地にも優秀な執事が居るし、私もある程度は案内できるから問題ないだろう。


「お嬢様、レオ様がいらっしゃいました。そろそろ出発いたしましょう」


「わかったわ」


ルシアナに呼ばれ、チャチャを連れて玄関へと向かう。


「レオ、おはよう。今日からよろしくね」


「ああ、今日からミシェルとずっと一緒に居られると思うと、楽しみでたまらないよ」


そう言うと、ニヤリと笑ったレオ。なんだか、違う意味で身の危険を感じるのだが…


「レオ、分かっていると思うが、くれぐれもミシェルに手を出すなよ!クソ、だから2人で領地になんて行かせたくなかったんだ。ルシアナ、エレナ、しっかり監視を頼んだぞ!」


「「はい、出来る限り務めさせていただきます」」


お父様の必死さに、ルシアナとエレナも引いているが、主の依頼という事もあり、しっかり答えていた。さすがね。


「ミシェル、それじゃあ行こうか」


レオにエスコートされ、馬車へと乗り込んだ。


「レオ、ミシェルの事、お願いね」


「レオ、くれぐれもミシェルに手を出すなよ!」


「はいはい、任せとけって!」


ゆっくり走りだす馬車。


「お父様、お母様、行って来ます!」


窓から手を振ると、大きく振り返してくれるお母様。なぜかお父様が走って付いて来た。


「ミシェル、レオには気を付けなさい!何かあったら、すぐにお父様に言うんだよ。いいね」


お父様ったら…


「全く、しつこいオヤジだな。ほらミシェル、立っていると危ないぞ。こっちに来い」


レオに手を引かれ、膝の上に座らされた。


「ミシェル、この馬車には今俺とお前だけだ」


ニヤリと笑ったレオに、一気に唇を塞がれた。これはヤバいわ!その時だった


「キャンキャン!」


チャチャが吠えながら、私の膝に座った。


「おいチャチャ。いいところだったのに邪魔するなよ!」


そう、この馬車にはチャチャも居るのだ。レオに怒られた理由が分からないチャチャは、首を傾げている。


「全くどいつもこいつも」


ブツブツ文句を言うレオ。そんなレオの顔をペロペロ舐めるチャチャ。どうやら、ご機嫌取りをしている様だ。


「お前やっぱり可愛いな!」


そう言って嬉しそうにチャチャを撫でていた。その後も何度か私に手を出そうとしたレオだったが、そのたびにチャチャに邪魔されつつ、2日間かけて領地に到着した。


「見てレオ、あれが公爵家のお屋敷よ!王都より大きいでしょう」


「本当だ。それにしてもここは、本当に自然豊かな場所だな」

そう言って、窓の外を見渡している。


「さあ、着いたわ。行きましょう」


一足先に馬車から降りて行ったチャチャは、久しぶりに会う領地の使用人に飛びついていた。


私たちも馬車から降り、出迎えてくれている使用人たちの方に向かう。


「お嬢様、お帰りなさいませ。レオ様、ようこそいらっしゃいました。さあ、お疲れになったでしょう?中へどうぞ」


「メラ、久しぶりね。皆も元気そうでよかったわ。今日からまたしばらくお世話になるけれど、よろしくね」


「もちろんです。まさか、こんなに早くお嬢様がご婚約者様を連れて戻ってきてくださるなんて、思ってもおりませんでしたわ。本当に、おめでとうございます!」


「ありがとう、メラ」


メラに案内されてやって来たのは、領地に居る頃使っていた部屋だ。有難い事に、私が使っていたままの状態をキープしてくれていた様だ。ちなみにレオの部屋は隣だ。


荷物を置いて一息付きたいところだが、のんびりしているなんてもったいない。


部屋から出ると、急いで馬小屋へと向かった。


「アドレイ、久しぶりね。アンは元気にしている?」


「お嬢様、お帰りなさいませ。もちろん元気ですよ。さあ、こちらへどうぞ」


アドレイに案内され、馬小屋の中に入って行くと、そこにはアンの姿が。


「アン、久しぶりね。元気そうでよかったわ」


アンを優しく撫でると、私を思い出したのか、すり寄ってきてくれた。


「アドレイ、久しぶりにアンに乗りたいのだけれど、いいかしら?」


「もちろんです、アンも喜びます」


アドレイに許可を取り、アンにまたがる。久しぶりの乗馬。最初は緊張したが、やっぱり体が覚えているものだ。あっという間に乗りこなしてしまった。


アンと一緒に、いつもよく行っていた森へと向かい、存分に乗馬を楽しんだ。ルンルン気分で馬小屋に戻って来たのだが、一気に顔が凍り付く。なぜなら、そこには怖い顔をしたレオが、チャチャと一緒に待っていたからだ。


「おいミシェル、お前はどうしていつも勝手に行動するんだ!俺に黙ってどこかに行くな!」


戻って来た私を捕まえると、早速怒鳴るレオ。隣でアドレイが苦笑いをしている。


「ごめんなさい。アンに早く会いたかったのよ。レオ、紹介するわね。この子はアン、領地に居る頃、いつも乗せてもらっていた馬よ。ブラッシングしたらすぐに戻るから、部屋で待っていて」


「へ~、ミシェルがブラッシングか。面白そうだから見ているよ」


そう言って、私がブラッシングする姿を見始めたレオ。なんだか、人に見られているとやりづらいわ。


「ミシェル、ここはこうやってやるんだよ。ほら、やり直し」


さらにレオの場合、私のやり方にケチまで付けて来る。騎士団で馬の世話もしているレオ、私よりやり慣れているのは知っているが、ケチを付けられると腹が立つ。


「もう、私のやり方に文句を言うならあっちに行ってよ!」


そう言って、レオを無視してアンにブラッシングをした。終わった後は、チャチャが森の方に走って行ったので、レオも一緒に森を散歩した。


「へ~、結構大きな森だな。ミシェル、チャチャ、あんまり奥に行くなよ!」


「大丈夫よ、ここは私たちの庭みたいなものだもの。ね、チャチャ」


そうだわ、せっかくだから木の実をとって帰りましょう。森でたっぷり木の実をとり、屋敷内に戻った。


この木の実でケーキを作りたいところだが、今日はもう日が沈んでしまったので、明日の朝作る事にした。


そしてこの日は、使用人たちが私たちの為に宴を開いてくれた。久しぶりに領地の使用人たちと一緒に、楽しいひと時を過ごした。ふと周りを見ると、レオの専属執事と領地の執事が何やら難しい顔で話をしている。


きっと、明日からの予定を考えているのだろう。そもそも、今回領地に来た目的は視察だ。そう、明日からレオは領地を見て回る事になっている。そう言えば、あの孤児院の子供たち、元気かしら?早く皆にも会いたいわ!

チャチャは決してレオの邪魔をしようとしている訳ではありません。

ただ、自分も混ざりたいだけ!

そんなチャチャの気持ちを知っているレオは、いくら邪魔されてもあまり強く怒れない様です。

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